Landscapeapproach

18年間企業でTNFD・TCFD・CDPなどのESG、持続可能な認証取得支援、ヴィンヤード生態系調査、サスティナビリティを担当。

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18年間企業でTNFD・TCFD・CDPなどのESG、持続可能な認証取得支援、ヴィンヤード生態系調査、サスティナビリティを担当。

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ESG・サスティナビリティのnoteを始めます。

2024年7月末に、大手食品会社を定年退職します。 ビジネスパーソンとして、最後の18年間は環境の担当でした。 「ESG」という言葉が日本で殆ど知れられていない2000年後半からCDPの回答を始め、TCFDやTNFDにも世界に先駆けて対応をしてきました。 また、海外の原料生産地への持続可能な農業認証の取得支援、FSC認証紙を社会に普及うさせるための企業の枠を超えたコンソーシアムの創設、国内ヴィンヤードにおける草生栽培のネイチャー・ポジティブへの寄与に関する研究など、様々な活動

    • 自然の状態を表す直接的な指標

      ERMから出ている下記のレポートのメッセージである「コンプライアンス重視からより革新的で成果に基づく行動へ」と言うメッセージは重要です。 この中で「6 - 成果ベースの指標は未来ですが、それを理解している人はほとんどいません。」という項目があります。企業が、肥料の削減などの間接的な指標から、実際の自然の状態変化の結果を指標化する方向に動いていることが語られています。 多くの規制、企業の目標値は、浮遊物質や溶酸素濃度と言った間接的な圧力(自然へのINPUT)でしかありません

      • 「再生可能エネルギー」「環境再生型農業」の「再生」って、どういう意味?

        「再生可能エネルギー」の「再生」って、どう言う意味でしょうか? 日本語で「再生」というと「一度使ったものを、再生利用すること」の意味になります。 でも、「再生可能エネルギー」は「一度使ったエネルギーをもう一度使えるエネルギー」の意味ではありません。 「再生可能エネルギー」は、英語では、「renewable energy」。 この場合の「renewable」は、 ・自然そのものから枯渇することなく生み出される。 ・使っても、自然が補充してくれる。 と言う意味です。 つまり、「

        • COP16(生物多様性条約第16回締約国会議)まとめ

          2024年11月2日に、コロンビアのカリで行われていたCOP16(生物多様性条約第16回締約国会議)が閉幕しました。 COP16では、企業トップの参加が前回から倍以上となり、しかも日本のプレゼンスが大きかったと聞いており、その点ではホッとしています。 成果としても、デジタル配列情報(DSI)の利益配分のための「カリ基金」の創設、先住民および地域コミュニティが1つの組織として今後参加することが決まるなど、大きく進展したCOPだったと思います。 合意文書を添付しておきます。

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        ESG・サスティナビリティのnoteを始めます。

          国境を超えるCSRDの行方

          企業サステナビリティ報告に関する指令(CSRD:Corporate Sustainability Reporting Directive)が、25年度から段階的に義務化されますが、この規制の大きな問題は、国境を超えること。 日本企業であっても、EU域内に一定規模の子会社がある企業は、その会社だけではなく、親会社含めて報告義務が発生します。 当然、EU以外に本社を置くグローバル企業からは不満が出ます。EU以外の国の中には、治外法権だと気分を悪くしている国も多そうです。勿論、ト

          国境を超えるCSRDの行方

          EUDRに死刑判決?

          EUDRに死刑判決!と国際NGOが批判しそうな決定ですね。 先日、欧州森林破壊防止規則(EUDR)の施行が1年延期されるというニュースが流れていましたが、それ以上の修正案が決定したようです。 まず、大企業の規制は2025年12月30日に、中小企業は2026年6月30日に延期されました。 ところがこれに加えて「リスクなしの国」と言うカテゴリーが新たに設けられることになりました。 現在は「低リスク」、「標準リスク」、「高リスク」の3つのカテゴリーに分けることになっていますが、森

          EUDRに死刑判決?

          自然エネルギーでの見えてこないランドスケープアプローチ

          何事も優先順位を付ける必要があるのは認めますが、実社会で低い順位だからと言って無視することは問題を大きくしがちです。 例えばこの記事の写真。どう見ても森林を切り開いて太陽光パネルを敷き詰めたようにしか見えず、メガソーラーが森林に与える影響への言及もありません。 調べてみると、ここは元は耕作放棄地で、且つキノコ栽培を開始して営農型にすると言う話だそうですが、この写真だけでは読み取れません。 実際、こんな記事もあります。懸念は存在する訳です。 一方で、同じ熊本の地下水涵養では

          自然エネルギーでの見えてこないランドスケープアプローチ

          11月19日:日本時間に合わせて非 EU グループ向け EFRAG ウェビナー開催

          非EU向けのEFRAGオンラインセミナーが、日本時間11月19日17時から開催されるようです。 時間は、日本時間の17:00 – 18:30 。 重要と思われる非EUの時差に合わせて、時間をずらして3度も開催する配慮をEUが行うのは、かなり異例です。 EUDRも延期になり、アメリカはトランプ政権になってEU規制がアメリカに及ぶことを嫌うでしょうし、EUとしては予定通り実施できるか不安なのかも知れませんね。 登録は下記のリンクから行えます。登録の後に、ウエビバー開催前までにメー

