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サブカル大蔵経 異国編

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2020年7月の記事一覧

サブカル大蔵経170丸山ゴンザレス&世界トラベラー情報研究会『旅の賢人たちがつくったインド旅行最強ナビ』(辰巳出版)

サブカル大蔵経170丸山ゴンザレス&世界トラベラー情報研究会『旅の賢人たちがつくったインド旅行最強ナビ』(辰巳出版)

 旅人にとってのインド。

 混沌の国。

 魅惑の国。

 私は二度インドに行きました。

 一度目は南インド。二度目はブータン国境から北東インド。

 仏跡もタージマハールもまだ行ったことはありません。

 行ってよかったと思いますし、よく帰ってこれたなとも思っています。

 本書は、昔の「歩き方」に近い作りで、情報もアップデートされて丁寧なのに、なぜか文章の内容が入ってこないような気がします

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サブカル大蔵経169旅行情報研究会/格安航空券ガイド編集部『保存版バックパッカーズ読本』(双葉社)

サブカル大蔵経169旅行情報研究会/格安航空券ガイド編集部『保存版バックパッカーズ読本』(双葉社)

旅と本の関係は永遠に悩ましい。

旅の前に現地本をどれだけ読むか。

旅に持っていく本をどこまで絞るか。

旅先で買う本をどこまで絞るか。

旅から帰宅した後、行った所に関する本を読むことがどこまで続くのか。

旅が好きでいろいろまわりましたが、常に旅と本は結びついています。旅をするごとに必ず本が増えていきます。

本を買うために旅をしているような。

 本書は、気合が入る海外旅を決意した人の為に

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サブカル大蔵経163 天理教北海道教務支庁編『新・樺太伝道物語』(養徳社)

サブカル大蔵経163 天理教北海道教務支庁編『新・樺太伝道物語』(養徳社)

 北海道の先の日本、樺太を、天理教の記録資料で知る。なぜ天理教だけが資料を出版できたのか。なぜ既存宗派はないのか。樺太を植民化するため、国家の先兵として宗派が入植する。これは、北海道においても同じだった。天理教目線が遠隔地、北海道と樺太を繋ぐ。日本の写し絵、北海道と樺太。

日露戦争前に豊原地方に住んでいた一万人のロシア人は数十戸に減る。p.16

 住む人達の縁。樺太は日本人が入る前はアイヌやギ

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サブカル大蔵経165『ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進』(洋泉社)

サブカル大蔵経165『ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進』(洋泉社)

 なぜ、ブルース・リーは凄かったのか。リアルタイムで当時を知らない私にはその熱狂を体験できず、うらやましいような、よくわからないような。でも、テレビで見た作品の得体の知れない迫力は今でも褪せることなく伝わります。

 ブルース・リーの物語に出会ったのは『ハイスクール奇面組』のキャラクター「怒羅権榎道」の方が先だったかもしれません。ガンダムもウルトラマンもヤマトもリアルで出会えず、パロディの方が早く

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サブカル大蔵経166『〈映画秘宝〉激動の20年史』(洋泉社)

サブカル大蔵経166『〈映画秘宝〉激動の20年史』(洋泉社)

 私が毎月購入する雑誌は「映画秘宝」と「KAMINOGE」なんですが、双方とも今年突然出版社が変わりました。東京ウォーカーやTVブロスは、休刊の名の下に紙からWEBに移行しています。その中であえて紙の雑誌として残ってくれた両者は時代錯誤なのか英断なのか。共通点はカミノゲも秘宝も広告が少ない「純雑誌」です。

 私が初めて買った「秘宝」は2003年12月号でした。女の子が鉄球のヌンチャクを構えた表紙

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サブカル大蔵経167映画秘宝編集部『究極決定版映画秘宝オールタイム・ベスト10』(洋泉社)

サブカル大蔵経167映画秘宝編集部『究極決定版映画秘宝オールタイム・ベスト10』(洋泉社)

 今年の一月から二月にかけて、毎日1〜3本、Amazonプライムでの映画鑑賞に没頭していました。無料で見られる作品がたくさんありました。有名な作品でも見たことがなかった作品をようやく見れたり、初めて名を聞く作品に驚いたり、ドキュメンタリーも見ました。一応、5段階点数と寸評をメモしました。

①グッバイレーニン 3
戦後のパラレル、西側が東側に。
②帰ってきたヒトラー 2
小説の方が不気味か。
③時

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サブカル大蔵経159 ノーマン・イングランド監修 『別冊映画秘宝決定版ゾンビ究極読本』(洋泉社)

サブカル大蔵経159 ノーマン・イングランド監修 『別冊映画秘宝決定版ゾンビ究極読本』(洋泉社)

 映画の世界から始まったゾンビ。いにしえの名作から時が経っても、ゾンビは生き続け、ひとつのジャンルとなっています。

 大ヒット映画「カメラを止めるな!」がゾンビものだったのは象徴的で、ゾンビが主題ではなく、フォーマットとなっていました。それくらいゾンビという概念は市民権を得たと言えると思います。

