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雑記

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2021年4月の記事一覧

「人脈」について

「人脈」という言葉、昔何かに焦っていた僕自身よく使っていた。例えば、人脈が広がれば世界が広がる!自分にはできないことができようになる!友達が増える!などなど。

たしかにそれは事実だ。あるに越したことはない。ただ「人脈」にはどこか人を手段として見なすニュアンスがないだろうか。上の例に従えば、人を使って自分の世界を広げる、人を使って自分にはできないことをできるようにする、人を使って友達が足りていない

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ジェットコースター『エロイカ』

ベートーヴェン『エロイカ』の第一楽章は天上から地底までジェットコースターの勢いで連れ回してくれる。

第1主題は冒頭から6連続の不協和音に至るまで、終始高揚感に満ちている。特に、この不協和音には心を強く揺さぶる勢いがあり、僕の思う『エロイカ』の頂である。
しかし第2主題は一転、静けさの底を撫でるような感じがする。ただ撫でるだけではなく、一層一層静けさの膜を剥いでいくような。末にはほんの一瞬だけ、自

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都市化を見守る一軒の家

ビルが乱立する横浜駅西口。そこにポツンと古びた一軒のお家があり、窓からおばあちゃんが外を眺めていた。中には障子が見え、横浜の中心地に昔ながらの雰囲気がほのかに残っていた。

この家は横浜が都市化する様を間近で眺めていたのだろう。おばあちゃんの眼差しは、ビルの頭上に向けられていた。

葛城ユキさんと魂

昨日ニュースを観ていたら、葛城ユキさんがステージ4のガンであること、そして入院前の昨日と今日コンサートを開催することを公表したらしい。僕はニュース越しに直覚した。彼女の魂を。魂の声が聞こえた気がするのだ。彼女にとってコンサートは、そんな魂の叫びなんだろう。

葛城さんはこう言っている。

大変突然なので、自分も周りも大変驚いています。でも、私は歌うために生まれてきております。必ずステージに復復帰し

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同じ人生をやり直したいか?

同じ人生を繰り返したいか?

この問いに対し、今幸せの絶頂にいる人は「繰り返したい!」と答えるだろうし、どん底にいる人は「繰り返したくない…」と答えるだろう。僕は考えた末に、繰り返したいと答える。登校が憂鬱だった幼稚園時代、ヤンチャで先生にこっ酷く怒られた小学生時代、高校受験に落ちた中学時代、勉強に没頭した高校時代、ふらふらして何度も落とし穴に落ちた大学時代。これが示すように、たしかに僕の人生は2

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文学作品を読むこと

文学作品を読むとはどういうことか。何が養われるのか。集英社新書から出ている『ことばの危機』はそんな疑問に答えてくれた。本書は毎年行われている東京大学のシンポジウムの文字起こしで、文学だけでなく納富先生の哲学的観点からも「ことば」を問う貴重な一冊。

ちょっと長いが、上記疑問を晴らしてくれた一節がこちら。

小説など虚構作品と接することで一番鍛えられるのは、文脈を推し量る能力です。登場人物の心境の想

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電子書籍スゴイ!(今さら)

先日DMMブックス(電子書籍)の70%offセールで75冊の本を購入した。昔、電子書籍を読んでいた時期があったが、好きなように書き込みが出来ない理由から紙の本一択に。ただ今回、電子書籍を大人買いしてみて思ったのは、サクッと本を読める ということ。当たり前のことながら、かなりの衝撃。

紙の本を読むときはどれだけ読みたい本であっても、「さて、そろそろ本を読もうか!」とちょっと重い腰を上げなきゃいけな

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ベートーヴェン『英雄』

ベートーヴェン『英雄』に出会って3ヶ月くらいか。約50分あるこの曲を聴くのに今までにどれだけの時間を割いてきたんだろう。ホメロスの『イリアス』の魅力は分からなかったが、死と栄誉の狭間を巡る戦士の勇ましさを掻き立てるのに、この力強い第一楽章ほどマッチする文学作品も珍しいのではないか。
これを聴かない限り1日が始まらないし、1日が終わらない。

文学で広がる世界

昨日寝る前に松平千秋訳のホメロス『オデュッセイア』を読んでいて、なんとまぁ流麗な詩なこと、一人感動していた。ホメロスは詩のリズムの整えるために同じ表現を繰り返し使うが、その一つに「甘い眠り」という表現がある。寝る前に「今から甘い眠りだ〜」と思うだけで睡眠がただの睡眠以上の楽しみとなった。その上、アテナに眠りをふりかけられて。

文学は日常の行為一つ一つに彩りを付してくれるものなんだと直感した。

短歌の世界へ片足を

小学館から出ている『ドラえもん短歌』を一気読みした。短歌なんて小学校の教科書以来読んでこなかったが、当たり前ながら31音で表現される世界の魅惑には驚いた。

ハッとさせられた一首はこれ↓

つまずいて 泣いちゃいそうで 夕陽へと タケコプターで 飛んでいきたい

落ち込んだ時、夕陽は何か答えてくれそうな気がする。沈みゆく寸前に見せる燦然たる陽光は、そんな私を明るく照らし、落ち込みを明日を生きる希望

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「大人の休日倶楽部」のこと

よく流れているJR東日本のCM「大人の休日倶楽部」。15秒というCMの短さを感じさせないほど、郷愁や理想郷を心に浮かばせるゆっくりとまったりとした描写。これはもう、製作陣の知恵に敬服するしかない。

描写だけではない。CMにはミルフィー・レッドマン楽団『アマポーラ AMAPOLA』という曲が起用されているらしい。わずか1分程度の曲にも関わらず、ベートーヴェン『田園』の嵐が過ぎ去った後の神への感謝に

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援用は宗教?

この前ある人となぜ現代人はゴキブリを嫌うのか?という疑問について話した。そこで僕はうってつけの本、養老孟司『ヒトはなぜ、ゴキブリを嫌うのか?〜脳化社会の生き方〜』を援用したのだが、相手からは「なんか宗教染みてますね」と一言。

この程度で宗教染みていると思われちゃうのかーと、かなりの衝撃だった。これが宗教なら援用を基本とする世界の研究機関はすべて宗教団体ということになる。日本人の宗教嫌いはいきすぎ

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人はグラデーション!

タイトルの通り、人はみなグラデーションを持っている。前も書いたけど、誰かを″簡単に″説明する時にはその人の性格、職業などの特徴を一つか二つ挙げて説明することになる。ただそうなると、その人が持つ微細な特徴はすべて捨象され、実質を掴むことは到底できなくなる。

ある人は一人でいる時、誰かといる時、違う誰かといる時、書く時、読む時、歌う時、それぞれ違う自分が表出する。本来人はそういうものなのに、多くの場

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生活と仕事

去年から在宅で働いてて思うのは、生活の中に仕事が調和している状態が健康的だということ。在宅ワークだと家が仕事場になるので、調和を感じやすい。

一方で、仕事と生活を二分するとどちらかが善悪それぞれに傾く。すると、仕事が嫌だとか、残業は最悪とか、私生活が暇だとか、どちらかが比較的悪になってしまう。これらを調和すれば、仕事を含めた生活全体が善か悪になる。悪に傾けば仕方ないが、善に傾けば生活自体が健全に

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