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日本酒テイスティングノート

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日本酒の紹介を日本酒のテイスターの視点からしつつ、これまでの私のきき酒師、大阪資本の一部上場企業の大手飲食チェーンの和酒バイヤー、SSI日本酒セールスプロモーション研究員としての…
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#日本酒

日本酒業界に置いて、本当に必要なものはなにか?

日本酒業界に置いて、本当に必要なものはなにか?

業務の一環として感じる事

現在の私の会社における業務一つに飲料関係の仕事をしていて、その中で飲料関係の販売管理の数字をみていると残酷な位にすべき事が、ハッキリ現れるもんだなって感じます。

現場レベルで日本酒の振興の為にすべき事とは

数年前からクールジャパンの政策の一つとして日本酒の販売、或いは日本産焼酎の販売数量と金額を増やしたいという行政サイドから、或いは業界団体からの声が大きくなってきて

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日本酒をごく一般のお客さんに販売するにはどうするのが、1番良いのかな?

日本酒をごく一般のお客さんに販売するにはどうするのが、1番良いのかな?

日本酒をごく一般のお客さんに販売するには

改めてどうするのが、1番良いのかな?って現場で日本酒を販売してみて感じました。

正直、私自身は日本酒を販売するには、

1、マーケティングを重視する

2、地産地消を最重要視する

3、大手酒蔵の良いところを徹底的に盗み、既存の1部の日本酒業界関係者や日本酒マスコミのように大手酒蔵を否定しない 

4、ワインのブランディングは真似しても、フランスそのも

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江戸の市場経済―歴史制度分析からみた株仲間(岡崎 哲二著)

江戸の市場経済―歴史制度分析からみた株仲間(岡崎 哲二著)

現代よりも理にかなっていた江戸幕府の市場経済の運営

江戸の市場経済の本を大阪からの帰りに読んでいましたけど、改めて江戸幕府の経済運営って、現代社会よりも理に叶った事をやっていたんだなって感じました。マーケティング的な視点から見てみて、江戸と大坂って言う現代に置いても全く文化の違う二大消費地を中心に各藩の自治と藩庁所在地という地方の経済の中心都市を中心に、田沼意次公が老中筆頭をされる頃にはある程度

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きき酒師の日

きき酒師の日

11/11はきき酒師の日だったようです。

改めて、コロナ禍で飲食や観光関係に取っては逆風であり、私自身も勤めていた店が閉店、城崎で拾って頂き単身赴任が始まって明日で丸二年になります。

面白いもんで、たまたま昨日と今日が休みで大阪に帰っていますが、2年前と同じく今日城崎に帰ります。

私自身が専属テイスター理由

私自身が専属テイスターになった理由は、日本酒が好きな事も有りますけど、もう1つの現

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江戸期~昭和初期の経済成長から見た日本酒の発展(市場経済側の経済的な視点からの日本酒の発展)

江戸期~昭和初期の経済成長から見た日本酒の発展(市場経済側の経済的な視点からの日本酒の発展)

※見出しの画像は関西学院大学所有 灘の新酒番船江戸入江の図

江戸初期から中期までの経済状況

2019年現在の日本の人口は約1億2700万人、GDPは約550兆円となっていて、国民一人当たりのGDPが約433.7万円となっている。普通に働いて生活していれば、少々貧しくても一定のお金さえ出せば、欲しいものは買えるし、余程のことが無ければ食に困ることも、ほぼ無いと言えるといえます。
では、1600年

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江戸期~昭和初期の経済成長(市場経済側の経済的な視点からの日本酒)その2 本日の紹介酒 櫻正宗 灘の生一本 純米酒 (兵庫県 灘)

江戸期~昭和初期の経済成長(市場経済側の経済的な視点からの日本酒)その2 本日の紹介酒 櫻正宗 灘の生一本 純米酒 (兵庫県 灘)

※日本酒の画像は、櫻正宗㈱HPより引用

非常に厳しかった市場での酒質の競争

この頃、江戸へお酒を卸すには、上方の銘醸地である伊丹・池田・摂津富田・西宮・灘等の銘醸地の間で熾烈な酒質の競争が行われていて、現代の語の「下らない」の語源は上方から江戸へ下れない酒でありました。

仮に下れたところで仮に下れたところで、上方の酒同士での競争はもちろん、中国酒(愛知県の知多地方や三重県の四日市近辺)や関東

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高級酒を販売するとは その2 デフレ型の商売からの脱却 本日の紹介酒 問世 問世 純米大吟醸 2016

高級酒を販売するとは その2 デフレ型の商売からの脱却 本日の紹介酒 問世 問世 純米大吟醸 2016

酒、観光、飲食業界の本当の課題デフレ型の商売の在り方からの脱却、これからの酒業界、観光業界、飲食業界の大きな課題だと思います。一方で、普段飲みや家庭での食の部分に関しては、ある程度低価格が求められるのは当然かなって感じます。

価格の安さは決して正しい事でとは言えない長年飲食の業界に携わっていますが、この業界独特の安い=正しい事って考え方がどことなくあるように感じる事が、以前からよくありました。日

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その6 灘で生酛造りの技術として確立するまで 本日の紹介酒 仙介 純米大吟醸 (兵庫県 灘)

