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ミニマムな生活がもたらす本当の価値とは? 「less is more」と「本来無一物」から考える豊かに生きる工夫

「『もったいない』から『もたない』へ、価値の置き方を変えていくべきかも?」

今日、米国人と欧州人の違いについてなるほどという気づきを得ました。米国人は「ポジティブが多いことを好む」スタイル。英語で言うとmore is better。一方、欧州人は「ネガティブが少ないことを好む」スタイル。こちらはless is moreですね。これは、概ねその傾向にある、という話なので個人差はもちろんあります。ですが、言われてみると確かに、と納得してしまう違いかと思います。

この「less is more」の精神はSDGsの背景などもあり、今後さらに広がっていくように思います。改めて「もたない価値」について考えたいと思います。

ミニマムに生きる欧州人

数年前に読んで、良い意味で自分の価値観に衝撃を与えてくれた本があります。「フランス人は10着しか服を持たない〜パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣〜」。ベストセラーになっている書籍で第2作目も発売されていますね。読み物としても面白いですが、シンプルに生きる知恵と工夫がたくさん詰まった1冊です。読んでいない方は是非ご一読されることをおすすめします。

この本の作者はジェニファー・L・スコットというアメリカ国籍の女性。大学に在学中、フランスへと留学し、由緒正しいフランス貴族の家庭にホームステイします。そのホームステイ中に、彼女は伝統や習慣をきっちりと守りながら、洗練された暮らしをするマダム・シックのくらしぶりを目の当たりにし、衝撃を受けます。

贅沢をしているわけではなく、上質なものを少しだけ持ち、日々を丁寧に暮らす生活。それはとても品があり、豊かな生活に感じられます。作者の彼女は徐々にミニマムな生活を送ることの素晴らしさ、豊かさに目覚めていきます。

本書では生活の様々なシーンが登場しますが、特徴的なのは本のタイトルにもなっている服の数です。マダム・シックはだいたいトップスもボトムも5着程度でそのなかで毎日の服をコーディネートしています。著者のアメリカでの生活ではウォークインクローゼットで何着もの服に囲まれるのが当たり前の生活だったため、大きな衝撃を受けます。

ワードローブを厳選することは「服を決める」という日々のわずらわしさからの開放につながります。また、「何となく服を買わない」という覚悟は服を買う時に「本当に自分に似合うのか」「自分のライフスタイルとしてフィットするのか」ときちんと考えることになります。お気に入りの服だけを長く愛して着ることで自分のスタイルが確立していきます。自分のライフスタイルがはっきりとし、暮らしがどんどんシンプルになっていく。その過程で、心が豊かになっていきます。

日本にも「もったいない」という言葉があります。そして「節約」という思考も広く根付いています。しかし、この本が紹介しているミニマムに生きる真の価値は「心の豊かさ」につながっている点であり、それは日本の持っている文化の少し上のレイヤーにある考え方のように思います。

自由とは執着から距離をおくこと

昨日下記の記事を書きました。テーマは「自由」とは何ぞや?でした。

この記事で「自由」という言葉は「何にも囚われない=自分の中にも外にも何もないこと」そして、「自分を拠り所にできるような強さを持って、自らに由る」という意味合いがあるとまとめました。

「何にも囚われない」という言葉は、冷静に考えると非常に難しいことだと思います。我々の行動や思考は常に何かに囚われて動いているようにも思います。その分かりやすいところが、物質に囚われることです。自分の身の回りに置いているモノは自分という人間を表現する1つ1つのピースのように感じることがあります。例えば「お気に入りの〇〇を持つ」という感覚。この感覚はそのモノで自己表現しているという側面があり、そのモノに制約を受けながら生活をしているとも言えます。それはひょっとすると「自由」ではないのかもしれません。

「本来無一物」という考え方

禅の言葉に「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」という言葉があります。この言葉は「もともと何も無い」というように理解してしまいがちですが、この「本来」という言葉は、「もともと」という意味ではなく「本質的に」や「根源的に」という意味合いです。

物事の全ては空(くう)であるから執着すべきものはない、といった意味合いの言葉です。悟りを開くとこの境地に辿り着けるのかも知れませんが、なかなかそこまでは難しいです。しかし、そこまで行かなくとも、「執着しない」という考え方は取り入れる余地はあります。

ここ数年「ミニマリスト」という言葉もよく耳にするようになりました。必要最低限のものしか持たない人が増えています。これは正に冒頭で紹介した「less is more=より少ないことはより豊かなこと」という価値観の広がりです。物質からの執着から距離を置く考え方は少しずつ広がっているように思います。

その究極の生活をドキュメンタリーとして映画化した「365日のシンプルライフ」という映画があります。この映画も、物質的な豊かさや、モノの執着から離れることで人がどう変わるのかを考えさせられる作品です。以前、記事にもまとめたのでぜひご覧ください。

まとめ

今回「less is more」という言葉の真意を考え、モノに執着しない豊かな暮らしがあることが分かりました。日本には「もったいない」という言葉がありますが、これからは「もたない」の時代と言えそうです。

ファストファッションが台頭し、安価なものが手軽に手に入る世の中になりました。一方でメルカリのような、不要なものは誰かに譲るという循環型の経済や、シェアリングエコノミーという言葉も広がっています。

これから買い物をする時、「本当にそれ、買っていいの?」と立ち止まって考えてみましょう。それはモノの執着を生み、自分の自由を奪うものかも知れません。そして、モノがあふれるのと反比例して心の豊かさは減っているのかも知れません。

これからは「もたない豊かな生活」を目指してみるのもよいのではないでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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