夏のはて

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博士(美学)取得した人×キャリアコンサルタント資格を持っている人×大学生のキャリア形成をサポートする人× King & Princeを応援する人×本と関わる未来を夢みる人 の 現在過去未来 ライフキャリアレインボー

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「博士」は続くよ

「ま、始まりや。今からが。」 とは、K教授が私に投げかけた言葉。博士論文の公開発表会後、講評の終わりかけの時のことです。 「いやいやいやいや、終わりやし・・・!」(心の叫び) 博士号取得後に研究者になるという将来構想は全くなかった私にとって博士論文の提出は、すごろくでいうと「あがり」といいますか、20代の時間とお金の多くを割いた研究との美しき決別であり、また、研究者になれないこんな私を長年にわたってサポートしてくれた先生をはじめとする周囲の方に対するけじめみたいなものだ

    • 『人間臨終図巻 上』 山田風太郎

      先週の日経新聞で上野千鶴子さんがトイレ本の一冊としてご紹介していたことがきっかけで興味が湧いて購入した本。 時代も地域も様々な人々の死去した年齢ごとに章がまとめられ、それぞれの死に際がまさに図巻として記載されている。共通点のない人たちがこの「同じ歳で死んだ」という括りの中にいることで、不思議な感覚が呼び起こされる。 例えば40歳で亡くなった人だと石田三成とポーと幸徳秋水がいる。少なくとも私はこれまでこの3人に対して同じテーマで考えを巡らせたことはなく、完全に点と点と点の存

      • ヤングコーンのひげは美味しい

        食べ物の旬を教えてくれるのはスーパーだ。いつものカゴにその時々の野菜や果物が入るのは楽しい。昨日、スーパーに行ったらヤングコーンくんたちが「おすすめ!」の札とともに起立していた。 ヤングコーンを食べる状態にするのはものすごく簡単だ。皮を少し剥いて、レンジでチン。2本だと500ワットで2分で私が好きな固さになってくれる。それに塩をつけて食べるともう極上の美味しさ。 ヤングならではの食べ方だと思うんですが、ひげも美味しくて大好き。ヤングコーンのひげって、柔らかくて、キラキラし

        • 麦茶の男子中学生的ラベルよ、永遠なれ

          「子どもの頃から常に夏は一緒だった」といったらセンチメンタルすぎるだろうか。一緒にいたものは、そう、麦茶だ。 子どもの時は母がやかんで煮出した麦茶が冷蔵庫の扉の内側に常に起立していた。今はペットボトルに入ったものをコンビニで調達するのがもっぱらだ。デスクに乗った麦茶ペットボトルを見て、いつも思う。 なーんで麦茶のラベルって男子中学生みたいなのかね〜・・・ 最近は比較的シンプルなデザインの麦茶ラベルも見受けられるのではあるが、男子中学生的なラベルの揺るがない牙城が存在し続

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        • 本の森のとある入り口
          1本
        • 日記的○○×文系博士
          19本
        • キャリアデザイン×文系博士
          17本

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          海と映画

          映画を見て、海を見た。 海を見て、映画を見た。 正確に言うと、先週は、映画を見てから、海を見た。 今週は、海を見てから、映画を見た。 少し遠くの映画館にあえて行けば、海もついてくる。ボーナスポイントだ。 映画はスクリーンの中にフィクションが広がっていて、そのフィクションに入っていくと、そこから感じたものは自分のノンフィクションになっていく。 一方、生臭い匂いのする海はノンフィクションの入り口であるのに、そこに入ると、フィクションが広がっていく。 海の向こうにいる

          海と映画

          夏が終わる

          朝、いつもの横断歩道で赤信号から青に変わるのを待っていると、 影の位置が変わっていた。 夕方、外に出て日傘をさそうとすると、 夏が突然に終わろうとしていた。 風に秋が混じりだしている。 その証拠に猫はマンホールの蓋で体を冷やして寝るようになった。 昨日までは違ったよね、君。

          夏が終わる

          地図に載らなかった村? 〜『ポルトガル名建築さんぽ』より

          本屋さんでぶらっとしていた時に、幾何学的なのに有機的でもある建物の写真が気になり手にとってみた本、矢野有貴見著『ポルトガル名建築さんぽ』。旅に飢えていることもあり、購入して家での妄想旅のお供になってもらうことにした。 ポルトガルの知識はほとんど無い。 ただ昔見たヴィム・ベンダースの『リスボン物語』の景色が妙に美しかったな、と何年かに一度ぐらい脳裏にその光景が蘇る。 『ポルトガル名建築さんぽ』はリスボン以外の地方や島にも目配せしており、ポルトガルという国の中での共通項やそ

          地図に載らなかった村? 〜『ポルトガル名建築さんぽ』より

          美術館への曲線的な道

          めんどくさい・・・めんどくさいんです。 美術館の入場予約。 めんどくさいんですよ・・・美術館の予約は。 もちろん感染予防対策のためということも分かっております。めんどくさくてももちろん従います。それぐらいの社会性は私にもありますもの。 同じ予約でも舞台とかライブとかは「チケット取れた!」っていうところから当日までワクワクが続いて、めんどくさくはない。むしろチケット争奪戦に向けて臨戦態勢を整えるのに必死で楽しい。 この違いは何なのか。 うーん、やっぱり非日常と日常の

