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I guess everything reminds you of something.
2024/5/22
降りることのない駅、登ることのない山、泳ぐことのない川、遊ぶことのない公園、目線を交わすことのない人。
新宿から特急で松本へ、一日ロケをしてそのまま日帰り。田我流を聴く、貸してもらった伊坂幸太郎を読む、うとうとしながら窓の外を眺める。
通過する景色を構成するもの、その殆どと私は一生無縁で生き、死ぬという事実が耐えられなく悲しく悔しい。
謝りたい人のことだけを思い出す。迷
叙事詩ではなく叙情詩を
明けましておめでとうございます。なんて挨拶も軽々しくできない正月ですね。
このnoteもしばらく動かしておらず、文章の書き方も忘れてしまいましたが、2024年の抱負をここに書いておきたいと思います。
去年は4年振りに日本に帰ってきて、職を得て東京に引っ越し一人暮らしを始めて、ただ慣れるのに精一杯で、やりたいことが何もできなかったな、と言う印象です。
もういい歳だし、そろそろしっかりエンジンを
2022 2.18 - 2.19
詩人のポールヴァレリーは、主題がなんであれ公にむけて文章を書くことは読者を意識して振る舞うことと不可避であり、通常、公に向けて書く者はそれを隠蔽したがると書いている。自分自身に向けて書くことはつまり、誰にも見せない前提で文章を綴るという行為を通じてのみ達成されるということだろう。だから私が今キーボードで打ち込んでいる文章は、あなたがいつかどこかで読んでいることを想定して書かれている。こんなことを明
もっとみる2022.2.4 - 2.5
昨日見たChris MarkerのSans Soleilは、本当に美しい映画でした。世界を旅する写真家から届いた手紙を、一人の女性が朗読をする形を取っていて、映像も言葉も本当に素敵で、見れて良かったです。目黒シネマに向かって川沿いを歩いている途中、自分の時間を、映画を見たり音楽を聴いたり本を読んだりすることにただ振り分ける生活は、それらメディアによって自分が消費され続けている日々なのではないかとい
もっとみるWhen we fall asleep
Apple TV一年間無料券をもらったので、登録してBillie Eilishのドキュメンタリー映画”Billy Eilish: The World's A Little Blurry”(邦題『ビリー ・アイリッシュ: 世界は少しぼやけている』)を見た。
彼女の歌が、ベッドルームでいかにして作られたのか。そしてそれが巨大なスタジアムで、コーチェラのステージで、世界中でどう歌われたか。Billie
『鬼滅の刃』と『千の顔をもつ英雄』
※この記事は『鬼滅の刃』のネタバレをめちゃくちゃ含みます
俺ちゃんと書いたかんね!頼むよ!
昨日、丸一日かけて『鬼滅の刃』を全巻読みました。非常にテンポがよく、少年漫画を滅多に読まない俺でも一息に読み切れたほど面白かったです。本作には他作品のオマージュがたくさん散りばめられていて、「あのコマはあの漫画のここから取ってるよね」といった元ネタ探しがTwitterなどで散見されて、へえ、面白いなあと思
すべてさびしさと悲傷とを焚いてひとは透明な軌道をすすむ
常に金欠な俺がそれでも何処かへ逃れようとして縋り付くのは、いつも一番安い便の一番安い席だった。ヨーロッパ周辺の航空券を注意深く探すと、稀に貧乏学生でも手の届きそうな価格のものが見つかるのだが、そのほとんどは深夜か早朝の発着便であるため、俺にとって旅の始まりは気怠い体と半分閉じた目とセットで記録されているものなのだ。
何処にも行けなくなって久しい。3月にイギリスから日本へ帰って来てから国を跨ぐ移動