マガジンのカバー画像

表メッセージ

148
もう裏だなんて思わない。堂々と、幸せのニュースをお伝えします。日曜日の礼拝ごとに、一週間の生きる力を、人生を変える力を、神の言葉がもっていると確信していますから、それを指し示す取…
運営しているクリエイター

#旧約聖書

生きている (ヨハネ4:43-54, 申命記4:1-4)

生きている (ヨハネ4:43-54, 申命記4:1-4)

◆看取る悲しみ

  あめゆじゆとてちてけんじや
 
この言葉は衝撃的でした。東北の言葉は、九州人の私には馴染みがありませんが、この苦しく切ない言葉が、精一杯の命の言葉だということは伝わりました。多くの人の心を掴んだこの言葉は、宮沢賢治の詩「永訣の朝」に、括弧付きで幾度も登場する、妹の言葉です。危篤の妹の口から、「雨雪をとってきてください」と漏れる。26歳の賢治が、24歳のトシの死の床にいる風景で

もっとみる
休むヒント (エレミヤ17:19-27, マタイ11:28-30)

休むヒント (エレミヤ17:19-27, マタイ11:28-30)

◆休むヒント

『群像』という文芸誌を講談社が出しています。その編集部が、雑誌に連載したシリーズをまとめた、ある本が今年の4月に発行されました。『休むヒント。』といいます。「休む」ということをテーマに、依頼された作家や著名人が綴ったエッセイがまとめられています。
 
一人ひとり、自由に「休む」という言葉から思うことを書いています。さすが文筆家とあって、その体験談が生き生きと語られ、読み応えがありま

もっとみる
知恵と哲学 (箴言3:13-20, コロサイ2:6-8)

知恵と哲学 (箴言3:13-20, コロサイ2:6-8)

◆幸い
 
聖書には、ひとつの大きなテーマがあると私は理解しています。神は、人に「幸い」を与えようとしているのではないか、と見ているわけです。イエスの言葉が思い出されます。マタイ伝5章の「山上の説教」の初めです。
 
3:「心の貧しい人々は、幸いである/天の国はその人たちのものである。
4:悲しむ人々は、幸いである/その人たちは慰められる。
5:へりくだった人々は、幸いである/その人たちは地を受け

もっとみる
あなたを自由にする (ヨハネ8:31-38, 詩編51:12-15)

あなたを自由にする (ヨハネ8:31-38, 詩編51:12-15)

◆自由にすること

「働けば自由になる」という言葉を、耳にしたことがあるかと思います。「労働は自由をつくる」あるいは「労働はあなたを自由にする」のような言葉で記憶している方がいるかもしれません。
 
元々は小説のタイトルだったそうです。それが、失業対策の政策のスローガンのようなものとして使われるようになったといいます。が、この言葉が世界的に有名になったのは、ナチス・ドイツの強制収容所の門にはっきり

もっとみる
偽善者とは何か (マタイ23:13-15,25-28, 詩編36:2-3[新共同訳])

偽善者とは何か (マタイ23:13-15,25-28, 詩編36:2-3[新共同訳])

◆偽善者と禍

マタイによる福音書23章
13:律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたがた偽善者に災いあれ。あなたがたは、人々の前で天の国を閉ざしている。自分が入らないばかりか、入ろうとする人をも入らせない。
14:律法学者とファリサイ派の人々、あなたがた偽善者に災いあれ。あなたがたは、やもめの家を食い物にし、見せかけの長い祈りをする。だから、人一倍厳しい裁きを受けることになる。
15:律法学者

もっとみる
日数を重ねた者 (ヨブ32:1-10, 使徒2:14-21)

日数を重ねた者 (ヨブ32:1-10, 使徒2:14-21)

◆老いの域

後期だか前期だか知りませんが、自分が「高齢者」という括りに入ってきたことを、認めなければならない人が、ここにも何人もいらっしゃることでしょう。私も、シルバーシートがあったら、自分も座っていいかな、と思うときには、そういう言い訳を用いることにしています。
 
でも、自分が老人になる、という設定は、自分の人生にはなかったという人もいるでしょう。「おじいちゃん・おばあちゃん、いつまでも長生

もっとみる
祝福し合えるところ (詩編121:1-8, 使徒9:26-31)

祝福し合えるところ (詩編121:1-8, 使徒9:26-31)

◆詩編

詩編を愛する人はきっとたくさんいることでしょう。これから聖書を読みたいが、どこから読んだらよいか、という質問を受けることがありますが、多くの場合、私は詩編をお薦めします。詩編は、深く解釈しようとすれば難しいものだと思いますが、文字数も少ないし、感情移入もしやすいので、多くの人に安心して紹介できるのです。
 
