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すらすら読める人事小説:部下を持つ⑨
4月初旬の大阪は、春の冷たい雨だった。山田と越智は、土地勘がないために道に迷いつつ、予定より20分遅れで面接会場に入った。
面接会場は貸し会議室が入る背の高いビルだった。慌てて飛び込んだエレベーターでは着慣れないリクルートスーツ姿の学生数名と一緒になった。
「うちを受けに来た学生か」
いよいよ始まるなと気持ちを引き締め、山田は、硬めの表情で階数を示すボタンを見上げた。
「課長、5階です」
越智が立
企業人事小説:部下を持つ⑤
「扇谷さんの代わりは採用しても良いですよね?予算上は問題ないはずですし」
「もちろん」
異動希望を出すほど気持ちが切れかかっている東口と、これから採用できるかどうかもわからない派遣社員。山田は、厳しいスタートになることを覚悟した。
「あと二人は必要ですね・・・」
山田の頭には、あと2枚は必要だと瞬時に浮かんだが、佐川からの返答はない。外からの採用は無理であろう。何人か社外の知り合いの顔が浮かんだも
企業人事小説:部下を持つ①
はじめまして、イーリード株式会社の大橋と申します。
私は、社労士事務所での修行を経て、事業会社数社で人事部を経験し、そして現在は人事コンサルを生業とする、イーリード株式会社の代表をしています。
これまでとてもたくさんの人と出会い、様々な経験をさせてもらいました。
その経験から学んだことは、部下を持つことの難しさ、そして喜びでした。
部下を持つ人の中には、部下の失敗でイライラしたり、こちらが意図