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『穏やかな庭先の、夢を見て。』
『穏やかな庭先の、夢を見て。』
夢を見たの。
穏やかな庭先で、膝の上に乗せられて
私の頭を大きな手が撫でている夢。
私はその手をよく知っている
ずっと、つかめずにいた手だったから
手の持ち主は上から覗くように
何かを語り掛けていて、
それに応えようと口を開いたのだけど
言葉を失くしていて
喉からはただ、鳴き声が ひとつ
そんな夢。
もう、アナタの名前、呼べないのね。
だ
置いてきぼりには慣れてしまって
時の流れが早すぎて
時々驚く。
ずっと繰り返し聞いていたアーティストの「新曲」が、知らない内に3年前のモノになっていて。
自分はその頃のまま。世界はいつものスピードで進んでいました。
その「新曲」はラブソングで、地球最後の日には一緒に居たい。と言う意味合いの曲だった。
誕生日が発売日で運命みたいなモノを感じたのを今でも覚えている。
その頃、一緒に居た人と重ねて、
寝る前に聞いては夢を見たり
【朗読して頂きました】喫茶店、またはカフェの掟のようなもの
タバコと汗と、コーヒーの香り……アナタの生活の隙間時間や寝る前に、恋と呼ぶには難しい物語は如何でしょうか?
声優の穂積知佳さんに noteに掲載した作品を朗読して頂きました。
動画の中では現在休業中のカフェあめだま@ルナラパン演劇部のカフェオレのお写真も使って頂き大変感激しております。
素敵に読んでいただいたので、ぜひお召し上がりくださいませ。
作:差異等たかひ子(カフェあめだまプロジェクト もっとみる
いつかの夏の面影に、
実家を引き払う事になり、倉庫扱いしていた自分の部屋を片付けるように言われ。はぁ……、面倒くさいと思いながら。
やって来ました、生まれ育ったご実家でございます。
さて、倉庫になっている自室へ、まずは必要な物とそうじゃない物を分けよう、脳内で計画を立ててみる。
そもそも、何が必要だろう。
ここ数年、ああ!なんで無いんだ!なんてならなかったのに……
シャッ、と押し入れを開ける。
子供の頃、嫌いだった
『今日もアナタは世界の狭間で浮遊する』
好きな人が居ます。
喋った事はありません。
深夜、仕事上がりに終電を待っていると
その人はふわふわと漂う様に列に並ぶ。
それを見て、私はいつも同じ車両に乗る。
最初は、何となく、同じ車両に良くなるな、くらいに思っていた。
いつもうわの空なその人は
何か現実と違う世界を見つめているのでは無いかと思うくらい、ボーっとしていたと思えば唐突に立ち上がり…
慌てた様子で、いつも違う駅で降りる。
『新宿 百鬼夜行。』
新宿は魔の都だ
もっとも…私は、魔側のにんげんなのだけど。
勤務先のBARはその魔の都の中心部、
歌舞伎町にある。
この街は、
色んなものが蠢いている。
例えば
…初対面で下ネタを言ってくる奴だ。
それはナンパをしてくる種族に多い…
私はよく遭遇するのだけれど 、常識的に、いや、今の日本の感覚で言うならば捕まっても然るべきテロ行為だと思う。
まぁ…魑魅魍魎の様な物だから、
根絶出来ない
『毎夜、痺れる夢の中で』
ビリビリを頂戴
ビリビリを…私に、頂戴。
心や脳味噌がビリビリと痺れる様な
恋にも似た、感覚。
それは楽器の音かも知れない
それは歌声かも知れない
それは歌詞のストーリーかも知れない。
追体験する
私は、別人になる
この瞬間が堪らなく好き
再生ボタンとヘッドホンさえあれば
私は、世界にダイブする事が出来る。
音楽が、私を退屈な日常から連れ去ってくれる
ビリビリと脳は刺激されて
取るに
『喫茶店、またはカフェの掟のようなもの』
行きつけの家族経営のカフェでいつも気になる事がある。
紅茶やカフェオレを出す時に
カップの持つ部分が左手側になってサーブされる事だ。
勿論そんな事を口煩く責めることはしない。
きっとこのお店は奥さんの夢で念願叶って開いたのだろう。
いつも飲み物を運んでくれる旦那さんはそんな奥さんが大好きでお店を手伝っている。のだと。勝手に推測している。
事実は知らないけれど、そう思えば口を出さずに済む。優しくなれ
『ひとりでなんてねむれない』
コソコソと、帰り支度をする
その気配を感じながら、私は狸寝入りをしていた。
ホテルの内線で女性は後で帰ります、とその男は言いました。
靴を履く音を聞いて、私は上半身だけ起こして、「さよなら」と呟いた。
バタンというドアの音に掻き消けされたその言葉は
シャボン玉みたいに弾けた。
そんな気がした。
気怠い身体を伸ばして、時間を覗く
次の予定まで大分ある…。
よし、優雅なバスタイムと洒落こもうじゃない
『片道切符の時間の中で』
先輩、質問があります。
電車の中で隣に座った人と手を繋いだ事はありますか?勿論初対面の人です。
私は…あります。
多分、10回くらい。正確な回数は覚えてないけど…たしかそのくらいでした。
変な事なのか、気になってしまって。
ずっと、聞きたかったんです。
私、その片道切符の時間の中で恋に落ちた事があります。
朝顔の様にほんの一瞬花咲いて
でもそのまま萎れて実もつけない。
そんな恋でした。
いえ、も
『君が眩しすぎると言ったこの世界は…』
あの日、君は
「世界が眩しすぎるから」と言って
勝手に遠くに行ってしまいました。
だからボクは君に手紙を書くことしか出来ない。そう思うのに、中々上手く書けないんだ。
何度も何度も書き直した、だけど今回こそは最後まで書き上げるよ。
もう何年も、送れていないからね…。
______________
…お元気ですか?
こうして、お手紙を書くのは久しぶりだね。少し照れ臭いものだけれど。
君は随分と遠
『レトルト失恋セット 辛口』
まず、出会う。
第一印象があまり良くない
なのに突然優しくされる。
こうして私のレトルト失恋セットは完成する。
優しくされるの例は、以下の通りである
・転けそうになった時に手を貸してくれる
・寒くて震えていたら上着を貸してくれる
・どうでもいい会話に優しく笑ってくれる
・電車で席を確保しから私に譲ってくれる
・etc...etc...
そう、失恋するには恋をしなきゃイケナイ。
無いものは失
『にゃあ、と鳴いたら受け入れて』
正直に話すと、動物が苦手。
…もしかしたら嫌いかもしれない。
こどもの頃は好きだった、
…飼っていた犬が死んでしまって悲しかったのも覚えている。
小学校の低学年の頃は飼育委員で鶏とうさぎの面倒を見ていた。
けれど、動物はもう飼いたくない。
いつから苦手になったかと言われたら、
忘れもしない、あれは小学6年生の頃。
大好きなAくんが飼っていたネコちゃんがどこかに行ってしまったのが切っ掛けだった。