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「昨日はパニックだったみたいだ、来てくれてありがとう」

コンサルタントという職業は、 究極のところ何かと言うと、 お客さんとじかに話して お客さんの中の解決をつかみ出す、そういう職業だ。

僕はずっと、「 コンサルとしては仕事が遅すぎる 」「相手にペーシングしすぎる」(長々と聞き役に回る)と指摘を受けてきた。

だが、本当に本当に拙速即利が嫌だったのだ。 業績の良さ で脚光を浴びた会社が、「 築城3年落城3時間 」の速さで潰れる。 そんなことにだけは加担したくなかったのだ。

速くてこけるということは、どこかに無理があるということである。

ソリューションを出すのは当たり前、だが患者が頓死するような治療をした医師が問題になるのに、コンサルが罪をしらばっくれて逃げられるとしたら、おかしいではないか。

僕は「持続可能性は万全か、コンディション良好か」という部分を、どうしても気にしたかったのだ。

長い前書きになった。

パパさんの血液検査 の数値はあまりにも上がらない。
したがって骨髄液の検査をもう一度行う。 骨髄液から、もしも再びガンが見つかったらば、治療内容を初回寛解治療に戻す(ガン細胞の死滅をゴールとする)。

…どうやらこの説明が金曜日の夕方に入ったので、 パパさんは、振り出しに戻るとは思いもよらなかったらしく、非常に取り乱したらしい。

火曜日まで 見舞いに行かない予定にしてもらったら、 来たメールがどうもおかしいなと思って、 結局僕は土曜日に、病院に顔を出してみたのだった。
土日は医師も看護師も 勤務体制が 手薄になるので、医師に質問できるまでに時間があいてしまうのだ。

延々3時間僕がパパさんの話を聞いて、パパさんの中では、治療への取り組みが 再び腹落ちしたらしい。
追加でクロスワードパズルの本と炭酸飲料と栗まんじゅうを差し入れもした。金曜夜は、処方頓服の睡眠誘導剤もききにくいほどぐるぐるしたらしいので。

…僕がペーシングをしすぎるのは、こういうところで上手くいくものも行かなくなる事態を防ぐ効果がある。
チームの一員として、患者本人の医師と医療チームへの全幅の信頼がある状態を確保しておければ、いろいろなことは想像以上にうまくいく。


〜と思いたい(笑)

土曜の夜、再びパパさんからメールが来た。

「昨日はパニックを起こしていたらしいです。 来てくれてありがとう。」

役に立ってよかったです。

「最大値の2割」ぐらいで構わないから、ご機嫌でいたい。いろいろあって、いろいろ重なって、とてもご機嫌でいられない時の「逃げ場」であってほしい。そういう書き物を書けたら幸せです。ありがとう!