〈詩〉あなたのもの
あなたのために用意されたものが、
もうあなたのものではありません。
あるじを失ったものは、口を噤んでいます。
鼻を近づけて、目を閉じて、耳をすましてみます。
このにおいはいつか、これから先わたしだけのにおいとなるのでしょうか。
この暗がりに浮かぶあなたの姿が、これから先も見続けることとなる姿なのでしょうか。
この音と声は、これから先都合よく変調してしまうのでしょうか。
もうあなたのものではなくなったものを、どうしたらいいのでしょう。
あなたの元に、送り届けるべきでしょうか。
そもそもあなたはそちらで、必要でしょうか。
わたしのものになりますか?
あなたの欠片であり、わたしの欠片でもあるものは、やっぱり口を噤んでいます。
こうしてもう、半月が経っているのです。
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