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【総目次】 新科目「歴史総合」をよむ【みんなの世界史】 関連年表付き

高校で新しく始まる「歴史総合」という科目。

一言で言えば、「めちゃくちゃ面白い科目」です。…が、ややもすれば、「日本史の近現代史に、ちょっと世界史をプラスしたもの」とか「世界史の近現代史部分に、日本史的要素を添えたもの」といった誤解を生みやすい科目でもあるとも思えます(実際にそのように運用されることになるのでは…とも)。 

そこで、実際のところどんな科目なのか、私自身の教材研究も兼ねて、そのコンテンツを先取りしてみたいと思います。実際のところ、世間的に共有されているような歴史の描き方、現在の多くの学校で教えられている日本史/世界史の二分法的な歴史叙述とは、ひと味もふた味も異なるものであるという点は、間違いないありません。内容構成や分量、必要な施策、また、共通テストの科目として設定されてことには、課題や問題もあるとは思います。しかしまずは、一体どのような科目であるのか、正確につかむところから始めていくべきではないかと思います()。専門家や授業者のあいだでは当たり前のことでも、なるべく世間にオープンに発信していったほうがよいのではないかと考え、ここで内容を整理しながら、具体的にあれこれ考えてみることにしました。

活用可能な資料は、それこそ無限にあります。授業用に調理していくのは後々のこととして、まずは予定されている教科書の構成に沿って、食材の調達をすすめ、ある程度普通の「問い」や構成がまとまったところで、さらにこういったレシピが考えられるのではないかといったアイディアを、構想していきたいと思います。勉強に付き合ってくだされば、幸いです。

2021.11.13開始
12.28了。今後はアイディアや資料など、随時追記していきます。



0. 歴史の扉

0-1.歴史と私たち

◆「自分は歴史なんて関係ない」って、本当?


0-2. 歴史の特質と資料
◆ 大昔に起きたことなんて、確かめようがないんじゃないの?


1. 近代化と私たち


1-1. 近代化への問い


◆「問い」と歴史総合

 歴史総合の中には、「問い」を表現する活動が、内容の中に組み込まれています。 どうしてなのでしょうか。

 教科書の記述の背後には、歴史家が資料を読み解く営為があり、資料に向きあう歴史家には、過去の世界に対する何らかの「問い」(問題意識)があります。 一般に、高校における歴史の授業は、教科書に書いてあることを、「覚えるべきもの」「理解すべきもの」とする一方、教員のナラティブ(語り)が、教科書や資料、それに生徒の素朴な意識に対して優位を占め、教科書記述の背後の奥行きや複数の視座が担保されにくい状況があったように思います(一般選抜型を利用する進学者が多数を占める普通科高校にとって、その構造的背景にあるのは受験における重箱の隅を突つくような出題です(特に文系私立大学入試。たとえば稲田義智氏の著書、ブログを参照))。

 歴史総合のカリキュラム編成の議論を踏まえると、歴史学的な学究を、高校生に追体験させようという意図もあるようです(ただ、それは、中学校を卒業したばかりの高校生の学習段階や、個々の学習集団や個人の状況を踏まえる必要があることは、言うまでもありません)。 同時に、過去の世界に関する資料を多様な視座から読み解くことで、ポスト・トゥルースとも言われる現在の情報環境を生き抜き、よりよい社会を形成する資質を育もうという期待も感じられます。 

◆複数性と複雑性に立ち戻ろう

 無論、現在の世界は複雑です。 しかし、だからといって、過去の世界が単純であったわけではありません。なのに、過去の世界のほうが、単純にみえてしまう。なぜでしょうか。

 それは時の経過とともに、解釈の積み重ねは、いくつかの「語り」を生み出し、複数の「語り」が競合する中で、いつのまにか資料が参照されることはなくなり、単純化されるからです。文字として語られた歴史は、ある一定の集団によって記憶される記憶や神話というべきものに変化していきます。そうした単純化された情報は、多くの人にとって、自明で自然なものに映るものです。 昨今のSNSにおいては、ある種の情報が感情的でファストな反応をもたらすケースが、かつてよりも短いサイクルで繰り返し引き起こされています。もっとも厄介なのは、情報に対する諾・否や快・不快の背後に、単一の「語り」によって区分けされた世界観が、自明で自然なものとして存在する場合なのかもしれません。単一で単純な「語り」に屈するのではなく、複雑さに立ち戻る。単純に見えるものの内部に宿る複数性を、よみがえらせる。時代時代に応じて人々のつくりだした世の中の仕組みによって、おさえられてきたもの、隠されてきたものに、耳を傾け、すくい出す。歴史総合のカリキュラムには、そういった力を育む学びが現代的な諸課題の解決にも資するのではないかという展望があるように思われます。  歴史総合の「目標」には3項目があります。そのうちの一つをみてみましょう。「(1)近現代の歴史の変化に関わる諸事象について、世界とその中の日本を広く相互的な視野から捉え、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を理解するとともに、諸資料から歴史に関する様々な情報を適切かつ効果的に調べまとめる技能を身につけるようにする。」 過去の世界の問い直しを通して、現在の世界の複雑性・複数性に気付き、それを現在の課題解決に活かす道をひらく科目。それが、歴史総合の目指すところであると思います。 つまり、学びをすすめていくにあたっては、まずもって、生徒たちが現在自分たちの暮らしているこの世界、永遠不変で当たり前だと思っている周囲の環境に対して、ちょっとだけ距離を置き、「問い」を発することのできる仕掛けをつくる必要があります。批判的な思考ですね。授業を組み立てていく上でまずもって重要なのは、この点について、手法と内容の両面から準備を進めることでしょう。

◆5つの観点+1が大事だと思う

 私個人としては、まずこのシリーズ「新科目「歴史総合をよむ」を通して、「5つの観点+1プラスワン」を踏まえながら、使うことのできそうな資料や問いのアイディア出しをしてみることにしました。

