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2022.3.3 薄焼きたまごのスープ、口ぐせ・書きぐせ

薄焼きたまごのスープ。薄く焼いたたまごをコンソメに入れたシンプルな一皿。スープを吸った薄焼きたまごがふんわりおいしく、ほっこり心がなごみます。スープは塩豚ポトフのスープだけを濾してしまってあったのを使いました。ブイヨンキューブを溶かしたものでももちろん大丈夫です。

ついつい使ってしまう口ぐせってありますよね。お喋りする仕事のときスタッフに、私の気になる口ぐせないですか?と聞いたら「なんか」ってよく使いますねと言われました。トマトなんかを使ったスープ、とか、なんかそれって良いですねとか、便利な言葉として使い過ぎていました。以後気をつけています。

同じように、文章にも無意識でやっている「書きぐせ」があります。私はこういう書きぐせを修正する縛りを、ときどき自分の文章で課題のようにやっています。長い文章を切るようにする、逆になるべく長いセンテンスにしておき、ブレスの位置を工夫してリズム良く読みやすく書く。自分が使ってしまいがちな表現を使わずに書くというのも、そのひとつです。

私が最近、自分の文章やSNSでどうしても無意識に使ってしまうなと感じている言葉が3つ。ひとつは「~ですが」、もうひとつは「~と思う」、そして「かもしれない」です。たとえば、こういうこと。

多くの人はコンソメの素を使ってスープを作りますが、おいしいスープを作る上では必ず必要ではないかもしれません。具材によっては、コンソメの素はいらないと思います。

文法的には、間違いでもなんでもないのです。ただ、自分で何も考えずに書きあげて見直すときにこれらの表現がやたらと出てくることに気づいて、最近、この3つをなるべく使わないよう自分に縛りをかけています。先ほどの文章は、こうなります。

多くの人はコンソメの素を使ってスープを作ります。でも、おいしいスープを作る上で必ずしも必要なものではないのです。具材によってはコンソメの素はいりません。

私がなぜこの書きぐせを直そうと思ったかと言うと、自分の言いたいことをなるべくまっすぐ、ストレートに伝えるのに邪魔な言葉だからです。

「~ですが」「と思います」「かもしれない」は、メッセージをちょっとソフトにする言葉なのです。最近では、ネットの上のちょっとした言葉が炎上することも増え、書き手は本当に気を使っています。それが、こういう前置きや語尾で言い切らない表現を生み出すのです。

私自身の弱さもあります。私はスープ作家になる前、長いことライターとして人のメッセージを伝えてきました。だから「有賀薫」として考えを人に伝えようとすると腰がひけてしまいがちです。押しつけになってしまうのではいか…と不安になってしまうのです。自分の文体はちょっと硬いところがあり、そこを言葉尻でなんとかしようという下心もありました。

でも、人に何かを伝えるということはそもそも傲慢なことだし、一方的な行為なのです。相手との信頼関係を前提としなくては成り立ちません。それは「絶対〇〇が正しい!」と高飛車になるのとは別の話で、きちんと自分の考えを言い切る覚悟を持った人の言葉しか、やっぱり伝わらないのです。

気をつけていても、noteを読み返すとこの3フレーズが自分の文章のあちこちに見られます。無意識に書いているため、直すと言っても簡単ではありません。それでも、言葉に気をつけることが自分の姿勢を少しずつ直すということにつながると信じて、今日も文章を書いています。

ひな祭りですね。女の子もいないうちにはそれらしいものが何もないので、春っぽいお団子の写真貼っておきます。今日は外出して桃の枝ぐらい買ってこよう。

読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。