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あんころうんこちゃん
味噌汁のしいたけは、ナメクジにそっくり。お好みもんじゃが、吐瀉物みたい。だから、あんこの奥底にはうんこの本性がいらっしゃると、私は心から確信する。
ある日、家庭教師で姪に勉強を教えているおり、
あんころ餅、うんころ餅、あははっはは。と戯けて唄ってみせた。
姪は気が狂ったように笑ってくれて、分かり合えたかと思った瞬間、いや、あんこはうんこではないと言い放った。
あんことうんこは一心同体。それ
まり子さんに赤い毛糸の帽子を送りたい 4
あれは何だろう。そこだけぽっと陽が差して、なんだか温かそうだ。ちいさなチリがふわふわと舞って、きっといい香りがする。
ああ、これは日だまりだ。足元を緑が覆い、黄色の可憐なタンポポ、ハコベラ、オオイヌノフグリ。木漏れ日の作り出すギザギザの斑紋が、きやきやしている。
野太い脚がみえた。
光と影のフラクタルを身にまとって、まり子さんが踊っている。短く生えた芝をむしりとって、雄たけびをあげながら。四
まり子さんに赤い帽子を送りたい 3
ちかと僕は同じ研究室にいた。彼女は僕の3つ後輩だった。
初めて一緒に大学の帰り道を歩いた日。白い肌に切りそろえられた栗色の髪がかかって、赤らんだ頬にえくぼがあった。
あの日から久しい。僕らの研究室はもうない。教授の退職を機に彼女は研究を辞めてしまって、今は図書館で非常勤をしている。
僕は大学に残った。なんとか常勤の職をえて、生活を安定させられるようになった。
教養主義は失墜した。古典的な学
まり子さんに赤い毛糸の帽子を送りたい
まり子さんへ
あの門をくぐり、初めてあなたと出会った時、野性味ある雄々しい姿に私は一目でホレてしまいました。薄暗がりにシルエットを作っていらっしゃったあなたはドキドキしながら脇を通る私に、セヤぇっ!セ!! と声をかけられましたね。
おっしゃっている言葉の意味は皆目見当つかなかったけれど、あなたの姿が心から消えません。後日、あなたは京都大学界隈で大変有名な方だと伺いしました。
ここのところ、寒