 「5つの観点+1」というのは、私の造語です。

 「5つの観点」は学習指導要領2-B-(4)、2-C-(4)後述するように、自由・制限、平等・格差、開発・保全、統合・分化、対立・協調のことで、たとえば2-C-(4)では次のように示されています。

「内容のA及びBの(1)から(3)までの学習などを基に、自由・制限、平等・格差、開発・保全、統合・分化、対立・協調などの観点から主題を設定し、諸資料を活用して、追究したり解決したりする活動を通して、次の事項を身につけることができるよう指導する。 ア 次のような知識を身に付けること。 (ア)現代的な諸課題の形成に関わる近代化の歴史を理解すること。 イ 次のような思考力、判断力、表現力等を身に付けること。 (ア)事象の背景や原因、結果や影響などに着目して、アジア諸国とその他の国や地域の動向を比較したり、相互に関連付けたりするなどして、主題について多面的・多角的に考察し、表現すること。」

 「+1」は、「持続可能な社会の実現」のことで、2-D-(4)に以下のように示されています。

「内容のA、B及びC並びにDの(1)から(3)までの学習などを基に、持続可能な社会の実現を視野に入れ、主題を設定し、諸資料を活用し探究する活動を通して、次の事項を身に付けることができるよう指導する。」

◆「5つの観点+1」は複数性を担保する「ワクチン」である 私は「5つの観点」(自由・制限、平等・格差、開発・保全、統合・分化、対立・協調)とは、歴史学習を単純化の罠から救い出すための「ワクチン」(藤原辰史氏)であるととらえています。

 たとえば、通俗的な地政学的な語りにおいて、過去の世界の説明は、しばしば「国」が主人公となることが多い。 「「ロシア」が「日本」を圧迫した」とか「「日本」は、「中国」とは違って「アジア」から脱し「ヨーロッパ」の制度をとりいれて近代化した」といった語ですね。 こうした説明は、単純明快でわかりやすいことは間違いない。しかし、そこからこぼれ落ちるものが、たくさんあるわけです。 歴史総合のはじめのパート(学習指導要領では内容のB)は、18世紀以降、近代国家の形成国民としてのまとまり(統合)がどのような経緯で進み、現代の社会にのこる諸課題とのつながりについて、世界的な動向のに注目しながら学習します。しかし、「誰が国民か?」という選別には、必ず「誰が国民ではないか?」という排除や格付け(分化)がともないました(たとえば、男性と女性の関係は、近代化とともにどのように再編されていったのでしょうか)。 それは国民国家の内側に属した人々と、周縁に属する人々という二分法にとどまりません。国民国家への統合は、周縁に属するさまざまな地域の人々の相互関係にも影響を与えました。周縁に位置づけられるたからといって、国民国家形成に対立するわけではなく、協調する人々もいたのです。それはなぜでしょうか。 歴史総合のはじめのパートでは、資本主義的な経済体制の成長にもスポットライトが当てられます。資本主義的な企業経営により生み出された多数の非熟練労働者は、よりよい待遇を求め、しばしば都市で騒擾を起こすようになります。農村でも寄生地主制の発達により、小作人の騒擾もしばしば起こりました。四民平等を契機に国民として統合されていった人々のなかに、経済的な格差が深まっていったわけです。人々はどのような自由を求めたのでしょうか。そして政府はどのような制限をかけたのでしょうか。そして、人々も政府も、一枚岩であったといえるのでしょうか。 その後、日本においては日清戦争・日露戦争期を経て、台湾や朝鮮といった植民地を領有し、第一次世界大戦後に国際連盟の常任理事国になると、「一等国」としてのプライドと国民的な一体感はむしろ高まっていきます。しかし統合の背後には、内地と植民地などの間には、さまざまな面で格差や排除(分化)もありました。 「5つの観点」のうち、特に注目すべきポイントは「開発と保全」です。 「自由・制限、平等・格差、統合・分化」が人間の活動する圏域にまつわるものであるのに対し、「開発と保全」は、人間の活動圏と地球圏の相互作用に関するものですね。 ここには歴史総合のカリキュラム構想の経緯の中でも言及された「ビッグ・ヒストリー」(宇宙の誕生に遡り、宇宙史・地球史・生命史というより長期の枠組みについて、文理融合的に過去の世界をとらえる歴史的なアプローチ)の要素が感じられます。ただたんに、公害問題とか地球環境問題を扱えばよしというのではなく、先ほど述べた「+1(持続可能な開発)」との接続の観点からも、もっと広い視野で扱う必要があると思います。 そのうえで、「5つの観点」のうちの「対立と協調」は、自由・制限、平等・格差、開発・保全、統合・分化の4観点よりも、一つ上位のレイヤーにあるものと考えます。4観点について、人々や政府、国際社会がどのように関わり、歴史を動かしていったのか。国民国家や帝国内部の内なる複雑性。さまざまな立場にある人々をクロスし、国民国家や帝国を越える言説・運動ネットワークの複数性(たとえば、反帝国主義運動、植民地の米騒動、明治期以降の(大)アジア主義、反核運動、68年の運動)。内部の複雑性・複数性に注目するための「道具立て」であるからです。

 ◆「問い」をあらかじめ想定しておきたい

 どのような「問い」が出うるのか、どのような資料を用意し、相互に組み合わせればいかなる「問い」が生じうるのか、あらかじめ検討しておくことで、生徒側から出た「問い」への対処の幅を確保できるのではと考えるからです。

 その際、「5つの観点」については「近代化」「国際秩序の変化や大衆化」「グローバル化」のそれぞれについて全て組み込んだプランと、「5つの観点」を3つのパートに固定的に振り分けていくプランの両者を準備してみたいなあとは思っています。 最後に付言すれば、「問い」そのものの持つ単一性への誘惑にも、自覚的になっておきたいといころです。 人々の立場はさまざまですが、自分たちの生み出す意見や行動は、つねに再帰的に国際政治や国内の社会の動向の影響を受けるがゆえに、外部の立場からは、しばしば人々の思いの複雑性・複数性が抜きにされ、単純化されがちです。  たとえば、ある事象を見て、これは「反帝国主義的な運動だ」「帝国主義的な言説だ」「冷戦構造のあらわれだ」という類の単純化を前提として、問いを組み立てるような話は、これからしばしば起こりうるでしょう。大きな物語から「こぼれ落ちた部分」に対する意識を持ち、準備をしていきたいところです。


◆「近代化する」って、何が、どうなること?