 私が読んできた漫画作品でもゾンビものはゾンビのように甦って途切れることはありませんでした。

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サブカル大蔵経158ナイジェル・ホームズ/八幡谷真弓『旅を楽しむ!トリビア大百科』(日経ナショナルジオグラフィック社)

サブカル大蔵経158ナイジェル・ホームズ/八幡谷真弓『旅を楽しむ!トリビア大百科』(日経ナショナルジオグラフィック社)

 旅行ガイド『ロンリープラネット』は、20年前にインドに行った時、頼りになりました。一緒に行く予定だった先輩が行けなくなり、急遽一人旅になり、宿も取らないで行ったので、行きの飛行機の中で慌てて読み、ポンディシェリーの宿やレストランはこの本のおかげでたどり着けました。『歩き方』よりも地方都市に強く、重宝しました。

 「ロンプラ」のスタッフが書いた本書は、旅の本というより、比較社会学の趣き。世界は広

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サブカル大蔵経155赤坂真理『東京プリズン』(河出文庫)

サブカル大蔵経155赤坂真理『東京プリズン』(河出文庫)

 格の違う迫力。何の迫力なんだろう。

 今の日本の成り立ちの責任を、大人の男たちが放棄し、少女に押し付け、背負わせた。その罪の意識を、小説を読み進めるうちに感じてしまう。全日本人の原罪。

 ディベートという米国式裁判の中、英語と日本語に挟まれながら、そこから紡がれる言葉をたったひとつの武器として、〈多様性の国〉の理知的なクラスメイトや先生も振り払う攻撃は、蘇る真珠湾か。

 結局何だったのかわ

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サブカル大蔵経150井筒俊彦『意識の形而上学』(中央公論新社)

サブカル大蔵経150井筒俊彦『意識の形而上学』(中央公論新社)

真如、心。古代と現代の架け橋たらんとする碩学の遺書。

真如とは、字義どおりには、本然的にあるがままを意味する。真は虚妄性の否定。如は無差別不変の自己同一性。原語的にも、ありのまま性の意。だが、この語が仮名に過ぎないとは、一体どういうこと。p.26

 「真は虚妄性の否定」

 辞書で「真」を引くと、井筒さんが記したように、〈あるがまま〉と書いてあり、驚いたことがあります。

 「真」とは、〈真っ

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サブカル大蔵経154海部陽介『日本人はどこから来たのか?』(文藝春秋)

サブカル大蔵経154海部陽介『日本人はどこから来たのか?』(文藝春秋)

 島国という概念を再考させる書籍。

 大海を小舟で泳ぎ切れるのか。その執念の記録でもあり、どこまでが学術的でどこからが冒険譚なのかあやふやな感じもしました。

 現在は文春文庫に入っています。

与那国島。今は日本列島の端といわれるが、当時この海峡は日本列島への入り口の1つだった。やってきたのは誰だったのか?明確に言えるのはアフリカからユーラシア大陸の東端までたどり着いたホモサピエンスの集団、つ

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サブカル大蔵経151パム・スミス/武井麻子『感情労働としての看護』(ゆみる出版)

サブカル大蔵経151パム・スミス/武井麻子『感情労働としての看護』(ゆみる出版)

 五年前から地元の看護学校の倫理の授業を担当しているのですが、いろいろ試行錯誤しながら、自分でレジュメを作ってさまざまな本を紹介しています。

先日の授業では、星野源の『そして生活はつづく』と鎌田東二『翁童論』について語りました。生活の大切さと、子供と老人こそが人間を生き、大人は肩書きの中でしか生きていないと。だからみなさんは人間になってください、看護師は人間になる職場かもしれませんと。

 この

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サブカル大蔵経149太田龍『地球の支配者は爬虫類人的異星人である』(成甲書房)

サブカル大蔵経149太田龍『地球の支配者は爬虫類人的異星人である』(成甲書房)

 アイヌ問題の論客だった太田龍の行き着く先が〈爬虫類的異星人〉でした。出版物としては、いわゆるトンデモ本のカテゴリーに入るわけですが、異星人の比喩を使った自己の相対化が描かれます。

 わかったつもりのわれわれを撃つその気概を受け取りたいです。樺太生まれの英雄・太田龍の筋金入りのルサンチマン、発進。

西洋が日本を支配し、日本を殺して、喰ってしまったのである。その西洋とは何ものか。それは実は、異星

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サブカル大蔵経145砂澤陣『北海道が危ない!』(育鵬社)

サブカル大蔵経145砂澤陣『北海道が危ない!』(育鵬社)

 広大な北海道のアイヌをひとくくりにはできない。和人とアイヌを分けない同じ土俵で生きる唯我独尊の上川アイヌの自己性が咆哮する。

 本書の内容は著者の思い込みなのかは、わかりません。しかし、みんな思い込みで生きています。いろんな考えがあっていいと思う。いや、そうあってほしい。それは、私たちが自分で考えていくきっかけにもなると思います。

 特に官邸肝いりの白老の共生地域施設ウポポイができた現在、そ

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