Landscapeapproach

18年間企業でTNFD・TCFD・CDPなどのESG、持続可能な認証取得支援、ヴィンヤ…

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18年間企業でTNFD・TCFD・CDPなどのESG、持続可能な認証取得支援、ヴィンヤード生態系調査、サスティナビリティを担当。

記事一覧

単純なバリューチェーンだけでは、三体の射撃手仮説に出てくる科学者になりかねない。

iPES FIOODの「An Invisible Crisis: New dimensions of land grabbing(見えない危機:土地強奪の新たな側面)」という記事を見て、以前から主張していたことが現実になっ…

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スリランカの紅茶農園での雑草管理に関する論文

スリランカの紅茶農園では、持続可能で且つ、茶園の収益をあげるための取り組みが、大学の研究者と先進的な農園マネージャによって進められています。これらの取り組みの成…

若者を育てることが、環境を守る第一歩

スリランカで、ヒョウを守るための農園内の若者の教育プログラムについてご紹介しました。 https://note.com/landscape_1/n/nd3b6fa5ea433 もう少し詳しく説明しましょう…

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8月1日は「スリランカ・レオパード・デー」。  レパードとは、日本語でヒョウ。パンサーとも呼ばれます。

スリランカの英字新聞サイト「Daily Mirror online 」に、スリランカで、ヒョウ(Panthera pardus kotiya)の保全にさらに力をいれるために、8月1日を「スリランカ・レオパ…

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水源の森より、水道が大事

日本では、水源の森活動を行っている企業がたくさんあります。 前職の企業は飲料企業なので、流石に飲料企業がやる分には意味があるのですが、森との関わりが極めて薄い企…

Z世代とオリンピック・完全メシ

パリのオリンピックが閉幕しました。日本は多くの金メダルを獲得しましたが、それ以上に印象的だったのは選手たちの清々しさだったのではないでしょうか。 スケートボード…

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非財務情報開示の自由演技とフィギュアスケートの規定演技

CDP共同創設者兼会長であるポール・ディキンソンさんのインタビュー記事が公開されています。 https://vimeo.com/989816754/66d7b090f5 ポールさんが2019年に来日された際…

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2週間前
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統合型なランドスケープアプローチの実践

1週間かけて、「1000Landscapesfor1BillionPeople」の「統合型ランドスケープ管理の実践ガイド」を和訳したので共有します。 ガイダンス内に「出典を明記すれば、この報…

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3週間前
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ネイチャーポジティブに愛されてる?ヴィンヤードと日本ワイン

2014年秋に、農研機構の先生方と初めて椀子ヴィンヤード(長野県上田市)を訪問した時のことを鮮明に覚えています。 上田駅からタクシーで20分、水田の景色の中に陣場台地…

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1か月前
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スリランカ紅茶農園でのランドスケープアプローチ

「バリューチェーン」というワードを聞いたことはあっても、実際に日本企業が真剣に「バリューチェーン」を考えるようになったのは、2011年にGHGプロトコルのスコープ3基準…

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1か月前
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「自然に基づく解決策(NbS)」のトレードオフと植民地主義

3週間も掛かってしまいましたが、ようやくNature-based Solutionsの「narratives, frames, and future horizons」のレポートを和訳できました。 非常に興味深く、学ぶこ…

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1か月前

「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」とりまとめ

2024年7月5日に、みずほリサーチ&テクノロジーズ様から「「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」のとりまとめ報告書」が開示されました。 https://www.mizuho-rt

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1か月前

キリングループの環境報告書(TCFD・TNFD)が開示されました。

2024年6月18日に、キリングループの環境報告書2024が開示されました。 リリース: https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2024/0628_01.html ダウンロード…

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1か月前
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ESG・サスティナビリティのnoteを始めます。

2024年7月末に、大手食品会社を定年退職します。 ビジネスパーソンとして、最後の18年間は環境の担当でした。 「ESG」という言葉が日本で殆ど知れられていない2000年後半か…

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2か月前

科学的エビデンスの重要性: IPBESの「ネイチャー・ポジティブな未来へのナビゲート:生物多様性の具体的解決に向けたエビデンス…

IPBESは、生物多様性のIPCCと呼ばれる組織です。 そこが管理している生物多様性・生態系サービスネットワーク (BES-Net) から、「NAVIGATING TOWARDS A NATURE-POSITIVE FU…

