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終電に生かされた僕は、始発電車で死を選ぶ。【短編小説】
死のうと思っていた。
終電間際の電車を自宅の最寄駅でおりたぼくは、もう用のないプラットフォームにあるベンチへ腰をおろす。
ぼくの背面にもうひとつベンチがある。そこに座っているひとりと、ぼくだけしかいない駅のホームは、しんとした静けさを保ちながら最終電車の到着を待ち構えていた。
最終電車に飛び込み、ぼくは死ぬ。そう決めたのは、今日会社を出たときのこと。
日中は春がきたのかと思わせられる日
ずっと小学生の彼のように。
「ずっとパワプロしてる」
そう言いながら、彼は冷めた餃子を生ビールで流し込んだ。
先日、仕事の関係で東京へ引っ越した友だちが、連休を利用して地元に帰ってきた。
「時間が合えば飲みにでも行こう」
そんなやり取りをしていたことなどすっかり忘れていたぼくは、彼から送られてきた「今どこ?何してん?」のLINEで、彼が今大阪にいることを思いだした。
LINEが来たのは、子どものゲームタイムが終わり