マガジンのカバー画像

種麹屋の日常思考記

123
発酵に関係ない日常思考はこちらに入れていきます。
運営しているクリエイター

#発酵食品

拙著『ビジネスエリートが知っている教養としての発酵』の『はじめに』をご紹介します

拙著『ビジネスエリートが知っている教養としての発酵』の『はじめに』をご紹介します

久しぶりのnote投稿になってしまいました。

さて、2024年1月16日に、あさ出版様から、初の著書『ビジネスエリートが知っている教養としての発酵』を上梓いたしました。

さて、どんな内容なのかというお話しも良く聴かれますので、ここでは、発刊への思いも含めて、『はじめに』をご紹介させていただきます。

どんな本なのか、是非、ご興味を持たれたら、ご購入いただければ幸いです。

『はじめに』

はじ

もっとみる
現代人が、趣味として『麹をつくる』意味 vol.2 『発酵とはチームマネジメント』

現代人が、趣味として『麹をつくる』意味 vol.2 『発酵とはチームマネジメント』

現代人が、趣味として『麹をつくる』ということの意味合いについて、自分なりに思うところを書いてみるシリーズです。

発酵とは環境を整える作業ところで、そもそも、「発酵」ってどういう意味合いを持つ現象なのでしょうか。

私は、その一つの説明は、「微生物が活動しやすい環境をコントロールする作業」という説明です。

様々な微生物が、これまた様々な環境で生息しています。我々の生活環境に近い条件で活動する微生

もっとみる
現代人が、趣味として『麹をつくる』意味 vol.1 『五感』

現代人が、趣味として『麹をつくる』意味 vol.1 『五感』

最近、リーダーシップ論とかばかりだったので、久々に発酵・麹に戻ります。

今日は、現代人が、趣味として『麹をつくる』ということの意味合いについて、自分なりに思うところを書いてみます。

人間には五感がある五感を通じた体験、といいますが、五感について確認しておきましょう。

五感とは

目・視覚、耳・聴覚、鼻・嗅覚、口・味覚、皮膚・触覚

となります。

それぞれ、

目は光を、耳は音波を、鼻は気体

もっとみる
発酵を「正しさ」から開放したい

発酵を「正しさ」から開放したい

久しぶりのnoteになってしまいました。2月も後半になってから今年の抱負というのもなんですが、今年の抱負的なものを書いていこうと思います。

結論から言えば、発酵(特に麹に関して)「正しさ」や「べき論」から、開放したいということです。

率直に、感覚論で申し訳ないですが、発酵界隈、たまに息苦しさを感じます。なんというか、隙が無いというか。発酵ブームはありがたいのですが、一方で「こうでなくてはいけな

もっとみる
KOJI THE KITCHEN×地方創生

KOJI THE KITCHEN×地方創生

今日はKOJI THE KITCHENプロジェクトに込めた、地方創生への思いを書いてみたいと思います。

豊橋・東三河におもうこと 私が豊橋や東三河に対して思っている根幹にあること。それは、子ども3人のうち誰かが跡を継ぐ可能性が高いですが、跡を継いだ子にとって、豊橋/東三河が「仕方なく残る場所」であって欲しくないということです。

「**ちゃんは、東京で楽しそうで良いな」とか、グローバルな世の中で

もっとみる
KOJI THE KITCHEN はじめます

KOJI THE KITCHEN はじめます

さて、Twitterなどで告知をしておりますが、このたび、loftworkさんの協力を得まして、KOJI THE KITCHENプロジェクトを開始することになりました。

10月10日(日)にオンラインイベント、11月3日(祝)にFabcafeNAGOYAにてオフラインでイベントを行います。

イベントとしては、種麹の新しい可能性を開くために、デザインやアートの領域と「麹」を接続していこうという主

もっとみる
黒麹の話

黒麹の話

というtweetをいただきまして、書かなきゃと思いつつ、今になってしまいました、ごめんなさい。

今日は黒麹について書きます。

そもそも黒麹とはそもそも、黒麹とはなんでしょう?それは、黒麹菌で作った麹です。というと身も蓋もないですが、黒麹とは焼酎や泡盛などに使われる麹の一つで、黒麹菌という名前の通り、黒色の胞子をつける麹菌で出来た麹です。

その特徴としては、クエン酸を生成することにあります。ク

もっとみる
種麹、純粋培養菌は「ひ弱なエリート」なのか?

