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福島県への風評加害・情報災害問題

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情報災害としての福島県への風評被害問題および自主避難者問題について
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記事一覧

ナラティブで脅す人々を許してはいけない ──レジ袋鼻血から

ナラティブで脅す人々を許してはいけない ──レジ袋鼻血から

加藤文宏

はじめに鴨下全生氏の投稿が波紋を呼び、福島県民から批判の声があがった。出来事の詳細と課題は林智裕氏による記事に詳しく書かれているので、ぜひ読んでいただきたい。なお記事では、筆者の『鴨下家は福島を代表するのか 鼻血は何だったのか』が資料として紹介されている。

今回は、レジ袋に鼻血を受けて歩いたという逸話が生んだ「ナラティブ」について考える。ナラティブとは自らの体験を語ることや、こうして

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放射線デマの現在

放射線デマの現在

放射線を可視化するデマがなければ成り立たなかった反原発運動と、流言飛語の現在について。

加藤文宏

放射線デマとは何か この記事で扱う放射線デマは、福島第一原発事故にまつわる事実に反する扇動的で謀略的な宣伝だ。謀略的な宣伝と書くと組織が行うもののように思われるかもしれないが、個人がいいかげんな噂話を生み出したり拡散させる行為もあった。
 下掲のスクリーンショットは、Yahoo!知恵袋へ2011年

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鴨下家は福島を代表するのか 鼻血は何だったのか

鴨下家は福島を代表するのか 鼻血は何だったのか

・2024.9.2 21:50 赤坂プリンスホテル避難所の様子を伝える報道、広報等のスクリーンショットを追加。

加藤文宏

1 はじめに 鴨下全生氏がX/Twitterのアカウントから「レジ袋で鼻血を受けながら歩く子供 避難所でよくある光景」とポストしたのは記憶に新しい。ポストで示されたリンク先では、

と福島第一原発事故が発生した直後の避難所で経験したことを語っている。
 鼻から出血するほど被

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水耕栽培の成功を喜んでいた鴨下祐也氏が原発事故の被害者に転向した理由と騒動の発端

水耕栽培の成功を喜んでいた鴨下祐也氏が原発事故の被害者に転向した理由と騒動の発端

『当事者が語り部化してアンタッチャブルな存在になる』で鴨下家の自宅がALPS処理汚染水差止訴訟原告団事務局として使用されていたことについて書いた。
これら鴨下家にまつわる事情を会員限定記事で論考し明らかにする。

鴨下祐也氏は2012年2月に、いわき市で行っていた水耕栽培を土壌汚染の心配がないものと評価し、野菜の甘さに顔をほころばせる学生を見て「あの時、続けると言ってくれたことに感謝したい」と言っ

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当事者が語り部化してアンタッチャブルな存在になる

当事者が語り部化してアンタッチャブルな存在になる

加藤文宏

はじめに 学生で活動家の鴨下全生氏によって、有害なデマとして名高い原発事故にまつわる被曝と鼻血との関係が蒸し返された。しかも、レジ袋や洗面器に鼻血を受けざるを得ないほど出血した子供が、いつ、どこにいたのか問われても頑なに説明を拒み続けている。彼は他の話題でも、私は事実しか話していないと言いながら出来事を証拠立てる具体的な情報をまったく語らない。
 馬鹿げた話で、誰も真に受けないなら放置

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鼻血デマと公務員宿舎明け渡し裁判をまとめる

鼻血デマと公務員宿舎明け渡し裁判をまとめる

加藤文宏

当記事の内容

 原発事故にまつわる被曝で鼻血を流す人の噂は、2011年3月14日に『Yahoo!知恵袋』へ投稿されたものが初出と言ってよいだろう。この噂話は広がることなく消え、のちにツイッター上などでインフルエンサーが鼻血を話題にしたものの否定されて消えた。その後、5月19日発売の週刊文春5/26号の『肥田舜太郎 内部被曝患者6000人を診た医師が警告する』と題する記事が注目され、6

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放射線デマから外苑再開発デマへ この日本で何が行われたのか

放射線デマから外苑再開発デマへ この日本で何が行われたのか

加藤文宏

原発事故が発生した直後から、被災地は二度と人が暮らせない土地、鼻血、奇形児出産、がん発症と次から次へ嘘が事実のように語られ、デマが当事者を苦しめただけでなく、原発の全停止から再稼働を拒む心理的な要因になるなど日本中を混乱の渦に陥れた。

