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世界と接続する手段を鍛える

世界と接続する手段を鍛える

遠い昔、就職活動をすることになったとき、大学では面接対策として「模擬面接」というのを実施していた。強制ではなく任意だったが、キャリアサポートセンターという部署が大学にあり、申し込めばやってもらえるようだった。

同級生は面接対策として参加していたみたいなのだけれど、自分はついに一度も申し込まなかった。「模擬の面接」って意味があるのかな、とその効果に懐疑的だったからだ。

会社によって事業内容は違う

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凡人が一番「生き残る」のでは?

凡人が一番「生き残る」のでは?

SNSや雑誌の記事、ネット記事などを見ていると、「生き残る」といったメッセージを含んだ内容のものが目につく。「これから、AIに仕事が奪われる中で、生き残る仕事」みたいなテーマはみんな大好きだろう。

AIにさして関心のない人であっても、「AIに仕事を奪われるかどうか」みたいな話題は気になるのではないだろうか。自分の食い扶持が残るかどうか、という死活問題に直結するからだ。

「生き残る」という観点で

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なぜ若者よりもおっさんのほうが情報収集能力が高いのか?

なぜ若者よりもおっさんのほうが情報収集能力が高いのか?

仕事でいろんなおっさんと接する機会がある。いろんなおっさんと接していると、不思議に思うことがある。世の中には、恐ろしく情報収集能力に長けたおっさんがいて、その卓抜した情報収集能力にしばしば舌を巻く。

一方で、情報収集能力が卓抜している「若者」に出会う機会はあまりないので、なぜなのだろうか、と疑問に思っていたのだ。

単に、僕の周りにいる人間がそうであるだけなのだろうか? いや、何か理由があるに違

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日常のふとした瞬間に溢れ出る虚無感は どうしたら埋められるのだろう

日常のふとした瞬間に溢れ出る虚無感は どうしたら埋められるのだろう

小さな幸せに気づけない。

誰とも約束が出来ないというのは人生を放棄しているようだ。
わたしは刺し殺したいほど好きな相手もいないし、刺し殺されるほど人と関わりを持っていない。電話をするほどの相手もいないし、煙草を一緒に吸ってくれる相手もいない。ほとんどの時間わたしはひとりで過ごしている。仕事をしている時は引っ切り無しに人と会話をしているが、どこか壁に向かって話をしているみたいだ。別になんの感情の跳

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かつて私淑していた人々はどこに行ったのか?

かつて私淑していた人々はどこに行ったのか?

先日、最近よく見ているYouTubeチャンネルである「ゆる言語学ラジオ」というチャンネルを見ていたら、なかなか面白いことを言っていた。

曰く、理系・工学系の人々は「世界を変えたがりがち」だというのである。特にプログラマー系の人は、「自分のコードで世界を変えてみせるぜ」と意気込んでいるものだ、と。

一方、文学系の学部の人は、あまり世界が変えることに関心はなく、どちらかというと内的世界のほうに関心

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「普通」から外れたければ、見つからないこと

「普通」から外れたければ、見つからないこと

YouTubeをめぐっていたら、裏社会を中心に取材を重ねているなかなか危険知らずのYouTuberがいたので、いくつか動画を拝見していた。

その中でも異彩を放っていたのが、「傭兵稼業」をしていたという人がゲストの回だった。

彼はプロの傭兵として、アフガニスタンやミャンマーのゲリラ軍で歩兵として戦っていた、ということだ。自衛隊か何かから義勇兵的に派遣されていたわけではなく、個人で現地の組織に連絡

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名前のない状態について

名前のない状態について

いま自分がやっている仕事は何か、と問われたとして、それなりにちゃんと説明はできるのだけれど、ひとことで説明するのはけっこう難しい。

たとえば医者や弁護士や教師みたいに、一般的にすぐにわかる職種の名前がついていたらもう少し簡単かもしれないが、そういう仕事の人たちも、一般的にイメージしやすい名前の職業だというだけで、世間一般でイメージされる仕事内容と、実際の仕事内容は異なるはずだ。みんな、少しずつ、

