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「普通」から外れたければ、見つからないこと

YouTubeをめぐっていたら、裏社会を中心に取材を重ねているなかなか危険知らずのYouTuberがいたので、いくつか動画を拝見していた。

その中でも異彩を放っていたのが、「傭兵稼業」をしていたという人がゲストの回だった。

彼はプロの傭兵として、アフガニスタンやミャンマーのゲリラ軍で歩兵として戦っていた、ということだ。自衛隊か何かから義勇兵的に派遣されていたわけではなく、個人で現地の組織に連絡をとり、志願して戦闘に参加していた、ということだった。驚くべきことに、観光ビザで現地に行って戦闘に参加していたらしい。

現地での給料は日本では考えられないほど安く、お金が尽きたら日本に帰国して、バイトで旅費を貯め、またお金が貯まったら現地に飛ぶ、という生活を20年ほど繰り返していたそうだ。

戦場といっても危険性はさまざまだが、銃弾やミサイルが飛び交う最前線に出撃していたというから、その状況で20年も生き抜いたというのは百戦錬磨の兵士といっても過言ではないだろう。訓練は積んでいても実践経験はほとんどないはずの自衛隊員などと比較しても、かなり異色の経験を積んでいる。

「ぶっとんだ人」というのは、ネットやテレビなどのメディアでも見かけるけれど、これはトップクラスで「ぶっとんだ人」だろう。というか、通常の神経では、にわかに信じがたいレベルである。


 
ネットでは、一般常識から外れていたり、ルールを守らなかった人に対して、たびたび「炎上」することがある。「普通」に合わせようとする同調圧力があるのだ。

「普通から外れた」ことを要因として「炎上」する人は、全員がそうだというわけではないが、多くに共通する特徴がある。炎上しやすい人の特徴は、若くて、考えが未熟である、というのが共通点として多いのではないかと思う。
 
若いということは今後も修正の余地があるということで、考えが未熟であるということは、論理的に隙が多い、ということだ。つまり、それらの炎上は「修正の余地がある若者に対して」「論理の隙を突いた」「大量の人々によるおせっかい」ということである。

もちろん、政治家や実業家が失言することで炎上することもある。その場合は、「その立場にいる人がそういう発言するのは許せない、なんとかしろ」という方向性だ。これも、「普通の状態に戻せ、なんとかしろ」とお上に要求する、「同調圧力の一種」なのではないかと思う。



動画に出ている方のように、傭兵として海外に行って、バチバチに「戦争」をしていたという人は、少なくとも大多数の日本人の常識からはかけ離れているわけで、「炎上」する要素だらけのように思える。

しかし、冒頭の傭兵の人ぐらいになってくると、もはや炎上する要素がない。もう40歳を超えるベテランの傭兵で、しかも20年間も戦場にいて生き残っているからだ。

もしこれが大学生で、「これからゲリラ軍に参加しようとしている」という状態でネットにその身を晒したらどうなるか、想像に難くない。
 
炎上したくない、という人は、とにかくネットにその身を晒さない、ネットに見つからないことが一番である。逆に言うと、ネットでも人気の人は「普通の人」とも言い換えることができるかもしれない。

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