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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2023年3月の記事一覧

続・世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)と「インフレ」という禁断症状の苦しみ。

続・世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)と「インフレ」という禁断症状の苦しみ。

 2022.10.5. 世界は「過剰流動性」中毒。ー 「テーパリング」(薬抜き)は並大抵ではない。|損切丸|note からの続編。

 マーケットが藻掻いている。前編では英ポンドの異変でMPC(英中銀金融政策決定会合)で決定していた国債▼800億ポンド売却≓▼12兆円「資金吸収」 → 緊急買入≓+20兆円「過剰流動性」投入への急旋回で、英国債をはじめとした国債金利の急低下、株価の急反発が起きた。

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「インフレ税」から逃げ回る「お金」。ー 取られるのは「金利」か「値段」か。

「インフレ税」から逃げ回る「お金」。ー 取られるのは「金利」か「値段」か。

「何で金利が上がると現物不動産よりREITが売られるのだろう?」

 「インフレ」対策として不動産投資を考えるに至り、少しREIT(Real Estate Investment Trust、不動産投資信託)をかじったことがある。

 ざっくり思っていたのが:

 利回り@4.28%? 悪くない。さぞや買われているかと思いきや:

 実は絶賛暴落中。筆者も「コロナ危機」勃発直後の2020年5月、@

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ドルはどこへ行った?

ドルはどこへ行った?

 急転直下のUBSによるクレディスイス買収劇。買収金額の30億スイスフラン ≓ 4,600億円は同行の株価・時価総額で計ると安過ぎる印象もあるが、潰れる会社の価値というのはわからないもの。スイス政府もUBSも精査はしただろうが、後からとんでもない債務が出て来る可能性もある。

 こう言われた時代を生きてきた筆者としては隔世の感がある。日本で言えば興銀、富士銀行、第一勧銀が合併してみずほ銀行になった

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「インフレ」か「銀行救済」か。二兎を追うFRB。ー 荒れるドル短期金利。

「インフレ」か「銀行救済」か。二兎を追うFRB。ー 荒れるドル短期金利。

 CPI自体は「遅行指標」であり過去の結果に過ぎない。目の前で起きている「銀行破綻」と直接比べるのもどうかとは思うが、2月の数字はほぼ予想通りであり、3月FOMCで+0.25「利上げ」するかどうかの決定打にはなり得ない。今はとりあえず銀行の「資金繰り」が最優先。

 しかしドルの短期金利はもう滅茶苦茶(苦笑)。一時@4%割れまで突っ込んだ2年米国債は@4.3%台までしれっと戻しているし、@4.6%

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銀行が潰れるとどうなるのか? ー 高度化したRTGS(即時グロス決済)。

銀行が潰れるとどうなるのか? ー 高度化したRTGS(即時グロス決済)。

 シリコンバレー銀行(SVB)が破綻して一気に雲行きが怪しくなったマーケット。その余波でNY州のシグニチャー・バンクが事業停止になるなど不安が広がっている。FRBは緊急貸付に加え、担保見合いで中央銀行が銀行宛貸し出す窓口融資=ディスカウント・ウィンドウへのアクセス条件を緩和。「預金者保護」を打ち出している。

 株価やドル円が急落し、市場の雰囲気が悪化しているが筆者はそこまで悲観していない。鍵にな

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3京円もの「大借金」のツケは一体誰が払うのか?。ー 急浮上した銀行の「信用問題」。

3京円もの「大借金」のツケは一体誰が払うのか?。ー 急浮上した銀行の「信用問題」。

 まずは出たばかりの米雇用統計。時間当り賃金は上昇しているものの、失業率は上昇、NFPの増加数は前月から減っているし3/22FOMCでの+0.50%「利上げ」観測は後退している。

 それよりも急浮上したのが*銀行の「信用問題」だ。カリフォルニアに拠点を置くシリコンバレー銀行(SVB)が国の管理下に入り実質破綻。一気に「信用不安」が拡大している。元々「高金利」を謳い文句に預金を掻き集めていたようだ

