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村の人々

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バルセロナ郊外の小さな村の家具修復工房に訪れる村人たち。おかしな人から最高に素敵なお客様、ベテラン同業者からアーティスト仲間まで いろんな人をご紹介
運営しているクリエイター

#工房

籐を編み続けてみたら

籐を編み続けてみたら

ひと通り籐の編み工程を学んだので、さっそく仕上げた2脚の椅子を店頭に並べました。
こういう家具も扱ってますよってことで。
ビフォーアフターを表示して分かりやすくね。
まだまだ学び中なので、そこんとこご理解頂いた上で30%オフキャンペーンスタートです。

すると
その日の午後、1人のおばあちゃんが立ち止まって、
猛烈に血圧あがっちゃった!って言う顔でこっちをみていました。
目がキラキラしてました。

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警察のお買い物 スペイン警察についての小話もちょいと。

警察のお買い物 スペイン警察についての小話もちょいと。

最近、警察関係の話が続きます。
前回の盗難届とは打って変わって平穏な話なのでご心配なく。

いつものように工房で作業をしていると制服の警察官が2人入ってきた。
何も悪いことはしてないんだけどちょっとドキドキしてしまうのは
前回警察官が工房に来た時は、
オープン直後でまだガレージの駐車禁止マークがついたままで
もう車両出入りはないんだから駐車禁止マークを外しなさいと言われた時だったので。

ガレージ

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停電したシャッター

停電したシャッター

久しぶりに工房日記らしい話です。

クリスマス休暇が始まった初日。
工房へ行くと
仕事熱心な角の肉屋のおっちゃんが外でタバコ吸ってる。
手前のカフェもなんか変。
バイク屋のチャビィが
「電気ないよ」って

ええぇ!?

停電!?

工房の前まで行くと隣のカーテン屋のおじさんがトウセンボして
「通行料金いただきます」
とか、また古典芸能なギャグをかましてきた。
「停電してるの?」って聞くと
「停電、

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おばあちゃん集会でロッキングチェア

おばあちゃん集会でロッキングチェア

嬉しい再会がありました。
かわいい憧れのおばあちゃん・ウルスラがまた工房に来てくれました。

ジブリ実写版なおばあちゃんとの出会いはこちら⤵︎

今回は
ロッキングチェアを探していると言う問い合わせ。

この仕事をしていると時々こんなことが起こるんですが、
実はこの日の午前中、
要らなくなったので家具の引き取り手を探していると言う男性が来たところで、
その家具の中にロッキングチェアがあったのです!

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グラナダ生まれの絵描きさん・モイセ

グラナダ生まれの絵描きさん・モイセ

工房をオープンして素敵だったことの一つが、たくさんのアーティストさんに出会えたことです。
工房の内装はとてもシンプル。
白壁に一本だけある柱をちょっと控えめな赤で塗って
少し日本の国旗を思わせるようにしたけれど
あとは着物や家具が彩ってくれるので、心掛けているのは色のバランスだけです。
外から色とりどりの着物がガラス越しに見えて
着物に少ないグリーンを植物で補充して
着物に使われるトーンや家具の温

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ジブリなおばあちゃん実写版!!

ジブリなおばあちゃん実写版!!

ある日、工房に
アリエッティに出てきそうなおばあちゃんがいらっしゃいました。
小柄で華奢で小綺麗で、アリエッティの歳ではないですけど、
ふとあの小人物語を連想してしまいました。

「家にある鏡が要らなくなったので売りたいんだけれど、誰か鏡欲しい人知らない?」
って言うお話でした。
こう言う場合は一応写真を送ってもらって、欲しい人が現れたら繋げる、
なんてこともします。

おばあちゃんは歩行器を押し

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ご近所さんシリーズ:バイク命のチャビ本さん

ご近所さんシリーズ:バイク命のチャビ本さん

後に工房となるこの場所を契約してまだファザードも付いてなかった頃。

ガラスのファザードのドタバタストーリーはこちら↓

ブブーンとバイクにまたがって現れたのはご近所でも一番キャラの濃いチャビィ。「Hola〜ここ使うの?何するの?」今思えば、超野次馬(笑)なのでチャビィが近所の新入りに声をかけるのは当然な話かも。

「そっか〜この場所、俺にも話があったんだよねぇ〜。買わないかって。でももう二店舗あ

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自分にしかできない仕事・魔女の宅急便に教えてもらった見つけ方 ウベコ工房自己紹介

自分にしかできない仕事・魔女の宅急便に教えてもらった見つけ方 ウベコ工房自己紹介

私は現在、スペイン・バルセロナの郊外の小さな町でアンティーク家具の修復工房を運営しています。
工房をオープンして一年が経ち、少しずつ町にも馴染み、お客さんも増えてきました。
スペインで暮らすようになって今年で19年。
40歳でやっと「これが私の仕事」と心から言える仕事を得ました。
これまでにも様々な仕事を日本やスペインで経験してきましたが
今感じている、「これ!」という感覚は一度も感じたことはあり

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4人の吸盤

4人の吸盤

今日は工房スタートまでの裏話。

我が工房、物件を決めたのはCOVID19で自宅監禁生活が始まるちょうどひと月前。
ガレージだった物件なので、シャッターしか付いてなくて、まずは店舗の入り口となるファザードとドアをつけなければなりません。
その予算を検討して絞り切って工事スタート!と言うところで監禁になってしまいました。

ファサードは全面ガラス!と言うイメージが物件を決めた時から決まっていたので、

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来た来た!1900年代初期の家具 

来た来た!1900年代初期の家具 

家具の修復を依頼するというのは
誰でもパッと思いついてできることではなくて
まず、修復する価値のある家具を持ってないとできません。

修復する価値のある家具というのは
古くてそれ相当に価値のあるもの
または家族や友人からの思い出の家具、
合板ではなく無垢材など素材のいい家具などで
誰もがそんな家具を持っているわけではありません。

必然的にお客様は
それなりに教養のあるご家庭、芸術性の好みに秀でた

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ベテランシリーズ:パート2時計を直したい木工師曰く

前回のペラに続いてベテランシリーズ続きます。

うちの工房がある建物はマンションで、その一階がうちの店舗なんですが
このマンションが建つ前、この店舗の場所は大工さんだったんです。

その大工屋さんの親方が、娘の同級生のお母さんのおじいちゃん。
その親方のお父さん(ひいおじいちゃん)は大工より凝った仕事をするエバニスタという家具専門の大工さんだったそうです。家具の装飾的な彫り物やカブリオレレッグのよ

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ミシンの女神・ティナ

ミシンの女神・ティナ

工房開店から4ヶ月。なにから語ろうか。

オープンまでのいきさつも面白いんだけど。

そこら辺も少しづつ記録していきます。

まずは思い出深い開店当日から始まるお話。

開店は8月10日でした。開店と言ってもそれまで数ヶ月、工事だの準備だので毎日のように工房にいたので、それまでに工事を覗き込んで知り合った人々もたくさんいて、活動内容はもうすでにいろんな人に語っていたりしてまして・・・

「役所に工

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