1-1-1. 労働と家族/1-1-2. 産業と人口/1-1-3. 交通と貿易/1-1-4. 移民/1-1-5. 権利意識と政治参加や国民の義務/1-1-6. 学校教育



5つの観点から考える問い

(1) 自由と制限
(1)-1. 国民国家形成と工業化によって、どのような人々の自由が拡大したといえるのだろうか?
 ・どのような人々が、国民国家形成と工業化を推進・協力したのだろうか?
 ・どのような人々が、国民国家形成と工業化に反対・抵抗したのだろうか?
 ・なぜ欧米諸国は憲法を制定していったのだろうか?
 ・明治新政府は、なぜ憲法を制定しようとしたのだろうか?
 ・明治憲法発布に対し、日本の人々はどのような反応を示したのだろうか?

(1)-2. 帝国主義政策をとった国々の人々は、どの程度自由を謳歌できたのだろうか?
 ・どのような人々が、帝国主義政策を推進・協力したのだろうか?
 ・どのような人々が、帝国主義政策に反対・抵抗したのだろうか?


(2) 平等と格差
(2)-1. 
国民国家形成と工業化によって、どのような人々の平等が拡大したといえるだろうか?
・産業革命の進展とともに、奴隷解放の動きが進んだのはなぜ?
・身分制が撤廃されたのにもかかわらず、人々の格差が縮まらなかったのはなぜだろうか?
・近代化が進行し、都市に住む人々が増えるにしたがって、家族の絆は強まったといえる?

(2)-2. 帝国主義政策は、どのような人々を、どの程度平等にしたといえるだろうか?
・帝国主義政策は、どのような格差を拡大したといえるだろうか?
・帝国主義政策によって、どのような人々の平等が保障されたのだろうか?


(3) 開発と保全
(3)-1. 
開発によって、どのような人々が、どの程度幸せになったといえるだろうか?
・開発によって自然環境が破壊されたとき、人々はどのような動きを起こしたのだろうか?

(3)-2. 帝国主義政策は、自然環境をどのように変えていったのだろうか?
 ・どのような人々が、開発を推進・協力したのだろうか?
 ・どのような人々が、開発に反対・抵抗したのだろうか?

(4) 統合と分化
(4)-1. 
国民国家による統合の影で、どのような人々が排除されていったのだろうか?
・国民の一体性はどのように強められていったのだろうか?
・国民国家の形成とともに、どのような人々が国民ではない人々とされるようになったのだろうか?
・「辺境」の人々は、国民国家への統合を歓迎したのだろうか? それとも批判的であったのだろうか?

(4)-2. 帝国主義政策によって、どのような人々が統合され、どのような人々が排除されていったのだろうか?
・帝国主義政策によって統合される人々は、その政策にどのような思いを抱いていたのだろうか?
・帝国主義政策によって排除される人々は、その政策にどのような思いを抱いていたのだろうか?


1-2. 結びつく世界と日本の開国


1-2-0.18世紀以前の世界:近代化への胎動

◆ 世界は、いつごろから結びつくようになったの?

1-2-1.18世紀の東アジア

◆ 18世紀の東アジアの人々は、どんな生活を送っていたの?

1-2-2.結び付くアジア諸地域
◆ 「江戸時代の日本は「鎖国」していたわけじゃない」って聞いたことがあるけど、それってどういうこと?

1-2-3.18世紀のヨーロッパとアジア
◆ ヨーロッパ諸国は、なぜアジアにやって来たの?

1-2-4. 産業革命のはじまり
◆ 産業革命って、なにがそんなにすごいの?

1-2-5.世界市場の形成
◆ どうしてヨーロッパ諸国は、世界中に植民地を広げることができたの?


1-2-6.東アジア国際関係の変化と日本の開国
 「開国」によって、東アジアの国際関係はどう変わったの?



1-3. 国民国家と明治維新


1-3-1. 市民革命と近代社会
◆ 欧米諸国では、どのようにして近代社会がつくられていったの?

1-3-2. 自由主義とナショナリズム
◆ 「憲法」をつくると、どうして国がまとまるの?


1-3-3. アジアの諸国家とその変容
◆ 「西洋の衝撃」って、そんなに大きなものだったの?


1-3-4. 明治維新と国民国家の形成
◆ 日本はどうしてこんなに短期間で近代化に成功したの?

1-3-4-2. 「西洋の衝撃」と東アジアの国際関係



1-3-5. 立憲制の広まり
◆ 憲法を導入する国が、世界中に広まったのは、なぜ?

1-3-6. 帝国主義と植民地
 帝国主義は、世界をどう変えたの?

1-3-7. 日清戦争と華夷秩序の解体
◆ 日本はどうして海外に植民地を求めるようになったの?

1-3-8. 帝国主義諸国の競合と国際関係
◆ どうして20世紀にかけて欧米諸国・日本の関係は悪化していったの?

1-3-9. 植民地支配と植民地の近代、人種主義(1)
 植民地を持つことは、「悪いこと」だという人はいなかったの?

1-3-9-2. 植民地支配と植民地の近代、人種主義(2)





1-3-10. 20世紀はじめの世界


◆ ◆ ◆

2. 国際秩序の変化や大衆化と私たち


2-0. 国際秩序の変化や大衆化への問い

◆ 「国際秩序の変化」は、世界をどのように変えたの?
◆ 「大衆化」って、誰が、どうなること?


2-1-1. 大衆社会の時代
◆ 「大衆社会」って、誰が、どのようになる社会のこと?


2-1-2. 第一次世界大戦の展開
◆ 第一次世界大戦は、それまでの戦争とどんなところが違うの?