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2か月前

TNFD and EFRAG の対応マッピング

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)とEFRAG(Europe's voice in corporate reporting:欧州財務報告諮問グループ)が共同で、ESRS基準とTNFDの勧…

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2か月前
単純なバリューチェーンだけでは、三体の射撃手仮説に出てくる科学者になりかねない。

単純なバリューチェーンだけでは、三体の射撃手仮説に出てくる科学者になりかねない。

iPES FIOODの「An Invisible Crisis: New dimensions of land grabbing(見えない危機:土地強奪の新たな側面)」という記事を見て、以前から主張していたことが現実になっていることを目の当たりにして、非常に残念な思いです。(GHGクレジットやアグリビジネス、鉱山開発などで世界中で土地収奪が進み、農民や地域社会から土地が奪われるケースが増えている、

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スリランカの紅茶農園での雑草管理に関する論文

スリランカの紅茶農園での雑草管理に関する論文

スリランカの紅茶農園では、持続可能で且つ、茶園の収益をあげるための取り組みが、大学の研究者と先進的な農園マネージャによって進められています。これらの取り組みの成果は、キリンが進めるレインフォレスト・アライアンス認証取得支援のトレーニングの中にも取り込まれ、農園支援に生かされています。

その中で、特徴ある取り組みは「雑草管理」です。
今回、許可を得て、「雑草管理」を推進しているスリランカのスリジャ

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若者を育てることが、環境を守る第一歩

若者を育てることが、環境を守る第一歩

スリランカで、ヒョウを守るための農園内の若者の教育プログラムについてご紹介しました。
https://note.com/landscape_1/n/nd3b6fa5ea433

もう少し詳しく説明しましょう。
スリランカでは、ブラックパンサーが罠に掛かって死んでしまったことから、農園マネージャやNGOを中心として、ヒョウを守る活動が始まりました。
キリンはそのうち、農園に住んでいる若者の教育プログ

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8月1日は「スリランカ・レオパード・デー」。  レパードとは、日本語でヒョウ。パンサーとも呼ばれます。

8月1日は「スリランカ・レオパード・デー」。  レパードとは、日本語でヒョウ。パンサーとも呼ばれます。

スリランカの英字新聞サイト「Daily Mirror online 」に、スリランカで、ヒョウ(Panthera pardus kotiya)の保全にさらに力をいれるために、8月1日を「スリランカ・レオパード・デー」と制定した、という記事が出ていました。
(ちなみに、ヒョウは、レオパードともパンサーとも呼ばれます)
和訳して添付します。

オリジナル記事はこちらです。
https://www.da

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水源の森より、水道が大事

水源の森より、水道が大事

日本では、水源の森活動を行っている企業がたくさんあります。
前職の企業は飲料企業なので、流石に飲料企業がやる分には意味があるのですが、森との関わりが極めて薄い企業でも森林活動をやっている企業が多いのは、ある意味ではCSRブームの残滓のように考えています。
前職で環境を18年担当し、社会環境室なる組織に配属されたのが、日本のCSR元年の次の年だったこともあり、この関係性はリアルに観察できました。

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Z世代とオリンピック・完全メシ

Z世代とオリンピック・完全メシ

パリのオリンピックが閉幕しました。日本は多くの金メダルを獲得しましたが、それ以上に印象的だったのは選手たちの清々しさだったのではないでしょうか。
スケートボードやブレイキン、卓球やレスリングでは、ライバルの素晴らしい演技を称える姿が広くみられ、メダルを獲得した日本選手達のインタビューも、極めて素直に支えてくれた方たちへの感謝の言葉から始まっていました。
1992年のバルセロナオリンピックでは、「競

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非財務情報開示の自由演技とフィギュアスケートの規定演技

非財務情報開示の自由演技とフィギュアスケートの規定演技

CDP共同創設者兼会長であるポール・ディキンソンさんのインタビュー記事が公開されています。
https://vimeo.com/989816754/66d7b090f5

ポールさんが2019年に来日された際、当時のキリンの担当常務と対談していただきました。
その時はお話が非常に哲学的で、正直、記事にまとめるのに苦労した記憶があります。
それもあって、今回、極めて具体的なお話ばかりで驚いています。

