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#掌編
〔ショートショート〕海が太陽を吸った日の色のような
誰しも、ターコイズ色の靴を履くべき日がある。それはブルーでもグリーンでも構わない。だけど、来たるべきその日の為に準備しておくに越したことはない。そして、それは突発的かつ直感的にやってくる。いわば天気雨のように。したがって、それを晴天の空の下でただじっと待っているだけのような非効率的なことは馬鹿げているから、そんなに神経質になる必要はない。直前になれば自ずと分かるから。それが、彼にとっては今日だっ
もっとみる〔ショートショート〕ひな祭りの主役は、二段目に。
少女が一人。
湿った砂浜に膝を抱えて座り、素足の指と指の間を海水が触っては戻っていくのを見つめる。3月の波打ち際は、まだ冷たい。
当然、少女にとって、そんなことは常識だった。
考え事をするときは、普段からこの海を訪れるから。
今日、彼女は、波打ち際で遊ぶ理由を考えていた。
それは視線の先に、噂に聞いたことのある未知の世界が広がっているからで、ここでその世界を妄想するのが好きだから、そ
どこでも眠れる時がある。
アスファルトの上に横たわって、自分を捨てて走り去った車の尻を見ていた。
ああ、身体のそこら中が痛い。起き上がれそうに無いし、起き上がる気もしないほど頭がぼやける。ぼんやりとした頭で、「車の尻ってなんだよ」と考えた。もっと他に正しい名前があった気がするが、思い出せない。どうでもいいか。
一応、車道ではなく歩道に捨てて行かれたようだ。とりあえずは車に轢かれる心配はないなと思うと、余計に立ち上がる
雨からは傘が守ってくれるのに。
買ったばかりの小説が、残りのページ数を減らしながらクライマックスに向かっていく。
コーヒーショップの端の方に座り、わたしは小説を読んでいた。
グラスの中のアイスコーヒーが減り、溶けた氷のだけが抵抗いている。
いつのまにか、わたしたちは定期的に数字を確認しないと生きていけなくなってしまった。それは、何故かわからない。
この国では聞いたこともない依存症の名前がピョコピョコ顔をだす。だけど、ここは少し