Taiga Inami

イギリスのファルマス大学で水中写真を勉強しています。 Falmouth Univers…

Taiga Inami

イギリスのファルマス大学で水中写真を勉強しています。 Falmouth University Marine&Natural History Photography(BA).

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すべてさびしさと悲傷とを焚いてひとは透明な軌道をすすむ

常に金欠な俺がそれでも何処かへ逃れようとして縋り付くのは、いつも一番安い便の一番安い席だった。ヨーロッパ周辺の航空券を注意深く探すと、稀に貧乏学生でも手の届きそうな価格のものが見つかるのだが、そのほとんどは深夜か早朝の発着便であるため、俺にとって旅の始まりは気怠い体と半分閉じた目とセットで記録されているものなのだ。 何処にも行けなくなって久しい。3月にイギリスから日本へ帰って来てから国を跨ぐ移動はできていないし、県境を超えるような旅や旅行もほとんどしていない。 それならば

    • 叙事詩ではなく叙情詩を

      明けましておめでとうございます。なんて挨拶も軽々しくできない正月ですね。 このnoteもしばらく動かしておらず、文章の書き方も忘れてしまいましたが、2024年の抱負をここに書いておきたいと思います。 去年は4年振りに日本に帰ってきて、職を得て東京に引っ越し一人暮らしを始めて、ただ慣れるのに精一杯で、やりたいことが何もできなかったな、と言う印象です。 もういい歳だし、そろそろしっかりエンジンをかけて、自分のことも周りのことも前に進めたいなと思います。本当に。 日本に帰っ

      • 2022 2.18 - 2.19

        詩人のポールヴァレリーは、主題がなんであれ公にむけて文章を書くことは読者を意識して振る舞うことと不可避であり、通常、公に向けて書く者はそれを隠蔽したがると書いている。自分自身に向けて書くことはつまり、誰にも見せない前提で文章を綴るという行為を通じてのみ達成されるということだろう。だから私が今キーボードで打ち込んでいる文章は、あなたがいつかどこかで読んでいることを想定して書かれている。こんなことを明記するのは私が誠実だからだろうか、それとも卑怯だからだろうか。 昨年の3月、モ

        • 2022.2.4 - 2.5

          昨日見たChris MarkerのSans Soleilは、本当に美しい映画でした。世界を旅する写真家から届いた手紙を、一人の女性が朗読をする形を取っていて、映像も言葉も本当に素敵で、見れて良かったです。目黒シネマに向かって川沿いを歩いている途中、自分の時間を、映画を見たり音楽を聴いたり本を読んだりすることにただ振り分ける生活は、それらメディアによって自分が消費され続けている日々なのではないかという感覚に襲われて、踵を返して自宅へ帰ろうかと思ったんです。でも、やっぱり見て良か

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        すべてさびしさと悲傷とを焚いてひとは透明な軌道をすすむ

          Alones

          小学生のとき仲の良かった奥村という男はAqua Timezが好きだった。Alonesという新曲が出たとき、サブスクなんてない当時、奥村は買ったCDを小学校に持ってきて「Alonesは”ひとりぼっちたち”という意味らしい」と俺に向かって曲のタイトルを説明をした。英語と文法の知識がある今でこそ、Alonesなんて言葉を聞けばそんな英単語は存在せずおそらく造語であると推測できるが、当時はaloneという英単語の意味も複数形のsも、そもそも形容詞なんて概念も知らなかったから、ただ純粋

          さっき見た夢

          森の中にある知らないサッカーコートで友達とサッカーをしていた。霧の深い朝、寒かった気がする。誰かが思いっきりシュートを外して、ボールが柵を乗り越えてどこかへ消えていった。自分が代表してボールを探しに森の奥へ入っていくと、思いの外すんなりボールは見つかったんだけど、その先にポツンと一軒、焼き菓子屋があった。へえ、こんな辺鄙なところに、と思いながらも、雰囲気がとても素敵で、入ってみることにした。店主が優しく迎え入れてくれた。顔は覚えていないけれど、綺麗な人だったことは覚えている。

