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何度でも読みたい。

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何度でも読みたい。noteで読ませていただいた、そんな記事をまとめています。
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2022年3月の記事一覧

たとえそれが神の言葉でも、真偽は自分で考える。

たとえそれが神の言葉でも、真偽は自分で考える。

 厨二病真盛りの中学2年生の頃、「人生」や「死」について底知れぬ恐怖を感じながら哲学書を読み漁った時期がありました。

 絶望を死に至る病と称したキルケゴールは、当時大きな衝撃を受けた哲学者のひとりです。

 彼は絶望、即ち死に至る病から脱却するための鍵は「神への絶対服従」にあると説きました。

 これはどういうことかと考えても彼の書籍だけでは何か足りない感覚に陥り、厨二病な私が次に手を伸ばしたの

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分かってもらう努力をやめる

分かってもらう努力をやめる

自分のやりたいこと、やっていることの意味や価値を、誰かに分かってもらいたい──そんな風に思うとしたら、それはとても自然なことだと思います。分かってもらえたら、やっぱり嬉しいですよね。でも、分かってもらえない場合に「分かってもらう努力」をすべきかというと、必ずしもそうではないようです。

分かってくれる人と仕事をしたら?僕の尊敬する先生で、ある大学の教授のK先生という方がいらっしゃいます。れんげ舎が

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2022.3.24 大人の卒業はふんわりと

2022.3.24 大人の卒業はふんわりと

10年間と3カ月ばかり続けてきた毎朝のスープ作りを卒業しようかと思っています。卒業というほど、きっぱりしたものでもないかな。毎日のようにSNSにはアップしないということだけで、もちろんスープは作り続けますし、作家活動を止めるというわけでもなく。毎日の投稿をかちっとした決まりごとにするのをやめる、というだけです。

私が2011年からSNSでアップし続けてきたスープは、もともと受験生の息子のために作

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2022.3.21 わかめとたけのこのスープ、献立を悩むか悩まないかの選択

2022.3.21 わかめとたけのこのスープ、献立を悩むか悩まないかの選択

春の出会いもの・若竹煮の量を逆転させる感じで。ぷりぷりわかめの中に、たけのこのシャキッとした食感がアクセントになって、わかめスープなのにご馳走感です。だしにはチキンコンソメの素を少々。ごま油も使わず、あっさりお吸い物風に仕上げます。

以前、坂口恭平さんと対談したとき、人の悩みはつきつめると10個ぐらいしかない、というお話をされていて、感心してしまいました。この話は料理についても同じことがいえて。

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アフリカの妹と私の物語

アフリカの妹と私の物語

「人を助けることは、自分が傷つくこと」

この文をアンパンマンの絵本の後書きに見た時、不覚にも涙が溢れた。

息子がアンパンマンが大好きで、アンパンマンのマーチの歌詞がとても深い事と、なぜアンパンマンが自分の顔を与えるのだろう、と気になっていた。
ある年、ドイツから帰省し子供達と児童館へ行き、たまたま床に転がっていた「あんぱんまん(アンパンマンシリーズの第一作)」の後書きを読んだ。

作者のやなせ

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樹木希林さん「がんのおかげで成熟した」

樹木希林さん「がんのおかげで成熟した」

 『不登校新聞』では、2014年に女優・樹木希林さんにインタビューをしました。私たちは小さいメディアですが、そのメディアに対しても、樹木さんは真摯に向き合って単独で取材を受けてくれました。8年前の取材ですが、樹木さんの話されたことは今も私の胸に深く突き刺さるものでした。当時のインタビューをそのまま掲載します。(『不登校新聞』編集長 石井志昂)

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石井志昂(以下・石井) 今日はありが

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長野のいいもの、お取り寄せしませんか

長野のいいもの、お取り寄せしませんか

長野県は八つの県に囲まれた海の無い県。きれいな水、澄んだ空気、朝晩の気温差は上質な米や野菜を育て、りんごをはじめとする果物や高原野菜など農産物の宝庫です。

豊かな自然のもとで過ごす人々の暮らしは、身心共に健康な暮らしを生み出し、長寿ランキングや移住希望ランキングでは上位を占める県でもあります。

長野県民は生真面目な性格の人が多いともいわれています。ものづくりに対する真摯な姿勢がそのまま製品のク

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わざわざの食品選定基準(2/2)インスタントに頼ったっていい。

