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水木三甫
2024年3月31日 07:50
僕たちは川の流れる音を聞きながら、ただ黙って座る土手に咲いているタンポポ。君の顔は沈みゆく太陽で真っ赤に染まっていたけど、そこには僕と二人だけしかいないことに対する恥ずかしさの赤が混ざっているのかわからない夕暮れの河川敷。「そろそろ帰らないと」君は立ち上がり、僕もそれに合わせて立ち上がる、君はスカートの、僕はズボンのお尻をそれぞれ両手で払い、手にした学生カバン。僕が差し出した右手に君の
2024年3月30日 08:36
地球の奥のさらにずっと一番奥に、マグマでできた目覚まし時計があるのです。それは地球上の時計のように、1秒、1分、1時間と時を刻んでいるのです。そしてある時間になると目覚まし時計は鳴り出して、地球の中のマグマが全部目を覚まします。地球の穴という穴すべてからマグマが噴き出して、美しいと言う間もなく人は溶けてなくなります。マグマが眠りにつく頃には地球上に生物はいなくなっているでしょう。誰も取
2024年3月29日 11:25
君が笑ったでもその笑顔には塩が入っていただから僕の心はしょっぱくなった君が笑ったでもその笑顔にはコーヒーが入っていただから僕の心は苦くなった君が笑った今度の笑顔には砂糖が入っていただから僕の心は甘くなったどの笑顔も僕は大好きだけどやっぱり甘い笑顔が君には一番よく似合うよ
2024年3月28日 08:13
視界150度の世界でおまえはすべてを見通せると言う視界150度の世界でおまえはなんでも知っていると自慢する視界150度の世界は皆同じなのにおまえは他人を見下しているそんなおまえをまわりの人たちは嘲笑っているけどおまえはそれにまったく気づいていないそんな傲慢な態度を取ること自体世の中を知らなすぎるおまえを俺は嘲笑うことはしないおまえ自身が気づかなければおまえは変われないのだか
2024年3月27日 07:55
世界のことを心配して日本のことを心配して会社のことを心配して家族のことを心配していろいろなことを心配して病気になってやっと自分のことを心配するようになった
2024年3月26日 08:30
一本の真っ直ぐな道、長く長い一本道、その遠くの一番奥に、ビルのあいだの小さな地平線がありました。地平線からは突然車が現れて、まるで地平線の向こうに自動車工場でもあるのでしょうか。それとは逆にずっと前に私を追い越した車が地平線の向こうで突然姿を消すのです。車の死、車は生まれ、車は死んで、次から次へと生まれて死んで、私は生死の境を、小さな地平線の向こうを眺めました。
2024年3月25日 08:53
喜ぶ権利にゃ見向きもせずに悲しむ権利だけ声高に主張する世界一の不幸者だと叫んでみても誰も相手にしてくれないそして一人になったとき道化た自分に笑みをこぼすオレって一体何者なんだ?
2024年3月24日 08:25
飛行機が鉄の重りを引きずりながら低空飛行する。悲しみを失った海は、君の優しさを忘れたように、ウインドサーファーの体を飲み込んでゆく。過去をいっぱいに積み込んだトラックが、ハイウェイの境界線を飛び出して炎上する。君の悲しみは重さを失い、君は風に乗って次に根をはる場所を探す。僕は君を失ったまま、公園の砂場を掘り続ける。戻って来るはずのない君が戻って来るのを期待しながら。熱が空から降ってくる。
2024年3月23日 08:48
生きるか死ぬかの選択を毎日続けてきたけれどいつも生きるを選ぶから毎日選択せにゃならぬ死ぬを選べばそれまでなのに宛てない望みを捨てきれず生死の狭間を今日もさまようああ人生はかくも矛盾に満ちていて生きるか死ぬかの選択を今日も続けて明日が来る
2024年3月22日 07:23
悲しくても涙を見せない君は心の中に吸水ポリマーあってだから涙を流さないけれど悲しければ悲しいほど吸水ポリマーが涙を拭い心がどんどん重くなるから悲しいときくらい泣いたほうがいいと思うんだけどだから僕の前で泣いてもいいよ
2024年3月21日 09:30
何もない漁師町。何もない海の世界。東京に住んでいると情報という名の麻薬で中毒になりそうになる。そんなときに訪れたい町。朝、日の出前に海岸へ行く。波の音、風の音、鳥の声。風の音楽に合わせて、波が白く踊る。やがて、オレンジに染まる空から太陽が昇る。空気が急に暖かくなる。誰もいない世界に私一人。私だけの時間。私だけの場所。このまま座っていたら、波にさらわれそうな世界。水平線の先にある知らない場所
2024年3月20日 06:15
夢のない世界に僕は眠っている。生も死もない世界に僕は寛いでいる。自意識だけが僕の頭の中で蠢いているけれど、僕はそれに気づかない。何もない無の世界は安らかで、清らかで、淋しくない孤独に満ち満ちている。これが永遠というものなのか。そう思ったときに、一気に雑音と汚濁と悲しい孤独が体を襲ってきた。生と死の世界で僕は目覚めた。でも、夢のない世界は何も変わらなかった。
2024年3月19日 07:08
若者たちよ自由に縛られるな不自由を消化しろそうすれば自由と不自由の真ん中の世界を見つけることができるから
2024年3月18日 07:37
涙が滲みるほど太陽が真っ赤な夕方子どもたちの元気な声が川の上辺を流れていくふたつの点を結んだ直線にいつしかもうひとつの点が現れ直線は正三角形に変わったがまだ私には余裕があったその三角形が一点だけが遠ざかり不格好な二等辺三角形になったときあなたは遠くなった私の点をつまんで川の真ん中に躊躇いもなく放ったっけ私の点は太陽も届かない川底に沈んだもし稚魚が私の点を食べて大きくなって交