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お父さんが白血病になりました。〜ある家族看護の記録

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13歳と10歳の子どもたちを残して、お父さんが急性骨髄性白血病で入院しました。親族の僕が、家族看護に入っての記録集。
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#急性骨髄性白血病

花冷え

花冷え

パパさんが3月半ばから再入院。通院から再入院に切り替わる回数をカウントしてないほど忙しい。
というわけで、「子の刻参上!」アップが止まってます、すいません。

療養記録として、骨髄移植後何ヶ月で何がおこった、みたいな事実関係をあげておいて、家族看護者・医療従事者・診断を受けたご本人、の参考に少しでも足しになると良いのだが、「逆算して誰がいつどこで提供したか」なんかが割り出せてしまう情報の公開は、骨

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防災訓練

防災訓練

ちょうど見舞いに行った時、防災訓練のサイレンが鳴り始めた。

一週間前から掲示が出てたけど、無菌病棟の人達はほぼ知らなかったらしい。
献立は毎日見てるけど、告知掲示のチェックは、さほど注意深くしてはいないらしい。

訓練予告の放送が入って、パパさん、初めて知った模様。 少しギョッとしていた。

患者さんはそのまま療養してくださいと言われたが。

放送を聞き流していたら、 火災発生アナウンスなんか

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診断書

診断書

生命保険会社からの書式を、病院の受付に提出した。

医師の診断書をもらうには、2週間ほどかかる。何度かの入退院は繰り返すことになるが、当座の入院費用の支払いに、まず今日までの期間の区切りを申告する予定だ。

白血病の治療には、ガンの中でほぼ最高額に近い費用がかかる。
確率論で貯蓄が吹っ飛ぶ体験は、ほんとに初めてだった。高額医療がどのように支えられているのか、初めて体験した。
できるから漠然とやって

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コンビニ弁当と、「問題はそこではない!」

コンビニ弁当と、「問題はそこではない!」

パパさん、肺の白い影を消すための抗生剤その他の点滴。
約6時間半、合計3本の点滴がなかなか落ちない。ずっとたいした運動をしないためもあって、お腹が空かない。
白血球の数値は、だいぶ上がってきた。

抗がん剤の治療をすると、ほとんど食べられなくなる。
そのため、抗がん剤が始まらないうちに、病院の担当医師や看護師さん達から

「クリーンルーム解除のあいだは、食べづらいものや苦手なメニューはあらかじめ断

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「子育て部」副部長

「子育て部」副部長

ご存じのとおり、白血病の数度の抗がん剤-輸血治療(”地固め療法”)では、毎回、ガン化した白血球をゼロにするにともない、抵抗力ゼロの状態になる。

そのため、病棟はクリーンルーム(無菌室)滞在、15歳以下は面会できず、飲料水は殺菌密封を開封後1日で飲み切れる量のものにする。
病院の自販機・コンビニより単価の安い水やお茶、コーヒー紅茶やパックジュースを買いまわっておいて、今は週2で運んでいる。

土曜

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輸血、長引き中

輸血、長引き中

「こんばんは

まだ輸血中です。

赤血球は無事終了しました。
血小板は輸血中に副作用(痒み、発疹)が出て、輸血中断して、痒み止めを打って貰い、痒みが止まり、輸血再開しました。

また連絡します。」

パパさんからの連絡。
やれやれ、終わらないねぇ〜〜

いつもは、夕飯後に電話で少しおしゃべりする日もあります。

今夜は、どうかなぁ〜〜

時間管理ではない、出来事管理だ

時間管理ではない、出来事管理だ

PTA総会、部会、常任委員会、とバタバタする金・土…

今、昨日無事クリーンルーム(無菌室)に入れてもらったパパさんから電話があった。

「抗がん剤治療が、月曜日に延びた」

おお、そうなの。

「外泊、は、ダメなんだけど、土日の朝から夕方まで、何もすることがないから自宅で数時間過ごしていいって。夕食の配膳だけにして、朝昼食事止めてくれるって」

おおー。そうなんだ〜〜〜

(うわぁ、入院費2日分

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パパさん再入院

パパさん再入院

自宅療養と外来診療の連休が、終わった。

パパさん、今日再入院。

お姉ちゃんは、入院カンファレンスの事務スペースとクリーンルーム(無菌室)前のエレベーターホールまではパパさんに同行できる。

(クリーンルームには、子供は入室できない)