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統合型なランドスケープアプローチの実践

統合型なランドスケープアプローチの実践

1週間かけて、「1000Landscapesfor1BillionPeople」の「統合型ランドスケープ管理の実践ガイド」を和訳したので共有します。

ガイダンス内に「出典を明記すれば、この報告書の一部または全体を使用、転載、配布することが可能」とあったので、知見の共有に資する目的として開示します。原文の意味が変わらない範囲で、少し意訳しているので、原文も併せてご覧ください。
https://la

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ネイチャーポジティブに愛されてる?ヴィンヤードと日本ワイン

ネイチャーポジティブに愛されてる?ヴィンヤードと日本ワイン

2014年秋に、農研機構の先生方と初めて椀子ヴィンヤード(長野県上田市)を訪問した時のことを鮮明に覚えています。
上田駅からタクシーで20分、水田の景色の中に陣場台地が見えてきます。
その裾の坂を上り、少し行くと、なぜか上田市だけで人気のマレットゴルフ場の横を通り過ぎ、そのすぐ先にシャトー・メルシャン椀子ヴィンヤードが見えてきます。

2014年のその日、その椀子ヴィンヤードが見えてきた瞬間に、隣

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スリランカ紅茶農園でのランドスケープアプローチ

スリランカ紅茶農園でのランドスケープアプローチ

「バリューチェーン」というワードを聞いたことはあっても、実際に日本企業が真剣に「バリューチェーン」を考えるようになったのは、2011年にGHGプロトコルのスコープ3基準が正式に開示されて以降のように思います。
大きな一歩ではあったものの、対象がGHGであったがために数字を通じた抽象化された理解に留まり、視点は自社の灯台の下から調達先という直線状の課題に広がっただけでした。
一旦数字になってしまうと

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「自然に基づく解決策(NbS)」のトレードオフと植民地主義

「自然に基づく解決策(NbS)」のトレードオフと植民地主義

3週間も掛かってしまいましたが、ようやくNature-based Solutionsの「narratives, frames, and future horizons」のレポートを和訳できました。

非常に興味深く、学ぶことの多いレポートです。
このレポートでは、「自然に基づく解決策(NbS)」には、多くの課題があるとして、推進派と批判派のナラティブを分析しています。
ここでの課題は、「自然に基づ

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「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」とりまとめ

「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」とりまとめ

2024年7月5日に、みずほリサーチ&テクノロジーズ様から「「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」のとりまとめ報告書」が開示されました。
https://www.mizuho-rt.co.jp/company/release/2024/pdf/r08-sustaina-ases.pdf
https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20240705_2re

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ESG・サスティナビリティのnoteを始めます。

ESG・サスティナビリティのnoteを始めます。

2024年7月末に、大手食品会社を定年退職します。
ビジネスパーソンとして、最後の18年間は環境の担当でした。
「ESG」という言葉が日本で殆ど知れられていない2000年後半からCDPの回答を始め、TCFDやTNFDにも世界に先駆けて対応をしてきました。
また、海外の原料生産地への持続可能な農業認証の取得支援、FSC認証紙を社会に普及うさせるための企業の枠を超えたコンソーシアムの創設、国内ヴィンヤ

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科学的エビデンスの重要性: IPBESの「ネイチャー・ポジティブな未来へのナビゲート:生物多様性の具体的解決に向けたエビデンスの戦略的取り込み」報告書

科学的エビデンスの重要性: IPBESの「ネイチャー・ポジティブな未来へのナビゲート:生物多様性の具体的解決に向けたエビデンスの戦略的取り込み」報告書

IPBESは、生物多様性のIPCCと呼ばれる組織です。
そこが管理している生物多様性・生態系サービスネットワーク (BES-Net) から、「NAVIGATING TOWARDS A
NATURE-POSITIVE FUTURE Strategic Uptake of Evidence Towards Tangible Biodiversity Solutions 」と呼ばれるレポートが公開されて

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TNFD and EFRAG の対応マッピング

TNFD and EFRAG の対応マッピング

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)とEFRAG(Europe's voice in corporate reporting:欧州財務報告諮問グループ)が共同で、ESRS基準とTNFDの勧告の対照表を作り、開示しています。
https://tnfd.global/tnfd-and-efrag-publish-correspo

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