2-1-3. 国際協調体制の形成
◆ 第一次世界大戦後の世界平和の守り方は、それまでとはどのように変わったの?


2-1-4. ソヴィエト連邦の成立と社会主義
◆ 社会主義革命って、何がそんなに新しかったの?


2-1-5. アメリカ合衆国の台頭と大量消費社会
◆ 大量消費社会は、人々の暮らしをどう変えたの?


2-1-6. アジアの経済成長と移動する人々
◆ アジアの人々の中に、みんなで協力しようという動きは起きなかったの?


2-1-7. 反植民地主義の高揚と国際秩序の変容


2-1-8. 「大衆」の出現とその動向
◆ 「大衆」が力を持つようになると、社会はどんなふうに変わっていったの?


2-1-9. マスメディアの発達と日常生活



2-2. 経済危機と第二次世界大戦

2-2-1. 世界恐慌


2-2-2. アジア・アフリカと大衆社会


2-2-3. 国際協調体制の崩壊


2-2-4. 日中戦争と深刻化する世界の危機


2-2-5. 第二次世界大戦の勃発


2-2-6. 第二次世界大戦における連合国と戦後構想




2-2-7. アジア・太平洋戦争と日本の敗戦



2-2-8. 連合国の占領政策と日本の戦後改革



2-2-9. 連合国の占領政策と冷戦



2-2-10. 再編されるアジアと冷戦


3.グローバル化と私たち

3-1-1. 冷戦下の地域紛争と第三勢力

3-1-2. キューバ危機と核兵器の管理

3-1-3. 脱植民地化の進展と地域紛争

3-1-4. 計画経済と開発

3-1-5. 冷戦下の日本とアジア


3-1-6. 日本と欧米先進国の経済成長

3-1-7. 地域連携の拡大

3-1-8. ベトナム戦争と冷戦構造の変容


3-2.世界秩序の変容と日本

3-2-1.問い直される「近代」


3-2-2.石油危機と経済の自由化


3-2-3. アジアの経済発展と日本


3-2-3-1. 開発援助の世界史



3-2-4. 冷戦の終結と世界

3-2-5. 拡散する地域紛争・テロ


3-2-6. 民主化の進展

3-2-7. グローバル化と地域統合

3-2-8. 「平成」という転換点





「歴史総合」に関する関連資料


資料置き場

東京大学総合研究博物館 展示図録
 過去の図録が公開されている。


『高校で学ぶ感染症の歴史―歴史総合の授業で使える教材集』(医学史と社会の対話、2022)


アジア歴史資料センター


国立国会図書館デジタルコレクション


・藤波伸嘉「オスマン帝国憲法修正条文―翻訳と解題」(「国際関係学研究」(41), 13-26, 2015年)




科目新設の経緯・関連年表

・2006秋  世界史未履修問題が発覚
・2007.12.5 南塚 信吾『世界史なんていらない? (岩波ブックレット) 』刊行


・2008. 6.7 日本学術会議 史学,地域研究,心理学・教育学委員会合同「高校地理歴史科教育に関する分科会」主催公開シンポジウム「高校教育における時間と空間認識の統合―世界史未履修問題をどう解決するか」

・2008.10 『学術の動向』特集1◆高校における地理 ・歴史教育の改革 小林正人「時間と空間認識の統合を目指して ―高校地理歴史科教員か らの提言―」

・2011.8.3 心理学・教育学委員会・史学委員会・地域研究委員会合同
高校地理歴史科教育に関する分科会「新しい高校地理・歴史教育の創造 -グローバル化に対応した時空間認識の育成

2 要旨
(1)世界史教育の現状と世界史未履修問題発生の背景
世界史未履修問題の発生原因は、i)情報などの新科目の導入や週5日制への移行による 地理歴史科の授業時間数の減少、ii)小中学校の社会科歴史分野の日本史中心の教育、iii) 大学入試の出題が用語の暗記力を問う傾向が強く、高校の授業も知識詰め込み型で行われ る傾向が強いため、生徒の「世界史離れ」の傾向が発生、iv)大学の教員養成の課程でも 「知識詰め込み型」の教育が繰り返されていることなど、複合的要因で発生した。しかし、 2008 年度に発表された高校の新学習指導要領では世界史必履修の継続が決定、根本的な 問題解決が見送られている。
(2) 高校の日本史教育の問題点
i)世界史とは切り離して「一国史」的に教える傾向…
(中略)

3高校における地理歴史科教育の改革案
(1) 現行の科目構成内での短期的改革案
21 世紀の世界のグローバル化に対応するため、外国語で自分の意見を明確に発信し、 相手文化の十分な理解の上で合意形成できる能力の育成が不可欠。しかし、高校における 歴史・地理教育は「知識詰め込み型」が主流。「思考力育成型」の教授法への転換不可欠。 また、現場教員の声を重視した地理と歴史の連携の短期的なあり方として、3科目のそれ ぞれに地歴融合単元などの設定を促進する。