          美術館への曲線的な道

          萩尾望都さん『ガリレオの宇宙』を読んだいちファンの幸せ

          『タッチ』全話が無料で読めるということで、サンデーのアプリを落とそうとApp Storeを開くと、萩尾望都さんのインタビューとオールデジタルの新作『ガリレオの宇宙』が出てきました。。 わたしの青春は萩尾望都さんと共に…なく、十分大人になってからの出会いでした。小学生の時は『りぼん』『なかよし』、中学生では『別マ』を読んですくすく育ち、高校生でなぜか『花とゆめ』で一瞬面白い方向にいった後、大学生の頃は漫画を読まなくなってしまったのです。 そして、大学院生の時に男性の友人にこ

          萩尾望都さん『ガリレオの宇宙』を読んだいちファンの幸せ

          農学部の人・経済学部の人・文学部の人

          農学部の学生と経済学部の学生が、コロナについて激しく議論していた。一方は、ウィルスの脅威を語り活動を少なくすることで感染者を減らしていくべきと主張し、また一方は、経済停滞により死者が生まれる方が重大だと意見を述べる。当然のことながら、話は平行線のまま、時間切れになった。お開きになると、二人で普通に帰っていった姿を見て、久しぶりに大学生を見たなと嬉しくなった。 この議論には全く入らず、少し離れたところで聞いていただけだが、では、私ならどういう視点で話に入っていただろうかと帰り

          農学部の人・経済学部の人・文学部の人

          『湯川秀樹 詩と科学』(STANDARD BOOKS)

          「STANDARD BOOKS」とは平凡社から出ている随筆シリーズです。「刊行に際して」には、「科学と文学、双方を横断する知性を持つ科学者・作家の珠玉の作品を集め、一作家を一冊で紹介します」とあります。エッセンスを集めたような本で、最初の一歩にとても相応しいシリーズだと思います。 私はいわゆる理系の科学者が書く文章が好きですが、この日本人初のノーベル賞を受賞した物理学者である湯川秀樹の文章を初めて読んだ時はあまりの気持ちよさに驚きました。そう、爽やかで整っていて気持ちいいん

          『湯川秀樹 詩と科学』(STANDARD BOOKS)

          夏の夜のおかんのひとコマ

          「お母さん、本読むの好きじゃないねん。本に囲まれてるのが好きやねん。」 うん、我が母ながら気持ちいいぞ。賢ぶるのは良くないもんね。でもなんで今言った?テレビ見てるやん? 「ニッキ(少年隊の錦織一清氏)のお父さん、俳優のはずやで。(2、3分スマホで調べた後)違うみたい…そんなはずないねんけど。」 いや、ネットで調べたんですよね?それはWikipedia先生ですか?でも、Wikipedia先生も間違えることあるかもしれないもんね。そりゃそうだ。なんでも鵜呑みにしちゃいかん。

          夏の夜のおかんのひとコマ

          益田ミリ『心がほどける小さな旅』

          益田ミリさん大好き。きっかけは『僕の姉ちゃん』であり、弟をもつ姉である自分としてはバシバシはまってしまって、ファンになりました。すーちゃんシリーズもやっぱり好き。歴は長くないんですけど。 今日、本屋さんの前を通りかかったら、文庫で『心がほどける小さな旅』が一番目立つところに置かれており、「あ、これ今読みたいやつや…!」と思い、お持ち帰りしました。 そうです、読みたい理由とは、この夏、大きな旅は出来ない状況で「小さな旅」なら出来るのではないかと。何かヒントがあるのではないか

          益田ミリ『心がほどける小さな旅』

          いくえみ綾『潔く柔く』withコロナ

          夏になると読みたくなる『潔く柔く』。(以下、ネタバレしております。) 青春、恋と愛、友情、嫉妬、そして死。色んなものが詰め込まれている少女漫画の金字塔ですね、ハイ。 タイプが異なる魅力的な登場人物が多く(しかも人生が交錯する)、それぞれの恋愛や人生が描かれているので、どの部分を切り取るかで主人公は変化していくのだけれど、全編を通しての主役は瀬戸カンナと赤沢禄。他の登場人物たちと同様に彼らの恋愛が描かれるが、他の人物と彼らが異なるのは、彼らの人生に「死」が深く刻まれているこ

          いくえみ綾『潔く柔く』withコロナ

          「成長したい」への違和感

          学生が発する言葉の中に違和感があるものがいくつかあるのだけれど、そのうちの一つが「成長したい」という言葉だ。 もちろん悪いことじゃない。だからこそ、面と向かって否定することも出来ない。逆に20歳くらいで「もう成長しなくていいや」と本気で思われてしまうとそれはそれで「ちょっと待って」とも思うかもしれない。 人によって事情も性格も異なるので、その人それぞれの「成長したい」があると思う。実際、その言葉を聞いても違和感がない人もいる。 では、違和感の正体は何なのか、ということな

          「成長したい」への違和感

          グレース・ボニー『自分で「始めた」女たち』

          いわゆる積ん読から今日引っ張り出した1冊。 『自分で「始めた」女たち 「好き」を仕事にするための最良のアドバイス&インスピレーション』・・・ん? 自分で買った記憶はあるけど、なんかめっちゃキラキラしたタイトルやな・・・でも、自分で買ったんよな・・・うん? と一瞬、疑いましたが、ページ開いて「そやそや、そやった!これがいいと思ったんや!」と思い出しました。 なんかふざけた書きだしみたいになっていますが、この本、本当にいいんですよね。 100名以上の仕事を持つ女性のイン

          グレース・ボニー『自分で「始めた」女たち』