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やり始めるとバカになる

やり始めるとバカになる

外からだとものすごく気になるのに、中に入るととたんに見えにくくなってしまうものがある。

僕は年始に転職活動を開始して、いま入社できた会社の面接をウェブ面接で受けた。ありがたいことに、「スカウト」といって、採用したい企業側から直接アプローチしてもらえる方法があって、それ経由で面接を受けることになったのだ。一次面接の面接官は、その企業のCOO(最高執行責任者)だった(あとから聞いたら、これはかなり異

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やりたいことと、できること

やりたいことと、できること

インターネットで、押井守のドキュメンタリー番組を見た。
 
映画監督などの、クリエイターのドキュメンタリーを見るのが好きだ。ひょっとしたら、映画を見ることそのものよりも好きかもしれない。

「ものをつくる」という姿勢、成功するかどうかわからないという不安や、意見の対立するスタッフたちと闘いながら、時間や資金の制約の中で、自分のやりたいことに向かっていく。そういうものが、自分の心を打つからかもしれな

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セクハラを会社で報告したら、つながった勇気のこと

セクハラを会社で報告したら、つながった勇気のこと

「言わなければよかった」

"大丈夫"の境目がわからない。

つらく、苦しいことを体と心の中で馴染ませ、ごまかしている。いつまで経っても報連相がうまくできないわたしは、涙と手を繋ぎながら話している。誰かに寄り掛かってばかりだから、自分を"負担"と捉えてしまうのかもしれない。

頼ってもいいのかな。
頼ったら、迷惑なのかな。

聞きたくなかった言葉ほど、ぬるい風にのって律儀に届く。昔勤めていた会社で

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ゲイになったら、職場で自分が消えた

ゲイになったら、職場で自分が消えた

「おはようございます」

聞こえていないのかな。

不安になってもう一度挨拶を試みるが、やはり、届いていなそうである。というよりも、体を動かしても視界に入れてもらえていない、そんな気がする。

わたしは昔から声が小さい。

ガラス細工か、絹糸のようなものと自分に対しては言えない。ただ、「そうだったらいいのにな」と妄想をしたことは何度もある。天然を願い、涙が落ちたその場から、生まれ変わりたいと想う。

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失うものが何もない人なんて、いないでしょう?

「気楽でいいよな、お前は」

丸裸で、なにも武器は持っていない。丁寧に言葉を使おうと必死になって、それはもはや、「滑稽」になる。雑草が目に入れば、人は毟る。本当は「花」になって摘まれたかった。大切な花瓶の中で束になり、瑞々しく生きていたかった。

「もう失うものはなにもない」

そう思って踏み出したあの日、もしかすると足裏には悲鳴を上げていた虫たちがいたかもしれない。命は"消える"というよりは、薄

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写真家の恋人が、わたしのことを撮らない理由

ひどい顔をしていた。

鏡の前に立つ必要なんてない。今まで生きてきた中で何度も理解していたから。比べるものではないのかもしれない。花瓶に入った水を交換する時に、わたしは花の表情を見なくなっていた。皿に柄は、少しでいい。乗った心と向かい合えるよう、影になっている。窓枠を抱えてそのまま、わたしは昇るようにして、屋上から——

簡単なことだった。

「撮らないでください」とわたしが強く言っていたから。瑠

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SNSで、あなたにとって大切な人格を。

鏡の前にいる自分と、目を逸らした。

「こんなの、わたしじゃないのに。」

顔を洗い、肌を剃っている。
わたしにとって、途轍もなく苦しい時間。
これがなくなっても他にもあるし、きりがない。ずっと、ずっとわたしがなりたかったわたしは違うのに。だからこのSNSを使って、海に潜った。肯定されるまで息を止めた。誰かが振り向いてくれるまで、叫び続けた。

「終わりましたよ。」

何度も、わたしが呼ばれたかっ

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