①世界史・日本史教育の場合
i)具体的には、教科書の各章末に設問設定、通史的变述の中で歴史の多様な発展や多 様な解釈がありうることを考えさせる、ii)過去への興味・関心の喚起、歴史的資料の 調査力や歴史的分析・解釈力、時系列的思考力の育成、過去の意志決定を将来の生徒自 身の意思決定に役立てる方向性を示唆できる教授法の開発、iii)関連学会などによる歴 史の重要用語厳選のガイドラインを作成し、大学入試の出題に反映させるよう働きかけ る、iv)日本学術会議などに委員会を設置し、最新の研究成果を教科書内容に反映でき るように助言、v)高校教員が新しい教授法の開発や教材研究に努力できるような環境を 整備したり、研修の機会を保証、vi)大学での教員養成課程における思考力の育成カリ キュラムの強化、vii)世界史・日本史・地理の3科目間の相互関連を強化する教科書作 りを促進する。
(中略)
(2) 新規科目の創設による長期的な改革の提言
①新規科目の創設
i)現行の世界史必修の代わりに世界史Aと日本史Aを統合した「歴史基礎」(2単位) と地理Aを改変した「地理基礎」(2単位)を新設し、ともに必修とする。ii)この案 は、歴史・地理の両学会の交流が尐なく、高校現場の歴史・地理担当教員間の分業の壁 が厚い現状では無理のない案だが、最低必履修単位が現行の世界史A2単位から4単位 に増加する問題点がある。iii)この点で「地歴基礎」(2単位)必履修案も次善の策と して考えられるが、これを実現するには歴史と地理の学会間や高校教員間の交流促進が 必要となる。
②歴史基礎
i)従来の高校歴史教育における世界史と日本史の分断状況を克服、日本史を世界史の 一部に組み込んだ真にグローバルな歴史として教える、ii)従来見られたヨーロッパ中 心的な傾向を改め、世界の様々な歴史主体の独自性や主体性やその相互浸透過程を重視 する、iii)従来の歴史的知識の教授に偏る教授法を改め、歴史的思考力の育成を図るた め、主題学習、調べ学習、グループ研究・発表・討論、資料・年表の収集・解読などの 機会を大幅に増加、iv)具体的な歴史基礎の教育内容については、(A)時系列型に主 題学習を加味したタイプ、(B)近現代に集中したタイプ、(C)主題中心のタイプの 3案を検討。今後の検討のためのたたき台として参考資料の中で提示した。
(中略)

4 関連分野における改革の提言
(2) 大学入試における地理歴史科関連科目の改革
①全般的改革
大学への希望者全入時代の到来による大学入試の多様化、学力試験の選抜機能の低下 のなかで高校段階の到達度をチェックする「高大接続テスト」案が浮上。これが実現す る場合には、国語・外国語・数学に限定せず、地歴科や公民科、理科も含めて実施すべ きである。
②世界史・日本史
i)従来の歴史用語の暗記力を問う出題中心を改め、歴史的思考力を試す論述式の出題 を飛躍的に増やすべき、ii)関連学会が主導して重要用語を厳選したガイドラインを作成し、その範囲内で大学入試の出題をするように大学の歴史研究者に働きかけてゆく。

5 提言 
(前略)
(4) 地方自治体の教育関係機関および高校教員に対して
地方自治体の教育関係機関に対しては、高校教員の授業以外の負担の軽減や研修機会の 充実などによって「思考力育成型」教育の強化を図ること。高校教員に対しては、このよ うな条件の整備を前提として、独自に教材開発や教授法の改善を行って「思考力育成型」 の教育を推進するように提案する。




・2011.9 『学術の動向』 特集1◆新しい高校地理・歴史科教育の創造 ―グローバル化時代を生き抜くために 髙橋昌明「新科目「歴史基礎」の特徴と 具体化に向けて」 改革構想当時の科目名は「歴史基礎」(仮)であった。「世界史と日本史を統合する方法としては、(A)古代から現代までの時系列をベース とする型、(B)近現代史集中型、(C)主題学 習中心型の三タイプ」が構想されていたことがわかる。

・2011.11.16 日本学術会議幹事会(第 140 回) 高校歴史教育に関する分科会設置、委員決定

・2011.11.19 羽田正『新しい世界史へ――地球市民のための構想』岩波新書 刊行

2011.12.26 日本学術会議 高校歴史教育に関する分科会(第1回) 

2012.5.8 日本学術会議 高校歴史教育に関する分科会(第3回) 桃木至朗「歴史基礎案の検討 世界史の全体像を大学で教える試み」
・2012.8.28「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」を中央教育審議会に諮問

2012.10.27 日本学術会議 高校歴史教育に関する分科会(第4回) 三谷博「『歴史基礎』B 案(近現代史集中案)の改訂について

2013.3.11 日本学術会議 高校歴史教育に関する分科会(第5回) 池享「『歴史基礎』構想案(A)について」
2013.6.8 日本学術会議 高校歴史教育に関する分科会(第6回) 厚海啓子(日本橋女学館高等学校教諭)「歴史基礎の試行」、 油井大三郎「『歴史基礎』の実験と用語限定のガイドラインについて

・2013.10.31 教育再生実行会議第 4 次提言「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」
→「達成度テスト(発展レベル)」(複数回実施、外国語、職業分野等の外部 検定試験の活用を検討 し、試験結果の段階別表 示・資格試験的活用を工夫する。将来的に CBT 方式も検討する)
→高校における学習の達成 度を把握する「達成度テスト(基礎レベル)」を導入し、高校の指導改善や 推薦・AO 入試にも活用する。

・2014.2.13 日本学術会議 高校歴史教育に関する分科会(第7回) 提言案について、「高校地理歴史教育に関するシンポジウム」について  

・2014.4.1 桃木 至朗荒川 正晴 ・秋田 茂ほか『市民のための世界史』大阪大学出版会 刊行


2014.6.13 「再び高校歴史教育のあり方について(案)」2014.5.3日本学術会議幹事会(第 193回)で承認→「再び高校歴史教育のあり方について

 この時点での科目名は「歴史基礎」である。

2 従来の「日本史」科目と「世界史」科目を新たな選択科目に改編し、幅と深みを 備えた歴史教育をめざすことも重要である。そのため、まず第 1 に、授業の内容を 暗記中心の知識伝達型から生徒の学習意欲を喚起する思考力育成型へと転換する こと、第2に、「日本史」科目においては世界との関連を強く意識し、「世界史」科 目においては日本の位置を常に念頭に置きつつ学ぶこと、そして第3に、教科書の 記述に当たって使用する歴史用語の数を制限(たとえば、二千数百語以内)するガ イドラインを作成することが重要である。