そのため今日は、学校を休んで、手続きの手伝いやら荷物運びやらの役で、ついていく。

先ほど、学校に欠席連絡したのは、僕。

病院には、僕も行くので3人連れ。

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ダンボール工作の連休

ダンボール工作の連休

パパさん、元号ウィーク中は自宅療養。5月6日に再び病院へ。
つまり我々一同は、大型連休を自宅で過ごす。

この機会に、弟くんが「ダンボール・ジュースサーバー」を稼働させました。

横倒しに仕込んだペットボトルの横腹に、あらかじめ穴を開けておく。そのジュースタンクを、右側のレバーで半回転させて、横穴を下向きにして、そこからジュースが、落ちる…という。

炭酸飲料で何回か乾杯。

ここで暮らして4ヶ月

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ある闘争(あるいは、好みの本を当てる局地的戦闘の数々においての全敗北)

ある闘争(あるいは、好みの本を当てる局地的戦闘の数々においての全敗北)

照 …ダメだったよ 。
『言いまつがい』なら間違いなく読むと思ったんだが、ダメだった…

四郎 あ、『言いまつがい』面白がってもらえんかったかー。

照 病院に持ってく前にさ、お姉ちゃんと弟くんと3人で一緒に川の字に寝そべって読んでさ。もう、ゲラゲラ笑ったの。

だめだったから持って帰ってきて、3回か4回読みなおした。弟くんなんか、毎日「ルパンだパーン」って、ずーっとずーっと歌ってるしさ。

四郎

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「昨日はパニックだったみたいだ、来てくれてありがとう」

「昨日はパニックだったみたいだ、来てくれてありがとう」

コンサルタントという職業は、 究極のところ何かと言うと、 お客さんとじかに話して お客さんの中の解決をつかみ出す、そういう職業だ。

僕はずっと、「 コンサルとしては仕事が遅すぎる 」「相手にペーシングしすぎる」(長々と聞き役に回る)と指摘を受けてきた。

だが、本当に本当に拙速即利が嫌だったのだ。 業績の良さ で脚光を浴びた会社が、「 築城3年落城3時間 」の速さで潰れる。 そんなことにだけは加

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「見ているうちは、牛乳は沸かない」

「見ているうちは、牛乳は沸かない」

もとは英語のことわざ。

じーっと見ていると、なかなか牛乳はわかない。

まだかーまだかーと思っていると、時間が長く感じられる。

観察者効果と注目バイアスについては、「 悪循環にはまっている、と気づいたら、目をそらす(固執する意識を、そこからはずす)」ことが必要になる。

先週今週の入院パパさんは、まさにこの状態での 膠着の連続。

時間が長く感じられる、という主観だけでは済まず、 実際問題、予

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花冷え

花冷え

パパさんの血液検査の数値が、なかなか上がらない。
右の扁桃腺がまだ腫れていて、発熱は39度9分まで上がったり下がったり。
月曜日にまた輸血がある。

数値が安定しないとね。
顔色は悪い。抜け毛は多い。
あさってあたり、咲き始めた桜の写真でも持って見舞いに来ようか。。。

花冷えの日。

どこかぽっかり明るかった日々として

どこかぽっかり明るかった日々として

電車の待ち時間。
今、担当医師からの説明を受けて、帰りの電車を待ってるところ。

クリーンルームの患者をみるドクターというのは、大変な商売だ。
ついつい患者に「 忙しくて 」と言ってしまったのが、患者から看護師に漏れると、注意を受けるらしい。パパさんが僕にそんなことを話した。「あらー、言っとくねー」と看護師さんが言ってた、と。

患者に遠慮させてしまい報告連絡相談の断絶が起きると危険、風通しの良

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