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#本居宣長
恋と学問 第30夜、感情のリハビリテーション。
本居宣長の著作「紫文要領」の結論部分を読み解く、全3回の2回目です。今夜は引用から始めます。
宣長は言います。歌の理想は三代集である、だからあなたが詠む歌も三代集を模倣すべきである、と。この主張自体は藤原定家以来、誰もが言ったことで、宣長の独創ではありません。しかし、印象派の絵筆にかかれば、何でもないリンゴが異様な存在感を放つように、この月並みな主張も、「紫文要領」の結論部分に置かれることで、特
恋と学問 第27夜、父親殺しの誘惑。
紫文要領を読解する私たちの歩みも、だんだんと終わりに近づいてきました。今夜取り上げる「不義密通すら主題ではない」(岩波文庫版、138~151頁)は、第3部「恋愛と物の哀れ」の最終章であり、ということは、本論の最終章でもあります。
(紫文要領の目次についてはコチラ)
本居宣長は前章で、源氏物語に長年かけて降り積もった、誤読という名のホコリを一気に払いのけました。その手ぶりは「真剣に取り合うに値し
恋と学問 番外編その3、安藤為章「紫家七論」の思想。
◇ 画期的な源氏物語論
紫家七論(しかしちろん)は1703年に成立した源氏物語論で、作者は契沖に師事した国学者、安藤為章(あんどうためあきら、1659-1716)です。
古典研究と言えば、一言一句について細かに解釈を加えてゆく「注釈書」のことを指した時代に、為章は、まず紫式部日記の記述から作者の人物像を探って、そこで得られた成果を物語解釈に持ち込む方法を発明します。今の言葉で言う「作家論」の方法
恋と学問 第23夜、セックスの癒しについて。
諸説ありますが、紫式部の生まれた年は西暦970年という説が有力です。この説に従えば彼女が14才の時(984年)、日本最古の医学書「医心方」が朝廷に献上されました。今夜は、この本を手がかりに紫文要領を読み解き、恋の意味について考えます。
著者の丹波康頼(912-995)は宮廷に仕える医師として、隋唐時代の中国医学は言うに及ばず、僧侶が仏教に付随してもらたらしたインド医学や、朝鮮で独自に発達した処方