種麹、純粋培養菌は「ひ弱なエリート」なのか?

よく、『市販されている菌は、純粋培養菌で生命力が弱い』というような表現を見かけます。種麹(麹菌)だけでなく、酵母菌、イーストや乳酸菌などでも良く見かける表現で、野生株の特色として『生命力が強い』という表現がなされることも多いようです。

今日は、この話について考えみます。なお、この見解は、種麹業界や醸造業界を代表すると言うより、「うちの会社(ビオック・糀屋三左衛門)を経営していくうえでは、実務経験

もっとみる
味噌の栄養は『酵素』や『生きた麹菌』じゃないーじゃ、なんで体にいいの?

味噌の栄養は『酵素』や『生きた麹菌』じゃないーじゃ、なんで体にいいの?

久しぶりの発酵ネタです。

よく、『味噌は体にいい』と言いますよね。そこは私も大賛成です。味噌は栄養豊富な食品です。ですが、なぜ、味噌は体に良いのか。

多くの人が『酵素が含まれているから』あるいは『菌を生きたまま食べられるから腸内環境に良い』という理解をしているように思います。

そして、『酵素は栄養ではないし、麹菌を生きたまま食べることに意味はない』という説明をすると、『味噌=健康=酵素=生き

もっとみる
なぜ『発酵食品』に『正しさ』が求められるのか

なぜ『発酵食品』に『正しさ』が求められるのか

前回はこちら。

前回、”なぜ『正しい発酵食品』、あるいは『正しい発酵食品の食べ方』というものが求められるのか?”という疑問を提示しました。

今回はその疑問への私なりの回答です。

発酵食品の医薬品化

私は、その大きな理由が、発酵食品への注目が『健康』をキーにしていること、にあると思っています。

発酵食品が体に対して様々な健康作用をもたらすとされています。その期待が、今の発酵ブームを大きく支

もっとみる
『正しい発酵食品の食べ方』『本物の発酵食品』という”強い”言葉に思う

『正しい発酵食品の食べ方』『本物の発酵食品』という”強い”言葉に思う

最近、clubhouseで、発酵に関してルームを開いて、お話をする機会が増えました。(clubhouseやっていない人ごめんなさい)

そこで、『正しい発酵食品の食べ方』とか『本物の発酵食品』という表現に、思いのほか出会うので、私の基本的な考えを書こうと思います。

『正しい発酵食品の食べ方』『本物の発酵食品』なんて存在しないと思う

結論から言えば、『正しい発酵食品の食べ方』とか『本物の発酵食品

もっとみる
当社の経営ビジョン-1年の初めに当って

当社の経営ビジョン-1年の初めに当って

明けましておめでとうございます。

さて、年の頭に、あらためて、株式会社ビオック・株式会社糀屋三左衛門の方針を記載したいと思います。

Science Culture Society
当社のビジョンは

と、してきました。

それぞれ、健康に貢献する=Science、食文化に貢献する=Culture、環境/社会に貢献する=Society に対応し

Science, Culture, Societ

もっとみる
食べ物の「顔が見えてる率」を上げていく

食べ物の「顔が見えてる率」を上げていく

今月発売のPenにて、大学同期でビジネスデザイナーの菊池紳君が掲載されていました。

(ちなみに、発酵特集では小泉武夫先生、舘博先生が解説をされています。ご興味のあるかたは是非ご覧下さい。)

その中で、菊池君が新型コロナで生じた買い占めなどの現象について、こうコメントしていました。

「少し考えれば、野菜が足りなくなるはずはないと分るのにそうなったのは、生活者が売り手を信頼していないから。自分が

もっとみる
『発酵を学ぶということ』の多様性 文系・理系・アートの狭間に

『発酵を学ぶということ』の多様性 文系・理系・アートの狭間に

今日は発酵を学ぶ多様性という話。noteを見ていたところ、(リンクを張ろうかどうか迷いましたが、直接張ることは避けます。)現役の大学生でしょうか。

「私は発酵を社会との関わりから学びたかったのに、理系の発酵学科に進学してしまった。苦手な理科の実験に取り組むのは苦痛でしかない。せっかく、理系に来たのに、流通系のゼミで社会学的なことを卒論にする。でも、それが自分のしたいことだ。」

というような内容

もっとみる