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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを… もっと読む
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2024年3月の記事一覧

宝物(詩)

宝物(詩)

僕たちは川の流れる音を聞きながら、ただ黙って座る土手に咲いているタンポポ。

君の顔は沈みゆく太陽で真っ赤に染まっていたけど、そこには僕と二人だけしかいないことに対する恥ずかしさの赤が混ざっているのかわからない夕暮れの河川敷。

「そろそろ帰らないと」君は立ち上がり、僕もそれに合わせて立ち上がる、君はスカートの、僕はズボンのお尻をそれぞれ両手で払い、手にした学生カバン。

僕が差し出した右手に君の

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もう始まっている(詩)

もう始まっている(詩)

地球の奥のさらにずっと一番奥に、マグマでできた目覚まし時計があるのです。それは地球上の時計のように、1秒、1分、1時間と時を刻んでいるのです。

そしてある時間になると目覚まし時計は鳴り出して、地球の中のマグマが全部目を覚まします。地球の穴という穴すべてからマグマが噴き出して、美しいと言う間もなく人は溶けてなくなります。

マグマが眠りにつく頃には地球上に生物はいなくなっているでしょう。

誰も取

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君が笑った(詩)

君が笑った(詩)

君が笑った
でもその笑顔には塩が入っていた
だから僕の心はしょっぱくなった

君が笑った
でもその笑顔にはコーヒーが入っていた
だから僕の心は苦くなった

君が笑った
今度の笑顔には砂糖が入っていた
だから僕の心は甘くなった

どの笑顔も僕は大好きだけど
やっぱり甘い笑顔が君には一番よく似合うよ

おまえの歌(詩)

おまえの歌(詩)

視界150度の世界で
おまえはすべてを見通せると言う
視界150度の世界で
おまえはなんでも知っていると自慢する
視界150度の世界は皆同じなのに
おまえは他人を見下している
そんなおまえをまわりの人たちは嘲笑っているけど
おまえはそれにまったく気づいていない
そんな傲慢な態度を取ること自体
世の中を知らなすぎるおまえを
俺は嘲笑うことはしない
おまえ自身が気づかなければ
おまえは変われないのだか

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心配事(詩)

心配事(詩)

世界のことを心配して
日本のことを心配して
会社のことを心配して
家族のことを心配して
いろいろなことを心配して
病気になって
やっと
自分のことを心配するようになった

小さな地平線の向こうで(詩)

小さな地平線の向こうで(詩)

一本の真っ直ぐな道、
長く長い一本道、
その遠くの一番奥に、
ビルのあいだの小さな地平線がありました。

地平線からは突然車が現れて、
まるで地平線の向こうに自動車工場でもあるのでしょうか。
それとは逆にずっと前に私を追い越した車が
地平線の向こうで突然姿を消すのです。

車の死、
車は生まれ、車は死んで、
次から次へと生まれて死んで、
私は生死の境を、
小さな地平線の向こうを眺めました。

何者(詩)

何者(詩)

喜ぶ権利にゃ見向きもせずに
悲しむ権利だけ声高に主張する
世界一の不幸者だと叫んでみても
誰も相手にしてくれない
そして一人になったとき
道化た自分に笑みをこぼす
オレって一体何者なんだ?

熱量(詩)

熱量(詩)

飛行機が鉄の重りを引きずりながら低空飛行する。
悲しみを失った海は、君の優しさを忘れたように、ウインドサーファーの体を飲み込んでゆく。
過去をいっぱいに積み込んだトラックが、ハイウェイの境界線を飛び出して炎上する。
君の悲しみは重さを失い、君は風に乗って次に根をはる場所を探す。
僕は君を失ったまま、公園の砂場を掘り続ける。戻って来るはずのない君が戻って来るのを期待しながら。
熱が空から降ってくる。

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命の選択(詩)

命の選択(詩)

生きるか死ぬかの選択を
毎日続けてきたけれど
いつも生きるを選ぶから
毎日選択せにゃならぬ
死ぬを選べばそれまでなのに
宛てない望みを捨てきれず
生死の狭間を今日もさまよう
ああ人生はかくも矛盾に満ちていて
生きるか死ぬかの選択を
今日も続けて明日が来る

泣いてもいいよ(詩)

泣いてもいいよ(詩)

悲しくても涙を見せない君は
心の中に吸水ポリマーあって
だから涙を流さないけれど
悲しければ悲しいほど
吸水ポリマーが涙を拭い
心がどんどん重くなるから
悲しいときくらい
泣いたほうがいいと思うんだけど
だから
僕の前で泣いてもいいよ

旅日記 安房小湊(エッセイ)

旅日記 安房小湊(エッセイ)

何もない漁師町。何もない海の世界。
東京に住んでいると情報という名の麻薬で中毒になりそうになる。そんなときに訪れたい町。

朝、日の出前に海岸へ行く。波の音、風の音、鳥の声。風の音楽に合わせて、波が白く踊る。やがて、オレンジに染まる空から太陽が昇る。空気が急に暖かくなる。誰もいない世界に私一人。私だけの時間。私だけの場所。
このまま座っていたら、波にさらわれそうな世界。水平線の先にある知らない場所

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目覚めの歌(詩)

目覚めの歌(詩)

夢のない世界に僕は眠っている。
生も死もない世界に僕は寛いでいる。
自意識だけが僕の頭の中で蠢いているけれど、僕はそれに気づかない。
何もない無の世界は安らかで、清らかで、淋しくない孤独に満ち満ちている。
これが永遠というものなのか。そう思ったときに、一気に雑音と汚濁と悲しい孤独が体を襲ってきた。
生と死の世界で僕は目覚めた。
でも、夢のない世界は何も変わらなかった。

開放(詩)

開放(詩)

若者たちよ
自由に縛られるな
不自由を消化しろ
そうすれば
自由と不自由の真ん中の世界を
見つけることができるから

愛の形(詩)

愛の形(詩)

涙が滲みるほど太陽が真っ赤な夕方
子どもたちの元気な声が川の上辺を流れていく
ふたつの点を結んだ直線に
いつしかもうひとつの点が現れ
直線は正三角形に変わったが
まだ私には余裕があった
その三角形が一点だけが遠ざかり
不格好な二等辺三角形になったとき
あなたは遠くなった私の点をつまんで
川の真ん中に躊躇いもなく放ったっけ
私の点は太陽も届かない川底に沈んだ
もし稚魚が私の点を食べて
大きくなって交

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