記事一覧
〈詩〉ボールキャッチ
ボールが、放られる。
僕はそのボールを取ろうとして、わざと転ぶ。
公園の芝生の匂いがする。
眩しい日差しが差している。
ボールを放ったおばあちゃんが、笑っている。
わざと転ぶと、おばあちゃんは喜んで笑ってくれる。
それを知った僕は、多分3才か4才で、
おばあちゃんが放ったボールを取るふりをしては、笑いながら、何度もわざと転ぶ。
おばあちゃんは、その度に笑う。
この僕の最古の記憶は、
おばあちゃんの
〈詩〉あんたのおかげ
ミスターゲームチェンジャー。
あんたはいつも天邪鬼。
人と違うことを言っては、
注目を浴びようとしている。
それにうっとりしている連中がいるんだから、
本当に世の中タチが悪い。
誰が名付けたその名前。
空を飛んでいるのは鳥なんだぜ。
魚が羽ばたいているみたいな物言いをして、
一体あんたは何を生み出しているんだ。
もしかすると、
分断や、
空爆や、
人種差別や、
冤罪や、
不貞や、
背信や、
見
〔詩〕ビーフジャーキー
ビーフジャーキーのジャーキーってなんだろう、と彼女は言った。
邪気じゃき、と僕は言ったけれど、彼女には通じない。
じゃきじゃき。
そんなあなたはジャンキーね、と彼女はマスカラを付ける。鏡も見ないで。
床にはビールの空き缶。自分で巻いた紙巻き煙草。シラバス。そしてビーフジャーキーの袋。
外は阿保みたいにベストの青空。5月の10時。
いつもと同じ朝だったし、いつもと同じおしゃべりだったんだ。
だけ