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エッセイあれこれ

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#映画

凡庸“幸福”雑記「パーフェクト・デイズ」映画の感想じゃないよ。

凡庸“幸福”雑記「パーフェクト・デイズ」映画の感想じゃないよ。

役所広司主演で、ビム・ヴェンダーズ監督の
「PERFECT DAYS パーフェクト・デイズ」を観てみたい。興味惹かれる作品だ。

トイレ清掃員の初老の男の何気ない素晴らしき日々。

そんな感じだろうか。広告と予告を目にする限りでは。役者と監督、双方とも円熟した燻銀の様な芸術家だから、ため息が出るほどの、美しさを見せてくれるのではと、勝手に夢想している。

この作品の主人公。清貧と簡素な生き方をして

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凡庸雑記「ザリガニの鳴くところ」

凡庸雑記「ザリガニの鳴くところ」

図書館に本を返しに行ったら、新刊の棚に「ザリガニの鳴くところ」が置いてあった。

確か、全米で記録的なベストセラーになって、映画も作られた。前から気になっていたから、この出会いを大切にして、手に取った。

話の骨子は、ある男性の死。それが事故なのか殺人なのか。

ただ、それが軸となっているのだけど、それ以上に語られるのは、人里離れ鬱蒼とした湿地の奥に一人生きている少女から女性になる一代記。

見捨

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「君たちはどう生きるのか」をさっき観てきた。

「君たちはどう生きるのか」をさっき観てきた。

今回の宮崎作品は観るつもりなかった。宣伝も全くしていないから、内容が分からず不安だった。もともと、それほど宮崎作品は好きでもないし、彼の作品の独特の癖というか趣向に抵抗があった。

正直、高畑勲「かぐや姫の物語」方が素直に感動できた。

でも、何事にも流されやすい性格ゆえに、聞こえてくる賛否の声に、ついふらふらと映画館に足を運んでしまった。

まんまと、宮崎監督、いや、鈴木敏夫プロデューサーの謀に

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凡庸映画雑記「乖離」「TAR ター」を思い出しながら現実と希望の乖離を考える

凡庸映画雑記「乖離」「TAR ター」を思い出しながら現実と希望の乖離を考える

この間「TAR ター」を観たことを書いたのだけど、久しぶりに、個人的に、琴線に触れて、頭の中から離れない。

特に、最後の主人公の姿が、頭の中に何度も浮かび、これはどう捉えたらいいのだろうかと、咀嚼し続けている。

単純で純粋な音楽への回帰として、本当の音楽家になったと、拍手を送るべきだろうし、そう、感想を述べている人もいた。だけど、どうも手放しで未来を喜べない、暗さがある。

なぜか、彼女の姿を

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凡庸雑記「映画館」

凡庸雑記「映画館」

映画館で映画を観ることが少なくなった。映画館で観なくとも、iPadで観られるからだ。

NetflixやAmazonで新旧共これだけ配信されていたら、わざわざ映画館に足を運ばなくていい。これはとても助かることだと、正直、思っていた。

だけど、最近配信で映画を観ていて、強く思うのは、やっぱり、映画館で映画を観ることも必要だ。作品を理解し、楽しむために。

この間『BLUE GIANT』(ブルージャ

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凡庸雑記「ささやかなしあわせ」出張の夜Amazon Fire TV Stick 4Kと共に

凡庸雑記「ささやかなしあわせ」出張の夜Amazon Fire TV Stick 4Kと共に

Fire TV Stickの大いなる目的たわいもない話を今日も。

ようやく本来の目的を達成できた。うまくいって、本当によかった。今、素直に喜んでいる。

数ヶ月前に、悩みに悩んでAmazon Fire TV Stick 4Kを買った。

決して家で映画を楽しむためではない。もちろん、家に誰もいない、まさに天国と言える奇跡的な機会が降りて来たら、いそいそとテレビに繋ぎ観るだろう。が、大いなる目的は

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凡庸雑記「映画」

凡庸雑記「映画」

実は、僕は、映画、青少年だった。

中学高校の時から、足繁く映画館に通い、大阪で就職してからも、梅田や難波に一万円を握りしめて、映画館に行っていた。

もちろん、観たい映画が仕事よりも優先されて、時々、サボっては名画座あたりに出没していた。

昔は(いつの間にやら僕が昔話をしてしまうだなんて哀れだ)、味わいのある映画館が、路地の至る所にあり、それぞれが映画を観る雰囲気を醸し出していた。

確かに、

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驚きもものき、あの超ヒット作「呪術廻戦 0」がもう配信!?一体それをどこで観るのか観たいのか

驚きもものき、あの超ヒット作「呪術廻戦 0」がもう配信!?一体それをどこで観るのか観たいのか

[「劇場版 呪術廻戦 0」Prime Videoにて独占配信決定!“百鬼夜行の決行日”の12月24日より | アニメ!アニメ!]