詩編は、150の詩が集められた、旧約聖書のひとつの巻です。冒頭の第1編は、詩編全

もっとみる
揺れ動く地に立ちて (ルカ21:7-19, ゼカリヤ14:4-5)

揺れ動く地に立ちて (ルカ21:7-19, ゼカリヤ14:4-5)

◆災害は起こる

大きな災害に遭ったことがない者が、偉そうに言うことはできません。災害は、起こらないに越したことはありません。しかし、災いを避けることは、恐らく誰にもできません。思いもよらぬ災いが、人生を襲います。「どうしてこんなことが」と思うようなことが、平然と押し寄せてきます。自分の身の上に起こることもありますが、多くの場合、他人が災いに遭っているのを見聞きすることになります。
 
災いに遭う

もっとみる
怒りについて (ミカ7:8-20, ヤコブ1:19-20)

怒りについて (ミカ7:8-20, ヤコブ1:19-20)

◆怒りと憤り

暑いと、人間は怒りっぽくなる。そう言われることがあります。苛々は、体調からもくることがあるからです。それに、理性の抑えも利かなくなるから、とも言えるでしょうか。しかし、身近な人への八つ当たりは、できればしないほうがよいと思われます。甘える気持ちから、当たることができる、というのも本当かもしれませんが、まあほどほどにしないといけません。
 
怒り、あるいは腹立ち。世の中に対して、私た

もっとみる
暑さから守られる (イザヤ25:1-10, 黙示録7:11-17)

暑さから守られる (イザヤ25:1-10, 黙示録7:11-17)

◆行く夏の中で

暑い夏でした。短い梅雨の後、夏休みの時期に入る前から、猛暑と呼ぶに相応しい暑さがやってきました。地域によっては異なるかと思いますが、そのために健康被害があったり、大雨と洪水の被害に遭ったりした方もいます。お見舞いの気持ちを申し上げます。中には、民家で汗を流して、という教会もありますから一概には言えませんが、教会の礼拝は、概ね冷房の効いた場所で過ごすことができていたのではないでしょ

もっとみる
平和を造る者 (マタイ5:9, イザヤ11:1-9)

平和を造る者 (マタイ5:9, イザヤ11:1-9)

◆沖縄

平和を造る人々は、幸いである
その人たちは神の子と呼ばれる。(マタイ5:9)
 
平和な世界を造ろう、と集まった人たちが、意見が合わず分裂して別々の会をつくる――笑えない話です。動機が悪いとは申しませんが、人間が思う平和と、それへ近づく道は、どうやらかなり食い違うことがあるようです。
 
「ローマの平和」は、圧倒的なローマ軍の軍事力によってつくられたと考えられました。「大東亜共栄圏」とい

もっとみる
祈りの道へ (マタイ6:5-8, 列王記上8:22-53)

祈りの道へ (マタイ6:5-8, 列王記上8:22-53)

◆無駄な祈りなのか

(これは架空の話です)旅客機が消息を絶った。どうやらあの人が、その便に乗っている。ああ、大変だ。そのとき、きっとひとは祈るでしょう。「どうか無事でありますように。」
 
続報が入る。飛行機は墜落したらしい。ああ、もう胸が引き裂かれそうだ。それでも、ひとは祈るでしょう。「どうか無事でありますように。」
 
1985年8月12日の日航機事故は、一機としては世界最大の航空機事故とな

もっとみる
力を受けて (使徒1:5-8, エゼキエル2:1-8)

力を受けて (使徒1:5-8, エゼキエル2:1-8)

◆ペンテコステ?
 
教会の暦では、「ペンテコステ」礼拝となります。「ペンテコステ」とは何だ? 実は、キリスト教の三大祝祭の一つなのです。訝しく思われても仕方がないような、知名度です。「クリスマス」は早くから日本でもおなじみになりました。大正期でしょうか、激しいブームすらあったのだとか。もちろん、宗教的な意味合いではなかったのでしょうが、良かれ悪しかれ「クリスマス」は知られるようになりました。近年

もっとみる
守れない戒め (出エジプト20:17, 申命記5:21)【十戒⑩】

守れない戒め (出エジプト20:17, 申命記5:21)【十戒⑩】

◆家か妻か

十戒を辿る11週の旅が終わろうとしています。いよいよ最後の戒めとなりました。この第十戒を開くとき、私たちは戸惑います。出エジプト記と申命記とで、始まりから大きく違うのです。
 
隣人の家を欲してはならない。隣人の妻、男女の奴隷、牛とろばなど、隣人のものを一切欲してはならない。(出エジプト20:17)
 
隣人の妻を欲してはならない。隣人の家、畑、男女の奴隷、牛とろばなど、隣人のものを

もっとみる