#京都
この香りは僕を30年前に一気に引き戻す
昨日の夕食にトーストを焼いた。
ハムをのせ、マヨネーズをかけて。
グリルで2分、あっという間に焼き上がる。
キッチンに焦げはじめたマヨネーズが香りたつ。
*
昼から始めた仕事は14時を回るといったん眠気に襲われる。
今の話ではない。
ちょうど30年前、大学3回生の頃の話だ。
僕はその頃、編集プロダクションで編集者の卵として仕事をしていた。
編集など興味がなかった僕がその世界に入ったのは、
嬉しいではないか、その1人目に僕を選んでくれて
梅雨の中休みの昨日、僕は再び上洛した。
先日娘のところに行ったばかりというのに。
なぜかこのところ京都づいている。
前職の同僚と呑むために京都に足を伸ばしたのだ。
同僚といっても二回りほど若いのだけど。
大学は僕の後輩であり、会社では僕の先輩だった。
前職を僕が辞したのは昨年の6月。
詳しくは書かないが、まぁいろいろあって退職の道を選んだ。
きっと苦悶の表情を浮かべていたはずだ。
昨日呑んだそ
ハイブリッド同窓会で30年を遡り、京都で過ごした時間をしみじみ思う
3連休の初日、京都で同窓会を開いた。
京都は大学の4年間を送った思い出の地。
2回生のとき、テニスサークルの代表を務めた。
そのせいで、卒業して結成した同期の集まりの代表も任された。
大学を出ると、その後の人生はもうバラバラだ。
ほぼ男子の大学だったから、サークルの女子は近隣のいくつかの女子大・短大から集まっていて、バラバラ度合いはさらに大きかった。
放っておくと、もう二度と連絡を取らない可
初めての仕送りをATMから引き出したときの昂揚感は今も忘れない
大学への進学で、京都で一人暮らしを始めたあの日。
初めての仕送りをATMから引き出したときの昂揚感は今も忘れない。
自分が少し大人に近づいたような、そんな気がしたのだ。
でも僕にとって“仕送り”は、実はそれが初めではなかった。
***
中2の春。
大学生になった兄が家を出て、京都で一人暮らしを始めることになった。
仲のよかった兄だから、行ってしまうのはとても淋しかった。
それに、両親の仲
「ぶぶ漬けでもどうどす」と訊かれたら
京には有名な言葉がある。
――ぶぶ漬けでもどうどす。
京に暮らした大学4年間、そんな空気は肌で感じた。
大家がおだてるから、ま、まぁ…と乗っかったら突然ハシゴはずされたり。
社会人としてこの千年の都でやっていくなら、本音と建て前の使い分けを修得しなければ難しいと思った。
***
京はやっぱり漬物だ。
すぐき、しば漬、千枚漬。
内陸の町ゆえ野菜の保存技術が発達し、漬物が盛んになった。
漬物
自分が望めば空腹も空虚も埋めることができるのだと気づいた
人づきあいがあまりうまくいかず、もがき苦しんでいた時期がある。
大学2回生の秋も深まった頃のことだ。
2回生といえば、所属していたサークルの運営を任されていた頃。
なかでも僕は、前年の新歓コンパでへべれけになったことから、サークルの決まりで代表になり、いろんな面倒も舞い込んでいた。
体重も10kg減って50kgを割り込んだ。
どんより曇った午後、僕はあてもなく自転車をよろよろと漕ぎだした。
ど
いざ家計簿でタイムトラベル!
小学生の頃からこづかい帳は欠かさずつけていた。
こう見えて意外とマメなのだ。
大学生になって仕送りを受けるようになると、さすがにこづかい帳では管理しきれなくなり、ルーズリーフで家計簿をつけはじめた。
その家計簿は今も手元に残っている。
入学の翌月をピックアップ、いざ家計簿でタイムトラベル!
5/7
GWを過ごした神戸の実家を発ち、京都に戻る。
家賃19455円:いや格安物件すぎん?
賭150
本気の汁をすすり、京の夜は更けていく
切っても切り離せない、日本人とみそ汁。
幼い頃から親しんだみそ汁からはなかなか離れられない。
もうすっかり舌に身体に染みついているのだ。
みそには、米みそ、麦みそ、豆みそなどがあり、地域性がある。
昔何かで目にしたみその分布図では、九州+山口+愛媛が麦みそ、愛知が豆みそ、その他は米みそが優勢とあった。
兵庫生まれ、兵庫育ちである僕は米みそ文化ということになる。
大学生活は京都だったが、せっかく
伏見の酒を傾けながら心ゆくまで京のすしを楽しむのがよい
東西のちらしずしの違いはかなり大きい。
関西のちらしずしは、味つけした具材をすしめしの上に散らしたもの。
おそらく全国的にこの手のちらしずしが多いはずだ。
載っているのは錦糸卵、でんぶ、味つけシイタケくらいで、よくてボイルしたペラペラのエビが1枚あるかないか。
対して関東のちらしずしは、にぎりずしのネタが豪勢にボンボンと載る。
醤油の入った小皿もついてきて、え? ちらしずしに醤油?
ネタだけ醤
たった167日どすえ?
京都の知り合いは、大阪はどぎつくてかなんわという。
(意訳:何かと派手で困る)
一方で神戸の印象を問うと、神戸? 何があるんどすえ? という。
(意訳:歴史のない新参者は黙っとけ)
大阪のほうが印象があるだけマシといったところか。
あくまで僕の知り合いの大阪観、神戸観だけど。
神戸には歴史がないのか?
***
神戸の地が歴史の表舞台に立つのは平安の末、平清盛の時代。
神戸には奈良時代に開
あのおじいちゃんだからめちゃくちゃでも許されたのだ
――変わった玉子サンドがあるらしいから、行かない?
変わったゆうて所詮、ゆで玉子とマヨネーズとパンやろ?
そんなん行かへん行かへん!
――ゆで玉子ではないらしいよ、厚焼きのオムレツだって。
ん? 行く行く! さっきから行くゆうてたやん! 早よ行こ!
レストラン〈コロナ〉かつて京都・西木屋町四条下ルに〈コロナ〉というレストランがあった。
知る人ぞ知るの人気店だった。
西木屋町は路地といって
どちらの親子丼もちょっと「辛い」けど
京都で親子丼を食べるとしたら、西陣〈鳥岩楼〉か、錦〈まるき〉に限る。
このどちらかでしか食べたことがないだけだけど。
西陣〈鳥岩楼〉〈鳥岩楼(とりいわろう)〉は、かしわ(鶏肉)の水炊きの店。
戦前に創業した、新鮮なかしわが堪能できる老舗だ。
入るのがためらわれるような風格ある店構え。
京都で過ごした学生時代にはもちろん縁があるはずもない。
東京の出版社に就職し、京都国立博物館の企画展に編集部5