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その6 灘で生酛造りの技術として確立するまで 本日の紹介酒 仙介 純米大吟醸 (兵庫県 灘)

慶長の遣欧使節のその後
 結局、アマルガム精錬法を徳川幕府は入手しましたが、1620年に遣欧使節が日本に帰った頃には、家康公は既に亡くなり日本は鎖国の方向へ進んでいたので、その後この慶長の遣欧使節の事もあまり表に出る事は無く歴史の中に埋もれてしまいました。

柱焼酎の技術一方で、柱焼酎の技法が歴史の表舞台に出て来るのは、元禄期の徳川綱吉公の時代であり、この頃にはある程度完成した生酛による酒造りに関

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高級酒を販売するとは その1 本日の紹介酒 問天 生酛純米 2016

高級酒を販売するとは その1 本日の紹介酒 問天 生酛純米 2016

日本酒の飲み方に正解も間違いも無い日本酒の飲み方に正解は無いし、間違いも無いと言うのが本来有るべき消費者目線に立ったお酒の飲み方だと思います。ただ、日本人の悪い所はどうしても正解と言うか正確なお酒の飲み方を求めてしまう部分があると思いますし、日本酒を飲む人が全てきき酒師になる必要も無ければ、ソムリエになる必要は無いと思います。

自分なりに色々試した方が日本酒は楽しめますではどうすればもっと日本酒

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その5 慶長の遣欧使節団とシェリー酒 本日の紹介酒 菊正宗 上撰 生酛 本醸造パック (兵庫 灘)

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その5 慶長の遣欧使節団とシェリー酒 本日の紹介酒 菊正宗 上撰 生酛 本醸造パック (兵庫 灘)

慶長の遣欧使節団は長期間スペインのシェリー酒の醸造所に滞在していたこの使節団は長期に渡りスペイン内のシェリーの醸造所に滞在した事が(伊達政宗の遣欧使節 松田毅一著)には出ていました。直接、日本酒造りと関係ないと言われればそれまでだし、シェリー造りでは日本酒と全く同じでは無いですが、ワインにブランデーを加える目的は、お酒の味わいをスッキリさせる事と、お酒の保存性を高める事です。

山卸を足踏みで行う

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その4 山卸の作業はどのように進化したのか 本日の紹介酒 蒼天伝 大吟醸 (宮城県 気仙沼市)

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その4 山卸の作業はどのように進化したのか 本日の紹介酒 蒼天伝 大吟醸 (宮城県 気仙沼市)

足で酛摺りを行うようになった機会を作った出来事 本格的に足で酛摺りを行うようになったきっかけを考える場合、可能性が一番高いのが、伊達政宗公によって行われた慶長の遣欧使節です。

何故、慶長の遣欧使節が派遣されたのかこの使節に関しては伊達家がスペインと組んで天下を取りに行ったが故に行われたのではないかという説もありますが、(実際に家康公の体調が悪い時に本当に仙台藩と江戸幕府の間で戦争に成りかけたが、

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その2南都諸白の酒造り 本日の紹介酒は春鹿 超辛口 純米酒

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その2南都諸白の酒造り 本日の紹介酒は春鹿 超辛口 純米酒

江戸初期の南都諸白の酒造り江戸初期に置いて主流となっていたのは、菩提酛から酛立て法を用いて寒造りで造られた南都諸白へと進化した奈良正暦寺流の南都諸白をベースにした酒造りで、この酒造りの方法に関しては全国へと広がり各地で○○諸白と言われるようなお酒が各地で出ています。

江戸初期に行われた奈良から東北へ蔵人の招聘南都諸白の酒造りは当時として非常に画期的な酒造りの方法だったと思われますし、東北地方の一

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その3マニュファクチャーによる生酛造りが行われるまで 本日の紹介酒は天野酒クール(大阪府 河内長野市)

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その3マニュファクチャーによる生酛造りが行われるまで 本日の紹介酒は天野酒クール(大阪府 河内長野市)

初期の生酛造りは試行錯誤の末従来よりも安定した乳酸発酵できる方法を色々試して模索したのが、寒造りの酛立て法を用いた南都諸白の酒造りで、伊丹に於いてさらに改良を加えられた山卸の手法を用いて、その後生酛の酒造りの技術として進化していきます。勿論そこに至るまでに色々試し試行錯誤しながらたどり着いたと考えられます。

菩提元から進化した水酛の技法また、その後も大正時代に至るまで酒造りの技術として用いられた

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生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その1生酛造りのお酒の味わいとは 本日の紹介酒 香住鶴 山廃純米 (兵庫県 香美町)

生酛造りで造られた日本酒の味わいとは その1生酛造りのお酒の味わいとは 本日の紹介酒 香住鶴 山廃純米 (兵庫県 香美町)

生酛造りのお酒の味わいとは生酛造りのお酒について、よく目にするのが生酛本来の味わいとか生酛らしい香りとか、伝統的な古式造りとか、よく目にします

実際にテイスティングしてみると、結構厚みが有って重たい味であったりしますが、本来の生酛の味わいってそもそも重たい味わいなのかを考えると疑問があります。

私の考える本来の生酛の味わいとはでは、私の考える本来の生酛の味わいとは、味に深みと柔らかさがあり、後

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