〔筆者注:歴史用語の数を制限するガイドラインは、その後に発表された〕

3 考える力を培う、より質の高い歴史教育をめざし、「歴史基礎」の教育方法を探求 する必要がある。高校の歴史教育は、大多数の国民が主権者そして人類の一員とし ての役割を果たす力や、さまざまな文化や価値観を持つ人々と協力・共生する力を 身につける最終段階に位置している。そのため、日本史と世界史を統合して新設さ れる「歴史基礎」科目は、近現代のアジア太平洋史に重点を置き、方法的には、教員による講義中心の授業形態から、生徒が課題に取り組みながら学習を進める形に 歴史教育像の転換を図る必要がある。教育方法の改善は、「日本史」と「世界史」 という従来の B 科目にも共通する課題だが、必修科目として想定される「歴史基礎」 には特に強く求められる。
特に上記1・3に関わる「歴史基礎」科目の構成原則と大枠の試案をまとめ、提言す る。
(2) 「歴史基礎」科目の構成原則
1 歴史の理解を深めることを主眼とする。
2 日本史と世界史を統合する。
3 グローバル・ヒストリーをめぐる近年の成果を生かす。
4 日本と近隣諸国を重視する。
5 歴史における長期・広域問題を考えるように促す。
6 教育の方法としては、Q&A 方式を重視する。
(3) 「歴史基礎」科目カリキュラムの試案
以下の6つの部分から構成されるカリキュラム試案を提示する。ただし、これはあく まで試案の提示に過ぎず、今後、さまざまな場で議論を深めていくことが期待される。
第1部 導入
第2部 近代以前の世界
第3部 グローバル化の加速
第4部 近代化と帝国主義の時代
第5部 脱植民地化、冷戦、経済発展の時代
第6部 展望

この時点では、「近代以前」、「グローバル化」「近代化と帝国主義」「脱植民地化、冷戦、経済発展」という章立てであった。「グローバル化」という用語の扱いについては、議論があった。以下にこの時点における試案を転載しておく。 

<参考資料2>「歴史基礎」科目カリキュラム試案
第1部 導入(1 課題) 基本課題:私たちはどんな場所に住んでいるのだろうか。
問い:東日本大地震で亡くなった人はどれくらいいただろうか。 問い:この百年の日本で 1000 人以上死者が出た地震はどれほど発生しただろうか。
参考 http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/world/historical_country.php#japan 問い:この百年の世界で、マグニチュード 8 以上の地震は、どこで、いつ発生しただろうか。
参考 http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eqarchives/year/mag8/magnitude8_1900_date.php 問い:富士山は、いつ、どれくらいの回数、噴火したことがあるのだろうか。
第2部 近代以前の世界(3課題)
第 1 課題:いま生きている人類はどのようにして誕生したのだろうか。(人類の一様性)
問い:いま生きている人類は、いつ、どこで誕生したのだろうか。 問い:現生人類は、いつ、どのようにして、地球上に拡がっていったのだろうか。 問い:そのとき、他の動物にはどんなことが起きただろうか。 (絶滅・家畜化) 問い:人類が多種類の言語を使うようになったのはなぜだろうか。
参考 John & William McNeill, The Human Web, W.W. Norton & Company, 2003 第 2 課題:近代以前の世界で、人類はどのように結びついていたのだろうか。
問い:遠い地域に住む人々は、どんなモノを交換していたのだろうか。(感染症も) 問い:世界に広まった宗教にはどんなものがあっただろうか。 問い:世界の広い地域を征服した人にはどんな人がいただろうか。 問い:それぞれの地域に住む人は世界のつながりをどう意識していただろうか。
第 3 課題:近代直前の世界にはどんな文明があっただろうか。 問い:東アジアにはどのような文明があっただろうか。 問い:東アジア以外のユーラシア大陸にはどんな文明があっただろうか。 問い:アフリカ大陸やアメリカ大陸にはどんな文明があっただろうか。 特別な問い:日本・中国・イギリスの家族はどんな特徴を持っていただろうか。
第3部 グローバル化の加速(3 課題)
第 1 課題:科学が技術に結びついたとき、人類にはどんな変化が生まれただろうか
問い:18 世紀までの人類が使っていた技術をいくつかあげなさい。(料理・・) 問い:17 世紀の西洋に起きた「科学革命」とはどんなものだったのだろうか。 問い:19 世紀に誕生した科学を基礎とする技術をいくつかあげなさい。(電気・・) 問い:19 世紀に加速したグローバル化はどんな技術に基づいていたのだろうか。
第 2 課題:アメリカとフランスの革命により、どんな政治の仕組みが生まれただろうか。 問い:18 世紀の末に北アメリカに生まれた政治はどんな点で新しかったのだろうか。 問い:フランス革命では何が変わったのだろうか。 問い:世界の他の地域にフランス革命はどんな影響を与えたのだろうか。
第 3 課題:アジアの人々は西洋の動きにどう対応したのだろうか。 問い:西洋人が現れたとき、「中東」の人々はどんな経験をしただろうか。 問い:同じく、インドの人々は?
問い:同じく、中国や朝鮮の人々は? 特別な問い:海上交通により拡がった感染症にはどんなものがあっただろうか。
第4部 近代化と帝国主義の時代(4 課題)
第 1 課題:日本はどのように近代化を始めたのだろうか。
問い:ペリ-の来た日本にはどんな政治の仕組み・経済・文化があっただろうか。 問い:明治維新により日本はどのように変化しただろうか。
(例えば、1853 年と 1890 年を比べてみる) 問い:日本人は西洋文明と伝統をどのように結びつけたのだろうか。