わざわざの食品選定基準(2/2)インスタントに頼ったっていい。

即席お味噌汁やレトルトカレー、インスタントラーメン。実はわざわざでは様々なインスタント・レトルト食品をご用意しています。

簡単に調理できるこうした食材は、時に「体に悪そうだから」と敬遠されやすかったり、あるいは食べながら少し罪悪感のようなものを覚える方もいらっしゃるかもしれません。

それでもわざわざでレトルト食品を取り扱うのには理由があります。遡ること2012年、とあるインスタントラーメンを取

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わざわざの食品選定基準(1/2)みんなにとっての「ちょうどいい」を選んでいます

わざわざの食品選定基準(1/2)みんなにとっての「ちょうどいい」を選んでいます

「世界で1番美味しい」を集めて販売している訳ではないのが、わざわざでの取り扱い食品です。創業から13年を経てたどり着いたわざわざのセレクトの秘密についてお伝えします。

わざわざでは食品を販売するにあたって「食品選定基準」を定めています。基準を設けているくらいなら、わざわざの食品ラインナップはかなり厳密なセレクトなのではないか。そう感じられたかもしれませんが、ちょっと違います。

わざわざでは開業

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2022.3.3 薄焼きたまごのスープ、口ぐせ・書きぐせ

2022.3.3 薄焼きたまごのスープ、口ぐせ・書きぐせ

薄焼きたまごのスープ。薄く焼いたたまごをコンソメに入れたシンプルな一皿。スープを吸った薄焼きたまごがふんわりおいしく、ほっこり心がなごみます。スープは塩豚ポトフのスープだけを濾してしまってあったのを使いました。ブイヨンキューブを溶かしたものでももちろん大丈夫です。

ついつい使ってしまう口ぐせってありますよね。お喋りする仕事のときスタッフに、私の気になる口ぐせないですか?と聞いたら「なんか」ってよ

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それでもいちごのショートケーキを。

それでもいちごのショートケーキを。

あれはどこで読んだ話だったっけなあ。

自分の記憶力を呪いながら書く。どこかで読んだのではなく、テレビで見た話だったかもしれない。あるパティシエさんの告白である。ヨーロッパの権威ある賞を受賞したこともあるその方。都内の一等地にご自身の名前を掲げたお店をたぶん複数構え、そちらの方面にくわしくないぼくでも知っていたほどの有名人である。

そのパティシエさんがインタビューに答え、こんなことを語っていた。

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どうすれば、呪いのような「小言」を言わなくなるか

どうすれば、呪いのような「小言」を言わなくなるか

言葉が持つ力について考える。

言霊と言うべきか。その言霊の力まで理解して、言葉を使わないといけない。ファンタジーで、意味を理解することなく魔法の言葉を使うと、予想外の災難を起こしてしまうように。

言葉が指し示すものは、ぼくらが想像しているよりも大きいかもしれない。

日本に住んでいると「まわりに迷惑をかけないように」という台詞を至るところで耳にする。子育ての方針としても「周りに迷惑さえかけなけ

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2022.3.1 フルーツグラタン、言葉のダシのとりかた

2022.3.1 フルーツグラタン、言葉のダシのとりかた

3月を、甘い一皿で始めます。レンジで作った甘さごく控えめのカスタードソースに、オレンジ、りんご、バナナ、パイナップルをのせて、オーブントースターでぐつぐつ焼いて。一般的なグラタンよりずっとゆるくしてあるので、フルーツシチューみたいな感覚です。熱々のカスタードと果汁が混ざり合い、きゅんとする甘酸っぱさが春を呼び込みます。

今日は、とても素敵な本を紹介します。長田弘さんの『食卓一期一会』という、食べ

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