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サブカル大蔵経145砂澤陣『北海道が危ない!』(育鵬社)

 広大な北海道のアイヌをひとくくりにはできない。和人とアイヌを分けない同じ土俵で生きる唯我独尊の上川アイヌの自己性が咆哮する。

 本書の内容は著者の思い込みなのかは、わかりません。しかし、みんな思い込みで生きています。いろんな考えがあっていいと思う。いや、そうあってほしい。それは、私たちが自分で考えていくきっかけにもなると思います。

 特に官邸肝いりの白老の共生地域施設ウポポイができた現在、それへの疑問にも繋がる貴重な提言だと思いました。

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私を含め、いわゆるアイヌは、「アイヌ系日本人」なのである。その私たちを定義も根拠もなくアイヌ民族とくくって保護政策文化政策を進めることは、差別の再生産に他ならない。p.22

 和人による〈保護〉こそが、差別をなくすのではなく、差別の再生産につながるという悪夢。〈保護〉って不気味な言葉だ。

 著者は組織から仲間外れにされてキレたのかな?と最初思いながら読んだが、とことんアイヌのことを考え抜いて発言している気がするし、露悪的な発言は共感を呼びづらいのかもしれないが、こういう考え方を排除してはいけないと思う。

終戦後、GHQが占領下の旭川に来て、アイヌの長老たちと面談している。GHQ側が「独立したいか?」と聞くと、長老たちは、「日本国民だから、ここに残る」と断ったという。その資料がスミソニアン博物館に残っているそうだ。p.22

 GHQとアイヌ。米国とアイヌ。新鮮。

 昨年訪れたサハリンはロシア人とアイヌとギリヤークと和人と朝鮮人と中央アジアのるつぼでしたが、米国の影はなかった。おそらく少数民族の開放を政府への圧力カードとして抱えたい米国。北海道の独立もあったのか…?この文章読んだからか、スミソニアン博物館に行く夢を見ました。

アイヌは自然崇拝者・平和主義者のように言われているが、彼らは酒や女と引き換えの獲物として、多くの狼やラッコを乱獲した。アイヌ内でも抗争が多々あり、松前藩が仲裁に入ったこともあった。p.27

 アイヌが千島や樺太に出て、オロッコやギリヤークを虐げた歴史。海賊アイヌ。日本人も倭寇と呼ばれたが、アイヌも負けてない。

現在、アイヌの血を引くことを名乗らない人が少なくないのも、アイヌであること自体を隠したいからではない。プロ・アイヌたちと同列に見られたくないからなのだ。これがアイヌ文化の推進・保存の為と言って数億の税金をばら撒こうとも、アイヌ文化が定着しない要因の一つでもある。「差別によって奪われたアイヌ文化」の再生という虚構から始まっている以上、まずは「アイヌは不幸であること」を理解して自分の中で消化しなければならない。p.46

 虐げられたアイヌ、という幻想こそが、本当のアイヌとの出会いを妨げる。瀬川先生やゴールデンカムイもこの系列か。好感度高い芸能人の不倫のように、後から非難される前に、情報公開。同じ人間だ。

 同時に和人が北海道で開拓を進める中、アイヌを差別したり逆にとことん利用した歴史も学ばなければならない。おそらく旭川に住むわたしが一番知らんふりをしてきたはずだ。

 プロ・アイヌへの抵抗。著者はアイヌの個人や組織が和人から金をせびっているような構図に嫌悪して、それこそアイヌの矜恃はどこいった?と憤怒している。

 しかし、実際大変な暮らしをしていたアイヌにとっては、自立した砂澤ビッキのような存在は稀であるから、そこに溝ができたのかもしれない。

祖父砂澤市太郎は大正15年旭川の近文で解平社を設立。アイヌよ、自立せよ!第七師団近文移転反対に上京。浅草上野で露天商。祖母ベラモンコロはクリスチャン日曜学校算盤、和服。阿寒で民芸品開業。p.53

 誰よりも和人側ではないサラブレッドの血。父・ビッキは澁澤龍彦の彼女と結婚。

平凡社事典に対し、ウタリ協会の「差別だから書き換えろ」は言論弾圧では?p.54

 糾弾体制組織への疑念。

アイヌ側も差別をしている。シャモは差別用語だ。アイヌ協会でも、日本人にシャモのくせに口出すなと締め出したことがあった。だからみんな白けてどんどん離れていったp.61

 美化へのおそれ。何よりもマスコミや和人ひとりひとりががその体制を作り、持ち上げては落とすことをしかねない。著者はそれを危惧している。

日本の保護がなければ現在のアイヌも存在しなかっただろう。p.66

 お江戸を嫌う京都が、実は家康や江戸幕府に保護されていたかのような。

香山リカは、自分では取材するわけでも、一次資料にあたるわけでもなく、アイヌについて自分が共感出来る本だけを読み、そこに書かれていることを鵜呑みにする。p.70

 思い込みの正義。自戒を込めて。

太田龍(竜)は竹中労、平岡正明と世界革命浪人を名乗り、窮民革命論提唱。アイヌと沖縄重視。アイヌ共和国、琉球独立。蝕み続けている。p.160

 私の父が太田龍はすごいとよく言ってました。現在は爬虫類系異星人まで辿り着きました。この本は後ほどアップします。

1961(昭和36)年、旭川市立永山中学校で学力テスト最中に北教組と国鉄、パルプ労働組合、保護者が侵入、校長に暴力。この裁判の弁護士が上田文雄前札幌市長。p.171

 これ知らなかった。近所の母校です…。昨日も永山で事件ありましたが…。


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