第 2 課題:日本は維新の後、隣国との関係をどのように結び直したのだろうか。 問い:琉球や蝦夷地の人々にはどんなことが起きただろうか。 問い:日本は朝鮮や中国との関係をどのように変えたのだろうか。 問い:日清戦争の後、中国や朝鮮の人々にはどんなことが起きたのだろうか。
(日本の植民帝国化 ナショナリズムと民主化の始まり) 問い:日露戦争の後、日本と朝鮮の関係はどう変わっただろうか。
第 3 課題:西洋諸国が帝国主義的競争を始めたとき、世界に何が起きただろうか。 問い:「中東」やアフリカの人々には何が起きたのだろうか。 問い:第一次世界大戦はどんな点で「新しい戦争」だったのだろうか。 問い:第一次世界大戦の結果、西洋や他の地域の人々に何が起きただろうか。
(ロシア革命も入るが、詳しくは後に譲る)
第 4 課題:日本が近隣への再拡張を始めた時、アジア太平洋地域に何が起きただろうか
問い:1930 年代の初めの日本はどんな状態だったろうか。 問い:日本の軍部はどのようにして権力を握ったのだろうか。 問い:日本軍の侵略に対し、中国人はどのように対応しただろうか。 問い:日本はどうして欧米とも戦争を始めたのだろうか。
第5部 脱植民地化、冷戦、経済発展(4 課題)
第 1 課題:大日本帝国が崩壊した後、東アジアの人々にはどんなことが起きただろうか。
問い:独立後の韓国・朝鮮はなぜ二つに分かれたのだろうか。 問い:中国と台湾ではどのようなことが起きただろうか。 問い:日本人はどのように国を立て直したのだろうか。
第 2 課題:「冷戦」はどのようにして始まり、続いたのだろうか。 問い:資本主義国と社会主義国にはどのような点に違いがあったのだろうか。 問い:世界の主要国はどのようにして「冷戦」を始めたのだろうか。 問い:非西洋の人々は「冷戦」の間にどんな経験をしたのだろうか。
第 3 課題:アジアの国々はどのようにして経済発展を始めたのだろうか。 問い:1960 年代の世界で日本はどのような立場にあったのだろうか。
(西欧・北米以外で唯一、経済発展と民主化を経験していた。今と全く異なる) 問い:韓国や台湾はどのようにして経済発展を始めたのだろうか。 問い:産油国ではどのようなことが起きただろうか。 (豊かさと専制)
第 4 課題:「冷戦」後の世界はどのようなものだろうか。 問い:東ヨーロッパや韓国・台湾はどのようにして自由を手に入れたのだろうか。 問い:「冷戦」後にいくつかの国で民族紛争が起きたのはなぜだろうか。 問い:経済発展は必ず自由な社会を生むのだろうか。 (中国への注目)
第6部 展望(1 課題) 基本課題:狭くなってゆく地球でどうしたら人々は共に暮らしてゆけるのだろうか。 問い:現在の地球上で、人口・CDP・森林はどのように分布しているのだろうか。
参考 http://www.worldmapper.org/ 問い:いま世界の人々・商品・文化は、どのように移動しているだろうか。
(データ入手が難しいかもしれない) 問い:グローバル化や工業化の普及に伴ってどんな問題が生じているだろうか。
(気候変動、感染症など)
特別な問い 現在の世界で男女の関係はどのように変化しつつあるだろうか
 

2014.12.22 中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、 大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について―すべての若者が夢や目標を芽吹かせ、 未来に花開かせるために―」
→思考力・判断力・表現力を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト」(資格試験的利用促進、複数回実施、成績結果 の段階別表示、CBT 方式での実施、英語の 4 技能 (「読む」「聞く」「話す」 「書く」)を評価できる出題や民間資格・検定試験 の活用、「合教科・科目型」 「総合型」の問題、「記述式」の導入を提言)
→「高等学校基礎学力テスト」(入試への活用を本来 の目的とするものではな く、進学時の活用は、調査 書に結果を記入するなど 参考資料の一部として用いる。)



・2015.3.26 鳥越泰彦『新しい世界史教育へ』飯田共同印刷 刊行(著者は2014.3に急逝)


・2015.7.26 高大連携歴史教育研究会  発足


・2015.8.5 文部科学省 新学習指導要領の骨格を発表 科目名は「歴史総合」(仮称)を検討していることが公表される

このことが、当時メディアでも大きく報道され、話題を呼んだ。https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/053/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/08/06/1360750_2-3.pdf




2015.11.12 〜 2016.6.27 教育課程部会 高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム(全5回) 議事要旨・議事録・配付資料

2015.12.7 〜 2016.6.13  教育課程部会 社会・地理歴史・公民ワーキンググループ(全14回) 議事要旨・議事録・配付資料

・2016.3.31 高大接続システム改革会議最終報告、公表 
→知識・技能を十分有して いるかの評価も行いつつ、思考力・判断力・表現 力を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト」(当面、国語・数学 で記述式導入(成績は段階別表示)。英語の4技能 評価の実現・民間試験の 知見活用を検討。マーク式で正解が 1 つに限られない問題など)
→「高等学校基礎学力テスト」(当初は大学入試等には用いず、目的である学 習改善等に用いながら、 検証を行う。2023 年度以 降の大学入試等への活用は更に検討。民間事業者の活用)


2016.4.11  「高等学校学習指導要領における「歴史総合(仮称)」の改訂の方向性として考えられる構成(たたき台)」教育課程部会社会・地理歴史・公民ワーキンググループ 資料9

3点指摘しておきたい。(1)この時点で、すでに5つの歴史的な状況が示されている(「富裕と貧困」は、その後「平等と格差」に変更された)。(2)また、時代区分も「近代化」は18世紀後半とされている。現状の日本史において近代の始点は、通常19世紀後半の開国前後であり、これを世界史における近代の始点(諸革命の時代)に合わせた形である。現代の始期を「グローバル化」のはじまる20世紀後半としてあるが、世界史においては19世紀後半(帝国主義と社会の変容)を始期とすることが通例なので、こちらは日本史の側に合わせた形となった。(3)「近代化」については比較、「大衆化」については因果、「グローバル化」については相互作用に着目するという指示は、最終的に消えた。たしかに時代ごとに方法を限定してしまうと、学びの幅が縮まってしまうから、変更は妥当だったといえる。(4)大衆化の部分には「国際秩序の変容」が付加されていない。


・2016.5 『学術の動向』特集 1 ◆歴史教育の明日を探る ―「授業・教科書・入試」改革に向けて―   小川幸司「「問いをともに考える」世界史へ」 、久保亨「高校歴史教育のあり方をめぐって ─「世界史」未履修問題表面化以来の日本学術会議の取組

