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コーラの値段 海の家の自称経営コンサルのおじさん 夏休みに家庭教師と塾講師から外房の海の民宿バイトに一歩踏み出して その5 ~当たり前過ぎて意識しなくなっていること

大学1年生の夏休みのことです。
【不得意な肉体労働にデビュー】
 学習系の知的アルバイトのみに絞って居たのに、何と肉体労働系の仕事にデビューすることに。下宿生には有り難い食事付なれど自宅通学の私には…。夏期講習の仕事が終わった直後、サークルの先輩から食事付の海の家のアルバイトに代わりに行ってくれないかと懇願され、「それも一興」とのノリで快諾。鉄道を乗り継いて鄙(ひな)びた駅に降り立ち、蝉の鳴き声と真夏の日差しを浴びながら海の家に到着。仕事までゆっくり海で遊んで来てはとのことで海岸に出て生まれて初めて海で泳ぎ、感動。生まれて初めての配膳の仕事をこなした後、遅い夕食。お櫃(ひつ)の外に飛来したゴキブリを生まれて初めてのでの駆除。グジュというなんとも言えない感触の洗礼を受けるも毎日の駆除で直ぐになれてしまう。
 朝食の配膳、下膳の仕事を済ませ朝食後、お風呂の掃除デビュー。温泉かけ流しなのに毎日お湯を全て抜いて浴槽を掃除するという徹底した衛生管理に感動。
 海の家の仕事にも挑戦して生まれて初めてイカを焼き、焼そばを作るも上出来。そんな自分に驚く。

【海の家の店長】
 海の家の店長さんの人の使い方が荒っぽいけど秀逸でした。イカ焼き、焼きそばを丸投げで作らせ見事成功。
何なんだこのおじさんは?

 嵐のような昼食時の繁忙が収まった昼下り、自分で作った美味しい焼そばを食べ終わった時でした。
「もう仕事いいから呼ぶまで海で遊んできて良いよ。」
開放の仕方も絶妙だなと感じながら、民宿の午前の仕事を終えて先に遊んでいた先輩達に合流しました。
 夕方、私達のところに海の家の店員さんが来て
「店長が呼んでる」
とのこと。早速海の家に引き返すと冷たいコーラが用意されていました。傾きかけた日差しを受けながらひとしきり雑談した後です。

「このコーラだけどな、スーパーで買えば60円ぐらいだよな。道路の自動販売機で買っても100円だろ。ここで売れば150円、砂浜に持って行って売れば200円でも買ってくれるよな~。どう思う。」
 マーケティングの基礎を優しく教えてくれたのでした。

 因みに別の日にやはりコーラをごちそうしてくれながら
「25cm、26cm、27cmの長靴を作りたいとするだろ。君ならどうする。」
 これもマーケティングと製造、歩留りの融合問題です。
因みに答えは
「真ん中の26cmを狙ってつくればバラついて3種類ができてしまう。しかも26cmが売れ筋で24cmも27cmもそんなに売れないからちゃうど良い。」
ということでした。ちと雑だけど気持ちは解かるというお話。なぜ私だけの呼ばれたのか知りませんが。

 面白い自称経営コンサルタントのおじさんとの出会いでした。

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