記事一覧
『人間臨終図巻 上』 山田風太郎
先週の日経新聞で上野千鶴子さんがトイレ本の一冊としてご紹介していたことがきっかけで興味が湧いて購入した本。
時代も地域も様々な人々の死去した年齢ごとに章がまとめられ、それぞれの死に際がまさに図巻として記載されている。共通点のない人たちがこの「同じ歳で死んだ」という括りの中にいることで、不思議な感覚が呼び起こされる。
例えば40歳で亡くなった人だと石田三成とポーと幸徳秋水がいる。少なくとも私はこ
地図に載らなかった村? 〜『ポルトガル名建築さんぽ』より
本屋さんでぶらっとしていた時に、幾何学的なのに有機的でもある建物の写真が気になり手にとってみた本、矢野有貴見著『ポルトガル名建築さんぽ』。旅に飢えていることもあり、購入して家での妄想旅のお供になってもらうことにした。
ポルトガルの知識はほとんど無い。
ただ昔見たヴィム・ベンダースの『リスボン物語』の景色が妙に美しかったな、と何年かに一度ぐらい脳裏にその光景が蘇る。
『ポルトガル名建築さんぽ』
農学部の人・経済学部の人・文学部の人
農学部の学生と経済学部の学生が、コロナについて激しく議論していた。一方は、ウィルスの脅威を語り活動を少なくすることで感染者を減らしていくべきと主張し、また一方は、経済停滞により死者が生まれる方が重大だと意見を述べる。当然のことながら、話は平行線のまま、時間切れになった。お開きになると、二人で普通に帰っていった姿を見て、久しぶりに大学生を見たなと嬉しくなった。
この議論には全く入らず、少し離れたと
益田ミリ『心がほどける小さな旅』
益田ミリさん大好き。きっかけは『僕の姉ちゃん』であり、弟をもつ姉である自分としてはバシバシはまってしまって、ファンになりました。すーちゃんシリーズもやっぱり好き。歴は長くないんですけど。
今日、本屋さんの前を通りかかったら、文庫で『心がほどける小さな旅』が一番目立つところに置かれており、「あ、これ今読みたいやつや…!」と思い、お持ち帰りしました。
そうです、読みたい理由とは、この夏、大きな旅は
いくえみ綾『潔く柔く』withコロナ
夏になると読みたくなる『潔く柔く』。(以下、ネタバレしております。)
青春、恋と愛、友情、嫉妬、そして死。色んなものが詰め込まれている少女漫画の金字塔ですね、ハイ。
タイプが異なる魅力的な登場人物が多く(しかも人生が交錯する)、それぞれの恋愛や人生が描かれているので、どの部分を切り取るかで主人公は変化していくのだけれど、全編を通しての主役は瀬戸カンナと赤沢禄。他の登場人物たちと同様に彼らの恋愛