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夕遊の映画座

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2024年2月の記事一覧

ノスタルジー上海。『長恨歌』王安憶(飯塚容訳)

ノスタルジー上海。『長恨歌』王安憶(飯塚容訳)

予備知識ゼロで手に取った、王安憶の長編『長恨歌』。白居易の『長恨歌』と同じ名前の現代小説なんて、一体どんなだろうと読み始めたのですが、独特な文体にあっという間に引き込まれました。彼女の文体は、中国で「評論叙事文体」と名付けられたそうです。

凝った表現や、美麗な修辞でもなくて、一文、一文はシンプルで短いのに、それが一つ、また一つと連ねられると、他の誰とも違う雰囲気を醸し出す不思議。例えば、冒頭はこ

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ホームドラマみたいなドキュメンタリー映画『◯月◯日、区長になる女』2024年。

ホームドラマみたいなドキュメンタリー映画『◯月◯日、区長になる女』2024年。

たまたまSNSで宣伝見つけて、家族で見に行きました。久しぶりの大阪十三の第七藝術劇場は、別の映画の監督さんの舞台挨拶があったせいか、エレベーターフロアに人だかりで身動きとれないほど。『夢見る給食』のオオタヴィン監督の舞台挨拶だったそうです。

そういえば、日本のだし文化と、素材を生かした料理のすばらしさを撮ったドキュメンタリー映画『千年の一滴』もこの映画館で見たんでしたっけ。

さて、この『◯月◯

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日露戦争に人生を狂わされた男たちの物語。映画『ゴールデンカムイ』2024年

日露戦争に人生を狂わされた男たちの物語。映画『ゴールデンカムイ』2024年

オープニングのすさまじい二〇三高地のシーンから、主人公の杉元とアシㇼパが出会い、困難を乗り越えて相棒(バディ)を組むまで。この映画は、壮大な物語の「序章」です。内容は原作のテイストそのままですが、なんといっても生身の俳優さんたちがくりひろげるアクションシーンがすばらしい。そして、合間、合間に広がる試される大地、北海道の雄大な景色。映画ならではの表現で、原作の世界を存分に表現しています。

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