〈詩〉一匹

新宿中央線。
ホームに向かって、エスカレーターで下りる。
8時37分。
眼下のホームには数多のわらじ虫が溢れかえっている。
そして、エスカレーターを使って、こちら側へと這い上がってくる。
コンクリートブロックを掴んで、持ち上げた時の、あの大群。

俺は、どうかしてしまったのだろう。
俺だって、雨樋を滑り下り、別の大群に合流しようとしている一匹のわらじ虫だというのに。

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