あのヒット作がもう配信!?こりゃほんまかいなと驚いた!

この間、シン・ウルトラマンが配信されて、びっくりしたところなのに、今度はあれだけヒットした「呪術廻戦 0」が、Amazon Prime Videoで配信されるとのニュースに目が点になった。

Amazon Pr

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凡庸雑記「構図」

凡庸雑記「構図」

構図を愛する”構図”を愛している。

写真が好きなせいか、はたまた生来それに心を惹きつけられるのか、自分自身でもわからないが、何につけ構図の美醜を基準に、あらゆるものを見ている。

写真を撮影ているとき、構図が最適になるように、使用する画角をあらかじめ決め、レンズを合わせ、足を動かして、自分なりに美しいと信じられる瞬間に、シャッターを切る。

慌ただしいスナップでも、なるべく構図を美しくしたいと心

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嫌になっちゃうほど、苦しい時代を明るく描く、嫌になっちゃうほど気持ちの良い「国際市場であいましょう」

嫌になっちゃうほど、苦しい時代を明るく描く、嫌になっちゃうほど気持ちの良い「国際市場であいましょう」

嫌になっちゃうな。感動しちゃったじゃないの。なんだかんだ言ったってやっぱり面白いよね。韓国映画。

この間、じんわりした人情ものは日本映画の専売特許。日本人しか撮れないと書いてしまったのだけど、それを改めないといけない。

確かに、違うところもあるけど、根底にある部分は似通っている。もう、その辺が判っちゃって、胸がズキズキ感動してしまったのです。

さて、一体なんと言う韓国映画を観たかと言うと、「

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大林宣彦監督が亡くなられました。

大林宣彦監督が亡くなられました。

大林宣彦監督が亡くなられました。

監督の作品は特別でした。彼しか作り得ない唯一の映画。表現方法。映画という表現媒体が自由である事を教えてくれました。

正しい演技や脚本んで、時間を流し物語を作る、そんな正しい撮り方を無邪気に壊して、僕たちの目の前に放り込んでくる。

もうこれが、楽しくて仕方がなかった。

合わない人は目を伏せるだろう、いや、憤慨して椅子を蹴って、ビール缶(ジュース缶?どちらでも

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座っていても世界を旅する映画の醍醐味。スイス映画「ブルー・マインド」を観つつ考える。

映画の楽しみは世界旅行を映画を観るだけでできる事です。

遠い国のことが映画を観るだけで、分かります。この演出はどうしたって日本人にはできないなあ。とか、この発想や感情はとても新鮮だ。など、その民族の思想や思考が滲んで見えてきます。

同じアジア人の韓国でも、根本的に日本人とは違うんだなあと、韓国映画の演出や物語の展開を見ると実感させられます。それは、それぞれの培った歴史の結果であり、非難や差別な

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かもめ食堂を観ながら日本人が最適な映画ではないかなと思った話。

かもめ食堂を観ながら日本人が最適な映画ではないかなと思った話。

Amazonプライムビデオでいろいろ見ているけど、この間「かもめ食堂」を観てみました。

前から気にはなっていた作品。評判も悪くない。だけどどうも感じがぬるい。どうしても後回しになり、どうしても刺激の強いアクションものの再生ボタンを押してしまうのです。

いつかはと、iPad Proにダウンロードしたままほかしていました。

ある日、アニメも映画も観るものがなくなり、それじゃと再生ボタンをクリック

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哀れな男の一代記「ジョーカー JOKER」ネタバレありですよ。

哀れな男の一代記「ジョーカー JOKER」ネタバレありですよ。

ジョーカ―とかカッコいい映画の様ですけど、僕としては同族嫌悪しかわかなかった。

なんたって、完璧に敗組人生の男の一代記なのですから。

今の世界から捨えられる男の姿をド直球で描く。別にジョーカーでなくても良かったのではと思ってはみたが、ジョ―カーでなければもう見てられないほどの哀れな物語。

バットマン映画をクッションにしたから、

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