          11月19日:日本時間に合わせて非 EU グループ向け EFRAG ウェビナー開催

          COP16で先住民とアフリカ系の人達の地位確定

          COP16の合意では、日本では遺伝資源の利用に関する支払いに注目が浴びると思いますが、先住民の意見をしっかり反映させる仕組みに合意が得たことも大きな成果と言ってよいと思います。 更に画期的なのは、今回、いわゆる先住民だけではなく、アフリカ系の人々についても、同様の権利が与えられることになったことです。 無理やり奴隷としてアメリカ大陸などに連れてこられたアフリカ系の人々の末裔は、先住民がそうであるように、アメリカ大陸とカリブの島々で、自然とともに生活し、自然を保護する役割を果た

          COP16で先住民とアフリカ系の人達の地位確定

          SBTN正式版を使った初めての企業目標発表

          SBTNを使って世界で初めて目標を設定した企業についてのリリースがSBTNからでましたね。 開示したのは、 ・ケリング ・GSK ・ホルシム です。 こちらから、設定された目標が見れます。 https://lnkd.in/gp58dpFz リリースはこちら。 https://lnkd.in/gUfbhk3s 殆どが節水目標です。 ケリングの場合は、農地フットプリントの削減や土地利用改変の停止などが入っていますが、何か凄く新しい内容と言う感じはしません。 やはり、自然資本の

          SBTN正式版を使った初めての企業目標発表

          スリランカ中央高地のプランテーション部門の変容

          H. Mahendra P. Peiris さんと Nuwan Gunarathneさんのスリランカの紅茶農園に関する論文「スリランカ中央高地のプランテーション部門の変容」の和訳を紹介させていただきます。 この論文は、スリランカの大規模プランテーションの問題を、土地利用を変えることで解決した事例です。 今まで和訳し紹介してきた論文同様に、適切な雑草管理により土壌の水分量の保持、大雨による土壌浸食の防止ができるメリットを説明するとともに、茶ノ木の間にコーヒーの木などを植え、単

          スリランカ中央高地のプランテーション部門の変容

          日本政府が、TNFDに財政支援

          日本政府が、TNFDに財政支援だそうです。 これが、アジア・モンスーン地域の自然観を、TNFDガイダンスに適切に反映されるきっかけになると良いですね。 https://tnfd.global/tnfd-secures-funding-from-the-government-of-japan/

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          TNFD移行計画で、LEAPの副作用に言及

          TNFDが遂に、LEAPの副作用(タイベストメントでむしろ自然が棄損される可能性)についての対処の必要性を、公式にガイダンスに入れ込んでくれました。 一週間ほど前、TNFDは「自然資本の移行計画」についてのディスカッションペーパーを公開しました。 https://tnfd.global/publication/discussion-paper-on-nature-transition-plans/ この中に、自然資本の移行計画のために、例えばあるサプライヤーを切ったとし

          TNFD移行計画で、LEAPの副作用に言及

          CDPの「自然を育む:アジアにおける自然ベースの金融のリスク軽減」レポート

          最近、CDPが活発な動きを見せています。正直、ISSBやEU規制など、非財務情報の開示が義務化されていく中で、自主的な開示と評価を行うCDPの立ち位置は微妙になってきているのかな?と勝手に想像していました。 その危機感があったのかは不明ですが、ここ数か月、CDPは様々な開示ガイダンスの団体とのコラボレーションをアグレッシブに進めてきたように見えます。 そんな中、10月に入ってCDPが発表した「Nurturing Nature:De-risking Nature-based F

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          スリランカのマイクロウォーターシェッド

          前職で、スリランカの紅茶農園内にあるマイクロウォーターシェッドと呼ばれる泉を守る活動を2018年から行ってきました。 スリランカは、「午後の紅茶」の重要な原料生産地です。キリンは、2013年から持続可能な農園認証システムであるレインフォレスト・アライアンス認証を紅茶農園が取得する支援を行っています。スリランカの水源地保全は、この活動の拡大版として取り組んでいるものです。 元々スリランカは降雨量が多い国で、山の上に降った雨が地中に浸透し、高地の茶園の少し平らな場所でマイクロウォ

          スリランカのマイクロウォーターシェッド

          スリランカでテロの恐れ

          CNNで「スリランカでテロの恐れ 観光地からの即刻退避、米とイスラエルが勧告」と言うニュースが飛び込んできて驚いています。 調べてみると、少し背景が見えてきました。 スリランカのDailyMirrorを見ると、イスラエル人がビザを切れても湾岸に居座ってしまい、商売を始めるなどしてコロニーを作っているという問題があったことが分かります。 このため、今回のテロは、これら違法滞在しているイスラエル人がターゲットのようです。 スリランカにもイスラム人は住んでいますが少数派です。

          スリランカでテロの恐れ