事故から10余年経過した2023年、日本イコモス国内委員会は神宮外苑に『17 世紀から続く東京における「庭園都市 パークシステム」の中核』と事実と異な

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精神勝利法、配信世代、みんなすごいキレイだよ!があきらかにしたバズり幻想について

精神勝利法、配信世代、みんなすごいキレイだよ!があきらかにしたバズり幻想について

私は原発事故後に首都圏から自主避難した母子の困窮問題に関わり、その後旧統一教会追及問題でも教団や信者、信仰を継承しなかった子弟から直接事情を聞いてきた。直近では、神宮外苑再開発反対運動のデマ体質を問うた。これらの活動から「扇動の循環構造」や、「虚像」を生み出す「メディア世論」の弊害を明らかにしてきたが、ある種の人たちが情報操作でいとも簡単に騙されて扇動の渦に飲み込まれるのが不思議でならなかった。

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モラル・パニック現象を操る人々

モラル・パニック現象を操る人々

ゲーム脳や携帯電話を巡る騒ぎを思い出そう。「モラル・パニック」によって世の中が流され、できごとの本質が忘れ去られただけでなく、新たな敵がつくられて社会が分断された。

加藤文宏

モラル・パニックとは何か

大衆扇動 学校検診と活動家になりたい人 そしてマスメディア

大衆扇動 学校検診と活動家になりたい人 そしてマスメディア

加藤文宏

はじめに 小学校で行われた健康診断について女子生徒の保護者が上半身の衣服を脱がせる行為の理不尽さをTwitter/Xで訴え、たちまち数多くの人が寄り集まって検診をする医師や学校や集団検診に怒りをぶつけはじめるできごとがあった。
 このできごとそのものを論じるのではなく、このできごとの「構造」をあきらかにして、いまどきの大衆扇動を考える。

SNS世論・フレーム・虚像・争点 健康診断騒動

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理不尽な13年 れいわ・立憲・共産・社民が生んだ虚像とエセ左派・リベラル

理不尽な13年 れいわ・立憲・共産・社民が生んだ虚像とエセ左派・リベラル

──山本太郎とれいわ新選組は、大衆扇動のかぎりを尽くしている。扇動された人々を囲い込めば、コストをかけずに新たな運動が展開できる。こんなことのために、東北被災3県や能登半島の被災地が利用された。れいわ新選組だけでなく立憲・共産・社民の大衆扇動によって増殖したのが、「より平等な社会を目指すための社会変革」とまったく関係ない自称左派・リベラル層である。彼らは「左派・リベラル」を名乗るためだけの戦いを続

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被災地写真を誇張するれいわ体質 風評と怒りの伝道者 山本太郎研究

被災地写真を誇張するれいわ体質 風評と怒りの伝道者 山本太郎研究

(注/タイトル画像は被災地を撮影したものではありません)

追記
2024.5.3 20:35 リードを追加。
2025.5.6. 9:27 Xアカウントが行った輪島市の同一地点からの報告を追加。

──この写真に感じる違和感はなんだろう。やはた愛氏が輪島を訪問してX/Twitterに投稿した写真は1477×1108ピクセルと、いまどきの感覚ではかなり小さく画質もよくない。特殊なサイズはLINEで

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被災から13年 忘れたいこと 忘れ去られたこと

被災から13年 忘れたいこと 忘れ去られたこと

加藤文宏

あのときの記憶 2011年3月11日14時46分。
 私は関東で東日本大震災を経験した。やけに明るい午後だった。このとき、かつて仕事上の知り合いだった原岡が福島県で被災していたのを知る由もなかった。正確に書くなら、彼女のことは何年間も忘れていた。
 翌日、福島第一原発1号機の建屋が水素爆発を起こし、パニックが原岡の判断を誤らせた。
 原岡が被災地から自動車を走らせ、紆余曲折の末に千葉県

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生成AIがデマを連れてくる──福島県への蔑視画像問題から

生成AIがデマを連れてくる──福島県への蔑視画像問題から

加藤文宏

はじめに 前回、ストックフォトに福島県を蔑視する画像が数多く含まれ、これらが販売されていた問題を制限なしの無料記事で取り上げた。

 前掲の記事では、需要があるため画像がつくられ販売されていることと、蔑視画像が公序良俗に反していないとされ販売事業の審査を通過していることを指摘した。
 またストックフォトで販売されている、福島第一原発の事故を実際より深刻に見せかけるショッキングな画像に、

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