〈詩〉ミッシェル

ミッシェルを教えてくれたおまえはもういない。
信じられないだろうけど、ミッシェルはもう2/4なんだ。
まさかそっちで、また組んでたりしないよな。
そうだとしても、羨ましいなんて思ったりはしないよ、絶対に。

なぜか俺にだけさよならを送らなかったおまえは、おっちょこちょいだったのか、優しかったのか、あるいは気の利いたことを言えずじまいだった俺へのあてつけだったのか。
若い頃は、その事に随分悩んだりしたけど、もう時間を使うのはやめたんだ。
詮索は100年先でも出来るから。

あの頃はまだ、かっこいいと思えるものがメジャーだったし、羽目を外しても許されてたっけ。
今は、静かに缶ビール飲みながら、すぐにいい気分になって、あの頃ばかり思い出して、そしてハッピーなんだよ。
おっさんになったな、と笑うなよな。髪は白くなって抜けまくるし、油断したら腹はすぐ出てくるよ。
感動する事だって減ったかもしれないし、折り返し地点を回ったら、嘘みたいに下り坂で、スピード制御は効きやしない。

でも俺は踊りながら踏ん張るんだ、転ばないように。
白けた眼を通り越して、愛想笑いされるような肩書きになんかなっちまった。
信じられないだろうけど、見回したら誰一人タバコを吸ってない。
マルボロなんて死語になってる。
でも苦しくなんかないよ。楽しんでる。
あとで教えてやるから。この楽しさを。
嫉妬しろよな。

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