〈詩〉野良ハスキー

1990
稚内
11才
雪が降ってて、小学校帰り。
捨てられて野良犬になったハスキー犬が、ふらり現れて、こちらを見ている。
野良ハスキーで塞がれた、下校道。
ランドセルには、ソプラノリコーダー。
吹いたら、どうにかなるんじゃなかろうか。
ピー、ピピー。ピー。
身じろぎ一つしない野良ハスキーは、じっとこちらを見つめる。
不意に、吠える。
ウグー、ウグー、ウオウ。
そして、足を引きずるように、いずこかへ。
あの野良ハスキーは、子孫を残せただろうか。
俺は、残せた。
隣で眠る娘の寝息。
ピー、ピピー、ピー。
45才
川崎
2024

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?