2016.5.16 日本学術会議 史学委員会高校歴史教育に関する分科会「提言 歴史総合に期待されるもの」


2016.6.27 教育課程部会 高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム(第5回) 配付資料の一覧

2016.6.27  高等学校学習指導要領における「歴史総合(仮称)」の改訂の方向性1(案)」平成28年6月27日 教育課程部会 高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム 資料9


2016.6.27 「高等学校学習指導要領における歴史科目の改訂の方向性(案)」平成28年6月27日 教育課程部会 高等学校の地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム 資料10

・2016.8.2 産経新聞ウェブ版「世界史A+日本史A=「歴史総合」 「世界の中の日本」重視

「次期学習指導要領で目玉となる「歴史総合」は、近現代史を扱う世界史Aと日本史Aを関連づけて学ぶ科目だ。設問に対し資料を考察しながら議論し答えを探る授業を想定するが、教員からは戸惑いの声も上がる。」






2016.8.26 社会・地理歴史・公民ワーキンググループ「社会・地理歴史・公民ワーキンググループにおける審議の取りまとめについて(報告)

・2016.9 河合塾『Guidline(ガイドライン)』特集 学習指導要領改訂と高大接続改革 神戸大学附属中等教育学校における事例の紹介

2017.7.13 高大接続改革実施方針 
→知識・技能を十分有しているかの評価も行いつ つ、思考力・判断力・表 現力を中心に評価する 「大学入学共通テスト」( 国語・数学で記述式導入 (2024 年度以降、社会・ 理科も検討)、採点に民間事業者活用。マーク式で 正解が 1 つに限られない 問題など。英語の外部検 定試験を活用。共通テストの英語は 2023 年度まで は実施、次期学習指導要 領に基づく 2024 年度以降 は教科・科目の見直し)

2017.10.30  高大連携歴史教育研究会 「高等学校教科書および大学入試における 歴史系用語精選の提案(第一次)

・2017.10.31 桃木至朗 (監修)・藤村泰夫 (編集)・岩下哲典 (編集)『地域から考える世界史―日本と世界を結ぶ』勉誠出版 刊行

・2017.11.20 高大連携歴史教育研究会「Q&A:当会提案の用語精選案とアンケートに関してよくあるご質問

・2017.12.1 朝日新聞ウェブ版「「坂本龍馬、教科書に残して」高知知事が発言

「高校と大学の教員らでつくる「高大連携歴史教育研究会」が先月発表した高校歴史教科書の用語精選案で、坂本龍馬が「歴史上の役割が大きくない」として削られたことについて、高知県尾﨑正直知事は1日の定例記者会見で「歴史上の役割はきわめて大きい。ぜひ残してほしい」と述べた。」

・2017.12.23 産経新聞ウェブ版「「坂本龍馬」が消えたナゾ 「高校歴史用語案」を読み解く 「厩戸王(聖徳太子)」も議論必至

・2018.3 高大連携歴史教育研究会運営委員会 「高等学校歴史教科書・大学入試出題用語精選基準に関するアンケート集計結果について

2018.3高等学校 学習指導要領(平成30年告示)

・2018.3.8 朝日新聞「山梨)教科書から武田信玄削る案 文科省に反対直訴」

後藤斎知事は7日、文部科学省を訪れ、高校歴史教科書から「武田信玄」を削らないことなどを求めた要望書を提出した。衆院山梨1区が地盤の宮川典子・文部科学政務官比例区南関東ブロック)が受け取り、「『武田信玄』を削ることに賛同するつもりは全くない。強硬に反対したい」と応じた。
高校の授業が暗記中心になっているのは問題だとして、「高大連携歴史教育研究会」(会長=油井大三郎・東京大名誉教授)が昨秋、教科書で扱う歴史用語の「精選案」をまとめた。この中で「武田信玄」「上杉謙信」「坂本龍馬」などは、歴史上の役割や意味が大きくないなどとして、教科書の本文から削るべきだとされてい」

・2018.4.1 産経新聞「「坂本龍馬」選定も「OK」 高校歴史用語、精選基準を修正 教育研、批判受け 偏向も注意促す

・2018.6 鳴門教育大学大学院学校教育研究科 教授 梅津正美「<特集① 次期学習指導要領解説>地理歴史科新科目「歴史総合」・「日本史探究」の特徴と実践課題~資質・能力ベースの歴史授業構成~」『日本史かわら版』第5号、帝国出版

・2018.8.23 シリーズ 歴史総合パートナーズ、清水書院 刊行開始

・2019.11.1  大学入試共通テストへの英語民間試験の導入を延期
・2019.12.17 大学入試共通テストへの国語・数学の記述式の導入を延期

2019.12.26 文部科学省「平成30年改訂の高等学校学習指導要領に関するQ&A(地理歴史に関すること)

・2020.2.27 全国一斉休校の要請 

・2020.5.25 歴史教育者協議会(歴教協』『世界と日本をむすぶ「歴史総合」の授業』大月書店 刊行

・2020.8.7 文部科学省、JAPAN e-Portfolio(ジャパン・イー・ポートフォリオ)」の運営団体である一般社団法人教育情報管理機構の運営許可を取り消し

・2021.1 初の大学入試共通テスト、実施

・2021.3.21 歴史総合 大学入試共通テスト サンプル問題 発表

・2021.7.30 文部科学省、共通テストへの英語民間試験と記述式問題の導入断念を発表(英語民間試験は2019.11.1、国語・数学の記述式は2019.12.17に導入延期が発表されていた)

・2021.10.11 島村 圭一永松 靖典 (編集)『問いでつくる歴史総合・日本史探究・世界史探究 ―歴史的思考力を鍛える授業実践』東京法令出版 刊行

・2022年度   2022(令和4)年度入学生から、平成30年3月に告示された新しい学習指導要領が実施
・2024年度 2024(令和7)年度入試で、平成30年3月に告示された新しい学習指導要領に基づく出題が実施



教科書

・文部科学省 教科書編修趣意書 高等学校 歴史総合

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