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下されたパウエル議長の「鉄槌」。 ー「都合」と「現実」の間で。 

下されたパウエル議長の「鉄槌」。 ー「都合」と「現実」の間で。 

 注目された昨日(3/7)パウエル議長の議会証言。ターミナルレート@5.5%がコンセンサスになっていた市場としては、それを追認するコメントを期待していたのだろうが、完全に ”裏切られた” 。ターミナルレートの上方修正の可能性に加え、3月FOMCで+0.5%「利上げ」に "復帰" する可能性まで取り沙汰されてきた。

 米国債市場には「鉄槌」となり、2年以内の「短期金利」はほぼ@5%台。一時@4%に

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「損切丸」この1年間のPVベスト10.

「損切丸」この1年間のPVベスト10.

 書く内容が大分重複してきて自分の投稿を見直すこともある「損切丸」。過去1年間で最も読んで頂いた記事をランキングにしてみた:

 1位 日本人はもっと「お金」に拘っていい。 ー 「清貧思想」の呪縛からの開放。|損切丸|note

 2位 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸|note

 3位 日本の「インフレ」の正体。|損切丸|note

 4位 常に「逆の目」はある。ー @126円超え

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「金利」のパラダイムシフトⅡ。ー 「逆イールド」"エセ" から "リアル" へ。

「金利」のパラダイムシフトⅡ。ー 「逆イールド」"エセ" から "リアル" へ。

 「金利」のパラダイムシフト。ー "エセ" 「逆イールド」崩壊の序曲。|損切丸|note の続編。

 しかし米経済の底力には毎度の事ながら恐れ入る。昨日(3/3)発表の2月米非製造業ISM総合景況指数 ↑ をみても受注や雇用などが非常に強い。これがNYダウやナスダック続伸の原動力になっている。

 一時@7%を超えて需要の急減が心配された住宅ローン市場だが、ここへきて30年物が再び@7%へ接近、

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やっと「普通」に戻るのかな...。

やっと「普通」に戻るのかな...。

 「なんで円金利ってこんなに低いんだ?」

 1995年、筆者が邦銀の香港支店で円短期金利を担当していた時の正直な感想。それでも10年JGB(日本国債)の金利は@2.5%(!)もあったのだが、何せ10年米国債金利が@5.5%もあったので「超低金利」に見えてしまう。当時日米国債の金利差は@3~4%が「普通」だった。

 ただ当時のドル円は90円台後半の「円高」で、ある程度「超低金利」も納得できた。「

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「金利」のパラダイムシフト。ー "エセ" 「逆イールド」崩壊の序曲。

「金利」のパラダイムシフト。ー "エセ" 「逆イールド」崩壊の序曲。

 "正気" に戻りつつあるマーケット。ー もう銀行の思い通りにはならない。|損切丸|note では、米国債の "エセ"「逆イールド」の崩壊が進み、遂に10年が@4%を超えてきた。短期ゾーンも6ヶ月~1年が@5%を超え、2年も4.9%台と金利の上昇が続く。

 FRBの政策金利は年内一貫して@5%台で推移し、2024年もほとんど金利が下がらない。これでようやくFRBの考えている事と平仄が合ってきた。

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いつも "横" ばかり見ている日本人。ー 「値上げ」も「賃金」も「金利」も...?

いつも "横" ばかり見ている日本人。ー 「値上げ」も「賃金」も「金利」も...?

 乗客を速やかに船から脱出して海に飛び込むよう指示しなければならない時の有名なジョークだが、言い得て妙。これは相場もそうで、金利やFX、株も国によって大分違う。日本人には米国債は難しいし、逆にアメリカ人にはJGB(日本国債)は理解しがたい。

 何でこんな事を言い出したかというと、急低下する超長期のJGB金利を見たから。いわゆる同調圧力による ”横並び相場” 。昨年12月に生損保が異例とも言える▼

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