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悠冴紀/小説家・詩人
2021年8月4日 12:04
作:悠冴紀答えなどはじめからどこにも存在しない誰かの導き出した明確な答えは他の誰かにとっての問いとなる私にも誰にも答えようがないその時どきに見出す小刻みの持論ならすでに幾度となく言葉にしてきた年月を経てそれら全てが問いに帰するだから朽ちない循環により生を得る終局を迎え 落ちた木の葉は残像だけをおいて土にかえる土を踏みしめる誰かが樹を見上げるときそこに
2024年2月23日 11:30
作:悠冴紀互いの存在を知りながらも近付きすぎてはならない間柄がある一つの世界には 一人の自分同時に二人は存在できない掟を軽んじてはならないもう一人の発見に歓喜しても会うことを望むのは禁忌に当たる会っては互いに破滅する何度かの失敗体験をもとに私は距離の取り方を学習した突き放したのは嫌悪ではない君がもう一人の私だからだ残念だが私たちは最も慎重に距離を取らねばな
2020年9月9日 21:52
作:悠冴紀私は人の子にあらずとうに自ら放棄した後悔はない今は常に満たされている家族はいない二度といらない母とは大地父とは大気私にはそれで充分だ帰るべき生家はないなくていいすべてを宿しながら何者をも囲わない 無限の宇宙里と呼ぶに相応しい 唯一の場皆はじめからそこにいたのだ影は智光は力思えばずっとそう生きてきた子にはならぬが親にもならず
2021年4月10日 22:12
作:悠冴紀暗く 冷たい 水の中で独り静かに佇んでいたい冷ややかな眼差しを持つ あの鮫々のように笑うことなく馴れ合うことなく誰も寄り付かないほどの深みに溺れて……差し伸べる手など 必要ない人々が救いと信じるものが私には死だ現に私は日に日に崩れ 朽ち果てて元在る力すら見失ってしまった己の本質に見合わぬ生ぬるいところへ無理やりこの身を引上げてしまったからだ一体どの
2020年4月14日 09:30
作:悠冴紀ありがとうさようなら今おもむろに この大地を離れいつかのように羽ばたいていくからどうか皆 私を手放してあの懐かしい アッシュブルーの空何者をも囲わない 私なりの故郷へ記憶とともに 解き放って──誰かを受け入れる腕ばかりが成長しいつの間にか 翼が退化してしまっていた私が私自身であることが価値を成す唯一無二の 創造の翼が……理解できなくていいただこの選択