卯見

生活を、送りたいけど送れない葛藤。

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    南仏Toulouseでの生活を緩く綴った日記。話があっちゃこっちゃに飛びます。

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    南仏から旅する留学生。記録用です。

記事一覧

休養

日本に帰ってきてからというもの、およそ休まる時を過ごした時を思い出せない。唯一じんわりと慰めてくれる記憶には、人の家に泊まった朝、1人早く目が覚めて珈琲を淹れて…

卯見
3週間前

アンダルシアの旅ⅲ グラナダ

Granada  前夜にグラナダ入りして、町の入り口が門であるところから、この町の城塞都市としての華やかな歴史を早くも実感しつつ、ホステルに着く。ホステルに向かうまで…

卯見
3週間前
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デカローグ5・6@新国立劇場

 新国立劇場で初めて演劇を見た。U25で半額券が買えるというのに釣られ、この前のオペラに引き続き2回目の訪問。今回はポーランドの映画監督クシシュトフ・キェシロフスキ…

卯見
3週間前

ステーキを食べに行った話

 Toulouse においしくて安い(フランスのディナーにしては)レストランがあるから行こう、と誘われ、こちらに来て初ステーキを食べることになった。お店はチェーンでフラ…

卯見
1年前
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ピレネーで滑った記録 2/11,2/12

 Toulouseでの留学生仲間、Laiaがピレネーに別荘を持っていて、スキーに来ないかと誘われた。二泊三日で行くことになった。  Laiaはカタルーニャのバルセロナから二時間…

卯見
1年前
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風土

和辻哲郎 著  サハラ砂漠に行きながら読んでいた。砂漠に続くまでの禿山の、日本の「山」という感じからは想像できない寂しさ。ピレネー山脈を訪れた時も、その永遠と続…

卯見
1年前

死の家の記録

ドフトエフスキー作 望月哲男訳                              12.20

卯見
1年前

月を見つけたチャウラ~ピランデッロ短編集~

ピランデッロ 関口英子訳  自分のことを、自分の持つ関係性を反射し合って見ることが最早かなわないとき、孤独になるのだが、その時孤独を感じている魂は、いったい何な…

卯見
1年前
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French Workshop #1 2/14

La pharse aujour'hui Plus…, moins… ~すればするほど~益々少なく~ Plus on prend le billet tôt, moins c'est cher. Le commissariat de police   警察署 Je su…

卯見
1年前

2/7

 Just after the last dinner with my best friend, I felt I have to go somewhere I can touch the breath of nature. Province. Côté d’Azur. Like somewhere I can…

卯見
1年前

Toulouseの古着屋

 今日は明日からの北欧旅行に備えてジャケットを買いにToulouseの古着屋へ。古着屋とはFriperieという。私がよく行く店は主に3つ。 Fripe Broc &Shop 一番小さいが、コ…

卯見
1年前
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アンダルシアの旅Ⅱ コルドバ

アンダルシア地方二日目はコルドバ。  朝7:40セビーリャ発の電車だったが、仲良くなった2人が朝早いバスで、一緒に来ないか誘われたので、朝5:30起き。  Googleではバス…

卯見
1年前
1

アンダルシアの旅Ⅰ セビーリャ

 こちらに留学に一緒に来ている友人が12月初めアンダルシア地方に行くと聞いた。かねてからコルドバ、グラナダには行きたいと思っていたがどうにも旅行計画を立てるのが億…

卯見
1年前
4

Brocante 蚤の市 à Toulouse

 一息つける土曜日がやってきた。突然木曜日の夜に体調を崩し、金曜日、「Homo Sapience」を夜に観劇した以外は、ほとんど臥せっていた。先週の気温は最高3度ほどだった…

卯見
1年前

すげかえられた首

トーマス・マン作 岸美光訳 光文社

卯見
1年前

あの大鴉、さえも

大学のサークルで、少し取り扱った作品が、竹内銃一郎の『あの大鴉、さえも』。3人組の独身者が、大ガラス(エア)をお宅に運ぶ中繰り広げられる不条理の世界を、言葉と…

卯見
4年前
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休養

日本に帰ってきてからというもの、およそ休まる時を過ごした時を思い出せない。唯一じんわりと慰めてくれる記憶には、人の家に泊まった朝、1人早く目が覚めて珈琲を淹れて本を読んだ、彼の本棚にあった、石原吉郎の詩集のシベリア抑留の話を、朝のぼーっとした頭で読んだ、それだけを覚えている。
思えばトゥールーズでは、日長3、4時間は本を読む時間があり、本を読む、絵を描く、映画を見る、ということは、それ自体を目的と

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アンダルシアの旅ⅲ グラナダ

アンダルシアの旅ⅲ グラナダ

Granada

 前夜にグラナダ入りして、町の入り口が門であるところから、この町の城塞都市としての華やかな歴史を早くも実感しつつ、ホステルに着く。ホステルに向かうまでの道は太い通りを脇にそれたあたりから急に狭くなり、人っ子一人どころか猫一匹通るのがせいぜいな道の角に、ホステルがあった。この細い道と丘に続く坂道、行き止まりの多さ…。まだ夜が始まったばかりであたりは見えないにもかかわらず、もう浮足立

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デカローグ5・6@新国立劇場

デカローグ5・6@新国立劇場

 新国立劇場で初めて演劇を見た。U25で半額券が買えるというのに釣られ、この前のオペラに引き続き2回目の訪問。今回はポーランドの映画監督クシシュトフ・キェシロフスキの映像作品の舞台化で、団地での出来事を描いた10篇のうちの5、6作目の同時上演を見に行ってきた。

