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週刊・フランス滞在記

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【毎週金曜日に配信中】 2019年11月から2020年3月までフランス南東部のグルノーブルという地方都市に滞在。 ストライキあり、コロナありの賑やかな現地生活を満喫しつつ、スイス…
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#記憶

096. 笑顔だけ持って、マダムにクレープを教わりに行く

096. 笑顔だけ持って、マダムにクレープを教わりに行く

bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。
今号は、ご近所のフランス人マダムからクレープの作り方を教えていただいたお話。

最近、ご近所のフランス人マダムと仲良くなって、お互いにレシピを交換しあったりケーキやお惣菜を届け合うようになりました。

以前マダムが届けてくれたクレープが絶品で、レシピを教えてほしいとリクエストをしたところ「今度一緒に作りましょう」と声をかけて

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155. フランス滞在記 (完)

155. フランス滞在記 (完)

Bonjour!🇫🇷 毎週金曜日に更新のフランス滞在記をお届けします。

いよいよ今号をもって、フランス滞在記(全155話)完結いたします。
この滞在記は、コロナ前後の2019年から2020年、フランスと日本を行き来しながら体験したことを、一つずつふり返り書き記したものです。

この滞在記の中には、当時3歳の子どもを育てながら、忙しい日々のなか、愛おしい瞬間を忘れたくないともがく「お母さんとし

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Vol.35  消えていく記憶の中で必死にカメラを回していた

Vol.35 消えていく記憶の中で必死にカメラを回していた

やむにやまれぬ衝動に駆られて、昨年より毎週金曜日に更新しはじめた、フランス滞在記。

なぜ、わたしは滞在記を書くのだろう。

毎週金曜日がくるたびに考える。



過ぎ去った在りし日に、意味らしい何かを求め、
書き起こそうとするこの衝動は、いったい何なのだろう。

そのままにしておいた方が、
美しいことだって、あるんじゃないだろうか。

だけど、書かずにはいられない。
この突き動かすような衝動の

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Vol.39 娘に女を感じる瞬間がある

Vol.39 娘に女を感じる瞬間がある

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。

3歳を過ぎたあたりでしょうか。
娘のふとした仕草の中に時折「女」を感じることが出てきたのです。
普段は「子供」「娘」として彼女のことを見ているけれど、何気ないふとした仕草や目つきの中に時おり「女」を感じることがあって、はっとさせられる。

ママのまね。

ママとおんなじがいい。

ママになりたい。

私がピアスをつけている

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080. 開かなかった扉事件|オーベルニュ編

080. 開かなかった扉事件|オーベルニュ編

bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。

今日はオーベルニュのB&Bで不思議な夜を過ごした翌朝のお話。現在5歳(当時3歳)の娘はだんだんとフランス滞在中の記憶がなくなっていくのですが、この「開かなかった扉事件」のことだけはかなり鮮明に覚えているようで何度も話してくるのでした。



「ねぇ、フランスに住んでいた時のこと覚えている?」
「うーん・・・もう忘れちゃっ

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082. 時間の記憶が消えても、色彩の記憶はあせずに残り続ける|オーベルニュ編

082. 時間の記憶が消えても、色彩の記憶はあせずに残り続ける|オーベルニュ編

bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。Vic en Carladésという美しい街の中心にある、古い教会の中に足を踏み入れたわたし達。時は2020年2月末。ちょうど世界が未曾有の例の感染症に飲み込まれる前のことだった。今日書くのはあの時感じた色彩の記憶。



娘が幼かったのもあって、わたしのフランス滞在中の記憶といえば、トイレを探して市街地を右往左往したりとか

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088. しがみつかれていたと思っていたのに、実は抱きしめられていた。

088. しがみつかれていたと思っていたのに、実は抱きしめられていた。

bonsoir!🇫🇷 
8月いっぱいバカンスをとってお休みしていた週刊・フランス滞在記を再開します。本日からまた毎週金曜日、よろしくお願いいたします。バカンス明けの今号は、夜お布団の中で娘と寝ていたときに不意にわいた思いを徒然と・・。

このフランス滞在記も気付けば88話目で、100話ぐらいで完結かな?と目処がついてきたところです。夏休み中にあとはこう言うことを書こうとざっくりとした計画を練っ

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099. 豆を炊きながら、あの時、わたしは不安で不安で仕方がなかった。

099. 豆を炊きながら、あの時、わたしは不安で不安で仕方がなかった。

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。時系列的にもあのマクロン大統領のロックダウン宣言(2020年3月16日)を間近に控え、滞在記を書くときにぐっと摩擦を感じるようになってきました。今日はそんな、嵐の前の静けさをかすかに感じつつも、丁寧に暮らしを営もうとしていたある日の場面について。


2020年3月10日。
この日から保育園、学校、大学などの教育機関が閉鎖に

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101.滞在記を書くことはトラウマを癒す

101.滞在記を書くことはトラウマを癒す

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。今日は滞在記のもつ、「トラウマを癒す」という力について。

こうして長く滞在記を書いていると、人の記憶って本当に凸凹とした歪な形をしているんだなというのがよくわかる。つどつど、さまざまな体験をしていながら、いったん記憶の中に入ってしまうと、強く張り出した部分と、まったく目立たない部分とが形成されて、とても歪な形になるのです。

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109. 私が忘れかけていた娘の顔

109. 私が忘れかけていた娘の顔

bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。今号は、ちょっと時系列を現在に戻して、先日の節分に、懐かしい人がアメリカのサンディエゴから訪ねてきてくれた時のお話。


2019年12月、ロサンゼルスからAmtrakに乗って、アメリカの西海岸サンディエゴに向かった。しょっちゅう仕事で海外に出かけている夫とは違い、まったく海外慣れしていない私にとっては大冒険だった。しかも、

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122. 記憶の凸凹を抱きしめる

122. 記憶の凸凹を抱きしめる

bonjour!🇫🇷 毎週金曜日更新のフランス滞在記をお届けします。記憶の整理のために始めたこのフランス滞在記も今号で122話目。一つのテーマについてこんなに長きに渡って書き続けることは人生初です。今号は先に書き進める筆を少し止めて、わたしがフランス滞在記を書く意味について振り返ってみたいと思います。


2020年5月29日から書きはじめたフランス滞在記。途中バカンスを挟みながらかれこれ3

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153. 忘れたくない、と娘は泣いた。

153. 忘れたくない、と娘は泣いた。

Bonjour!🇫🇷 毎週金曜日に更新のフランス滞在記をお届けします。
フランス滞在記は長い旅を終え、いよいよ着陸体制に入りました。前号を書き終えてから「もう忘れてもいい」と思えるようになったら、最近急に娘(6歳)が夜寝る前に「昔のことを思い出せなくなってきた」と泣き出して——。


フランスに滞在していたのは、もうかれこれ4年前。その時の記憶をふり返って書いているのだが、ときどき今という現

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