          さっき見た夢

          When we fall asleep

          Apple TV一年間無料券をもらったので、登録してBillie Eilishのドキュメンタリー映画”Billy Eilish: The World's A Little Blurry”(邦題『ビリー ・アイリッシュ: 世界は少しぼやけている』)を見た。 彼女の歌が、ベッドルームでいかにして作られたのか。そしてそれが巨大なスタジアムで、コーチェラのステージで、世界中でどう歌われたか。Billie Eilishという一人の人間が併せ持つティーンエイジャーと稀代のポップスターと

          When we fall asleep

          『鬼滅の刃』と『千の顔をもつ英雄』

          ※この記事は『鬼滅の刃』のネタバレをめちゃくちゃ含みます 俺ちゃんと書いたかんね!頼むよ! 昨日、丸一日かけて『鬼滅の刃』を全巻読みました。非常にテンポがよく、少年漫画を滅多に読まない俺でも一息に読み切れたほど面白かったです。本作には他作品のオマージュがたくさん散りばめられていて、「あのコマはあの漫画のここから取ってるよね」といった元ネタ探しがTwitterなどで散見されて、へえ、面白いなあと思ったりしたんだけど、もっとメタ的に作品を見ると、神話学者ジョセフ・キャンベル著『

          『鬼滅の刃』と『千の顔をもつ英雄』

          旅とか写真とか

          友達とこの前「Falmouthにある持ち帰り中華の店で一番美味いのはどこか」って話をしていたら、あるヤツが「Tescoの裏、あの急な階段の横にある店が一番美味い」と断言した。俺は「全部の店を試したワケじゃないから分かんないけど、俺にとって味はどこも大差なかったなあ、あえて挙げるなら映画館横の店が好きかな」と、個人的に一つ恩のある店を推した。 そこまではただの駄話なんだけど、問題はここから。俺が興味本位で「Tescoの裏にある店と映画館横の店、そんなに違う?」と聞くと「Tesc

          旅とか写真とか

          本、映画、ロックダウン(3)

          3日目。ロックダウンに入ってから初めての週末だったけど、いつもと変わらずに図書館へ行って勉強をした。俺の住むFalmouthは本来イギリス中からたくさんの観光客が詰めかけるリゾート地であり、週末の大通りは結構な賑わいを見せるのだけれど、今日の街は本当に静かだった(時期的にローシーズンだということを加味しても)。先日書いたように、他の地域と比べると感染者数は少なく、ロックダウンの影響を肌で感じるようなことはなかったのだけれど、今日やっと本当の意味で、ああ自分は非常事態の中にいる

          本、映画、ロックダウン(3)

          本、映画、ロックダウン(2)

          ロックダウン2日目今日は講義がなかったのでひたすら図書館で読書。 絶滅できない動物たち――自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマM. R. O'Connorというジャーナリスト(現在MITフェロー)の書いた『絶滅できない動物たち――自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ』を途中まで読んだ。内容はタイトル通りに禍々しく、大学で写真を学ぶ傍ら環境保護のモジュールを取っている自分にとって示唆に富む深淵な問いをいくつも孕んでいた。例えば環境保護における答えのない問い

          本、映画、ロックダウン(2)

          本、映画、ロックダウン(1)

          ロックダウンスタート イギリス全土で二度目のロックダウンが始まった。とはいえ規制は一度目のロックダウンと比べると格段に緩く(まあ自分は日本に帰ったので一度目は経験していないが)、今回は学校は閉鎖にならず、レストランも持ち帰りに限ってのみだが営業を許可されている。大学の図書館も開いているし大学へのバスも動いているので、俺の生活にそこまで大きな変化はない。コーンウォールは他の地域と比べて格段に感染者数が少なく(これ自分で書いてて思ったけど、もうCOVID-19とかコロナとかわざわ

          本、映画、ロックダウン(1)

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          Walkabout5(2020/5/17)

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          Walkabout4(2020/5/16)

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          Walkabout3(2020/5/15)

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          Walkabout2(2020/5/14)

          Walkabout2(2020/5/14)

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