今回はデカローグ5「ある殺人に関する物語」、デカローグ6「ある愛に関する物語」を見た。舞台には団地の三階建ての建物。

デカローグ5「あ

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ステーキを食べに行った話

ステーキを食べに行った話

 Toulouse においしくて安い(フランスのディナーにしては)レストランがあるから行こう、と誘われ、こちらに来て初ステーキを食べることになった。お店はチェーンでフランスに広く展開している ”Bistro Régent”。

 ビーフや鴨、ユッケやサーモンのプレートがフライとサラダつきで14.90€で頂けるという驚異的にお得なレストラン。フランスのレストランはディナーとなると基本的に25€~であ

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ピレネーで滑った記録 2/11,2/12

ピレネーで滑った記録 2/11,2/12

 Toulouseでの留学生仲間、Laiaがピレネーに別荘を持っていて、スキーに来ないかと誘われた。二泊三日で行くことになった。
 Laiaはカタルーニャのバルセロナから二時間離れた町出身で、大のスキー好き。留学前バルセロナの大学に通っていた時は毎週末滑りに行っていたらしい。スキーの教員資格も持っている。そんな彼女と、四年前を最後に滑っていない私が二人で訪れても大丈夫なのかという若干の不安はあった

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風土

和辻哲郎 著

 サハラ砂漠に行きながら読んでいた。砂漠に続くまでの禿山の、日本の「山」という感じからは想像できない寂しさ。ピレネー山脈を訪れた時も、その永遠と続く雪をかぶった岩山に、私一人ではどうにもできないその大きさに打ちのめされた。

死の家の記録

ドフトエフスキー作 望月哲男訳

                             12.20

月を見つけたチャウラ~ピランデッロ短編集~

ピランデッロ 関口英子訳

 自分のことを、自分の持つ関係性を反射し合って見ることが最早かなわないとき、孤独になるのだが、その時孤独を感じている魂は、いったい何なのか。誰々という呼称は外からつけられるものであり、自分も外部を内面化した習慣によって自分が誰であるかを認識する。しかしそれがはぎとられて孤独となった時、この見ることの、重みを感じることのできる肉体と、意識は全く混ざり合わずに受け入れがたく

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French Workshop #1   2/14

French Workshop #1 2/14

La pharse aujour'hui

Plus…, moins… ~すればするほど~益々少なく~
Plus on prend le billet tôt, moins c'est cher.

Le commissariat de police   警察署
Je suis allé a la police.
Je suis allé au commissariat.

水について
L'eau

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2/7

 Just after the last dinner with my best friend, I felt I have to go somewhere I can touch the breath of nature. Province. Côté d’Azur. Like somewhere I can escape from here. Like my first trip in Fra

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Toulouseの古着屋

Toulouseの古着屋

 今日は明日からの北欧旅行に備えてジャケットを買いにToulouseの古着屋へ。古着屋とはFriperieという。私がよく行く店は主に3つ。

Fripe Broc &Shop
一番小さいが、コンパクトにまとめられていて、セーターなどが充実。

Le Grenier d'Anaïs
人気の古着屋。女性もの、厳選されたかわいいアイテムが多い。

Kilostock
男女どちらも充実、ジャケット類が豊

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アンダルシアの旅Ⅱ コルドバ

アンダルシアの旅Ⅱ コルドバ

アンダルシア地方二日目はコルドバ。

 朝7:40セビーリャ発の電車だったが、仲良くなった2人が朝早いバスで、一緒に来ないか誘われたので、朝5:30起き。
 Googleではバスが6:20に来るとのことだったのに、バス停で待っていたマダムによると6:40まで駅行きのバスが来ないとのこと。2人の乗らねばならない電車に間に合わせるために、歩きで駅まで行くことになった。30分かけて、二人はキャリーバッグ

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アンダルシアの旅Ⅰ セビーリャ

アンダルシアの旅Ⅰ セビーリャ

 こちらに留学に一緒に来ている友人が12月初めアンダルシア地方に行くと聞いた。かねてからコルドバ、グラナダには行きたいと思っていたがどうにも旅行計画を立てるのが億劫で引き伸ばしにしていた。よし、ならば便乗して行ってしまおう。

 そんな惰性でアンダルシア地方への旅を決めた。

 今回の旅程は

12/6トゥールーズ→セビーリャ
12/7セビーリャ→コルドバ
12/8グラナダ
12/9グラナダ→アリ

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Brocante 蚤の市 à Toulouse

Brocante 蚤の市 à Toulouse

 一息つける土曜日がやってきた。突然木曜日の夜に体調を崩し、金曜日、「Homo Sapience」を夜に観劇した以外は、ほとんど臥せっていた。先週の気温は最高3度ほどだったのに、今週は最高10度、最低3度ほどで、すっかり暖かくなったのはいいものの、その急激な温度変化に体が参ってしまったのかもしれない。昨日今日とぐっすり寝て、起きたのは昼の11時。急にクロワッサンがどうしても食べたくなり、大学の向か

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あの大鴉、さえも

大学のサークルで、少し取り扱った作品が、竹内銃一郎の『あの大鴉、さえも』。3人組の独身者が、大ガラス(エア)をお宅に運ぶ中繰り広げられる不条理の世界を、言葉と視覚で楽しむ戯曲になっている。

結局このコロナ禍で実現には至らなかったので、解釈だけ滔々と語ります。

まず、この脚本の元になったポーとデュシャンの考察から。
ポーの詩では言語の記号性が強調されると考えた。nevermoreの様に何の

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