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教育のはしくれ

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塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
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#受験

志願理由書

志願理由書

推薦入試という形は、試験一発だけの能力以外の方法を模索してのものであろう。採用に曖昧さは残る。よく、点数主義はどうのこうのと非難されるが、公平さにおいてはなかなかよくできたやり方である。むしろ点数によらない基準のほうが、何を以て合格するのか、不透明な面が確かにあるのである。
 
しかしその存在意義は理解できる。学科の問題が解けたかどうか、でないとなると、スポーツ推薦や、学科とは別の能力の推薦という

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語学も数学もできないけれど

語学も数学もできないけれど

それなりに不安を抱えながらも、もうひとつ勉強に集中できなかった中学三年生。ここへきて、志望校を決める段階に入ってきたことで、悩みが深刻になってくる。「先生、英語の成績を上げるためには、どうすればよいでしょうか」というような、あまりに漠然とした問いを、その女子生徒は授業後に私にぶつけた。
 
だいたい英語の劣等生たる私が、英語の授業をすることがあること自体、間違っているのだが、自分ができないことと、

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私立高校入試

私立高校入試

私立高校の入試の時期である。それが第一志望という人もいるが、福岡県では概ね、公立高校を目指すということが多い。これは地域差もあることだから、「福岡県では」と言っておく。もちろん、学費の面でも親としてはありがたいが、公立高校の伝統と評判、実績というものが確かにあることが大きい。
 
九州には、かつての「藩校」由来の高校もあり、それに公立高校が追随したような教育文化があったのだろうか。
 
私立高校の

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異文化理解

異文化理解

ある事情から、急遽晩秋から、中3の受験生に国語を指導することになった。経験はあるが、この時期に受け継ぐことには非常に悩んだ。生徒にとり、あまりよいことではないと思ったからだ。だが、とにかくやるしかなかった。
 
国語の力を、ここから伸ばすというのは至難の業である。小さな頃から絵本にたくさん触れておくことが大きな影響を与える、それが基礎力をつくる、というのが私の持論である。成績別のクラスではあるが、

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日本語の単語と聖書

日本語の単語と聖書

高校受験でも大学受験でも、英語について言及されるのが、単語はどのくらい憶える必要があるのか、ということだ。高校受験ならば、いまは小学英語があるために、2000語を下ることはないようだ。大学受験ならどうだろう。ざっと5000語くらいは標準となるのだろうか。高校生活で1日3個増やすノルマが課せられることになる。
 
ただ、日本語の単語の数はどのくらいか、という話が話題に上ることは、まずない。元々母語と

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夏を制する者は、受験を制す!

夏を制する者は、受験を制す!

ありふれたキャッチフレーズは、受験産業の誘い文句にもなっているが、あながち嘘を言っているわけでもない。学校のペースとは独立に、自分で学習を企画するのであるから、それの良し悪しは、差がつく原因となるであろうことは明白である。
 
自分で企画する、と言った。だが、生まれて初めて受験に挑む子どもたちにとって、それが適切にできるかどうかは、非常に難しい。よって、受験産業が、それを手助けしましょう、というこ

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真摯に

真摯に

進学塾では、小学生も児童とは呼ばず、生徒と呼ぶ。もちろん中学生や高校生は生徒だ。そして、そこで何が行われるかというと、ジャンルとしては教育である。
 
だが同時に、この生徒たちは、お客様でもある。とくに小学生の場合は、その背後に保護者がいるということを常に意識して接することが常識となっている。
 
先日、トラブルがあった。塾が出している通塾バスの到着が遅れ、最初の授業の前半が欠けてしまった生徒がい

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作文指導

作文指導

 いちばん伝えたいものは何か。
 他のすべての言葉は、そのために存在する。
 
気取った板書を、私は小学生たちに示した。中高一貫校を受験する六年生のクラスである。おもに作文の授業を担当している。
 
公立中学でありながら中高一貫とする制度が各地で始まっているが、大人気だ。私立中学並の教育指導を、公立扱いでしてもらえるのである。とくに英語教育は普通の公立中学とは格段に違う。入学試験に必要なのは、やた

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最後まで戦うべし

最後まで戦うべし

夏期講習も終了が近い。受験生は仕上げの模試があるが、それまでにも小テストの嵐である。時間の長短は様々あれど、監督をしていていつも思うことがある。
 
最後まで書き終わった生徒が、顔を上げて空を見ているのである。もちろん、それまでの緊張感が少しほぐれたというのを咎めるつもりはないし、ほっと一息したことを悪く言うつもりはない。だが、それは一瞬ではなく、「もう書いたもんね、お仕事終わり」とでもいうかのよ

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福岡県立高等学校入学者選抜学力検査

福岡県立高等学校入学者選抜学力検査

今年はインフルエンザが出なかった。或る小さな医院では、全く一人も患者が出なかったというが、たぶんそこだけではないだろう。
 
これだけ手洗いが徹底されると、インフルエンザのウイルスは、発生しても他に感染しないのだろう。逆に言えば、これだけ衛生観念を徹底されれば、毎年数千人というインフルエンザによる死亡者がいなくなるのであり、感染して泣く受験生がなくなるということだ。
 
いや、もちろん、だからコロ

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