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没後四半世紀を迎え、小説家辻邦生を知っている人が少なくなってきました。辻邦生さんの作品…

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没後四半世紀を迎え、小説家辻邦生を知っている人が少なくなってきました。辻邦生さんの作品がこれからもずっと残っていくよう、40年以上辻邦生さんのファンであり続ける僕が辻邦生さんについてご紹介するページです。

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固定された記事

「ただ旅をして歩くだけの仕事があれば」と言ったのは岡本おさみだけれど

初めまして。 実を言えば以下の記事でプロフィールに代えようとおもっていたのだけれど、共同運営マガジンに参加する以上はそれでは足りないだろうと考え、改めて(改まっ…

koichi_takizawa
2か月前
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はまだひろすけと『まほうのチョーク』本好きになったきっかけ、始まりの一冊

なぜ読書好き(読書家、という言い方はちょっと面映い)になったのか、ということについて書いておこうかな、と何となくおもいながら「書く部」のお題を覗いてみると、ある…

koichi_takizawa
7時間前
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『ある生涯の七つの場所2』/夏の海の色 第二回 「海峡」 戦争とは、平和とは?

連作短編『ある生涯の七つの場所2/夏の海の色』第二回になります。第一回及び『ある生涯の七つの場所』については以下をご覧ください。 今回は、「黄いろい場所からの挿…

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【ファンタジー小説】インターネットラジオMoonDream(ムーンドリーム)

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連作短編『ある生涯の七つの場所2/夏の海の色』その第一回です。「黄いろい場所からの挿話Ⅷ・Ⅸ」「赤い場所からの挿話Ⅷ・Ⅸ」の紹介です。『ある生涯の七つの場所』に…

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https://note.com/koichi_takizawa/n/n3255c0936474
『安土往還記』レビュー記事を以下に追加していただいたようで、嬉しい限り。
注目note
https://note.com/fine_nerine758/m/m5dba3010c18e/archive/2024-06

と、こういうつぶやきでもしないと、なかなか週に何度も書けないので😅

koichi_takizawa
12日前
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『安土往還記』イタリア人船員の「私」が語る信長と、辻邦生が安土城に見ようとしたもの

発行年/1968年 『安土往還記』は辻邦生さんの三作目の長編です。 その昔、村上龍氏は二作目にあたる『海の向こうで戦争が始まる』のあとがきで、友人のナントカいう人物(…

koichi_takizawa
13日前
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『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第二回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話4〜7

『ある生涯の七つの場所/霧の聖マリ』その第二回。「黄いろい場所からの挿話」「赤い場所からの挿話」それぞれⅣ〜Ⅶです。『ある生涯の七つの場所』の詳しい説明はこちら…

koichi_takizawa
2週間前
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ワタシの本棚は生きている(『流れる星は生きている/藤原てい』ふうに・・・とは程遠いけれど)【わたしの本棚】

わたしの本棚、と言ってみたけれど、noteで「わたしの本棚」を検索すると、実際に自分の本棚を紹介するんじゃなくて、みなさん、ご自分の読まれた本の感想を書かれてるんで…

koichi_takizawa
2週間前
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『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第一回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話1〜3

辻邦生さんの作品には連作短編というものがあり、中でも一番壮大なのが『ある生涯の七つの場所』だということをこちらでお話しました。 全作を再読したのちにご紹介するの…

koichi_takizawa
3週間前
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変わりゆくものを、僕はずっと見てきた

あっという間に生成AIが社会に浸透し始めた。その名前を耳にしたのはまだつい最近だとおもっていたのに。少なくとも定型ですむような文章は、遠くない未来には人の手から離…

koichi_takizawa
3週間前
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『夏の砦』染織工芸家、支倉冬子の、自身の《生》への回帰による芸術再生の物語

発行年/1966年 辻邦生さんのニ作目の長編『夏の砦』。何度読み返したかわからないこの初期の傑作を、また新たに読み返し、ようやくご紹介するに至りました、パチパチ! …

koichi_takizawa
4週間前
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https://note.com/koichi_takizawa/n/n5b5d00c3884c?magazine_key=ma2c27efd36d8
またこちらが以下のマガジンに追加していただけたようで・・・
・みんなのおすすめの本 記事まとめ https://note.com/notemag_reading/m/ma2c27efd36d8
・【小説】読書感想文
https://note.com/notemagazine/m/m48c9979e96bd

koichi_takizawa
1か月前
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『城』小説家 辻邦生の始まり。運命に左右されるリゾート地の夏。

発表年/1961年 短編『城』は、辻邦生作品の中で初めて商業出版誌に掲載されたものです。辻邦生さんはこの小説で「小説を書くというエクスタシーを全身で味わった」とおっ…

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1か月前
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https://note.com/koichi_takizawa/n/n0f28f3706991
こちらを、次のふたつのマガジンに追加していただいたようで、ありがとうございます。

【小説】感想文
https://note.com/notemagazine/m/m48c9979e96bd
みんなのおすすめの本 記事まとめhttps://note.com/notemag_reading/m/ma2c27efd36d8

koichi_takizawa
1か月前
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『アブサン 聖なる酒の幻』アブサンに魅了された男を巡る、大人の童話あるいはソナチネ

発行年/1996年 アブサンとは、主にヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールのことです。起源はスイスで、『献身』に書かれたアルチュール・ランボーや、 ロートレ…

koichi_takizawa
1か月前
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「ただ旅をして歩くだけの仕事があれば」と言ったのは岡本おさみだけれど

「ただ旅をして歩くだけの仕事があれば」と言ったのは岡本おさみだけれど

初めまして。
実を言えば以下の記事でプロフィールに代えようとおもっていたのだけれど、共同運営マガジンに参加する以上はそれでは足りないだろうと考え、改めて(改まってはいない・・・)自己紹介記事を書くことにしました。
(ちなみに以下の記事、3月の「今このnoterが面白い」に追加していただいたようでありがたい限りです)

1.仕事歴

一応、グラフィックデザイナーという名で仕事をしてきました。地方の小

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はまだひろすけと『まほうのチョーク』本好きになったきっかけ、始まりの一冊

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なぜ読書好き(読書家、という言い方はちょっと面映い)になったのか、ということについて書いておこうかな、と何となくおもいながら「書く部」のお題を覗いてみると、あるんですねー、そういうのが。ただちょっと考えたのは、読書家と蔵書家とは違うよな、という点。さて自分はどっちかな、と改めて(何かと「改める」のが好きで・・・な、わけじゃないけど)、考えてみると、読むのが好きなのはもちろんだけれど、どうやら本その

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『ある生涯の七つの場所2』/夏の海の色 第二回 「海峡」  戦争とは、平和とは?

『ある生涯の七つの場所2』/夏の海の色 第二回 「海峡」 戦争とは、平和とは?

連作短編『ある生涯の七つの場所2/夏の海の色』第二回になります。第一回及び『ある生涯の七つの場所』については以下をご覧ください。

今回は、「黄いろい場所からの挿話」「赤い場所からの挿話」それぞれ三つずつの短編の中でも、特に「黄いろい場所からの挿話Ⅻ.海峡」について書きたいとおもいました。
今このときも、世界のあちらこちらで戦争が続いています。「海峡」は例によって直接戦争を扱った作品ではないけれど

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【ファンタジー小説】インターネットラジオMoonDream(ムーンドリーム)

【ファンタジー小説】インターネットラジオMoonDream(ムーンドリーム)

今夜のゲスト 黒猫ジータ
みなさんこんばんは、はじめまして。パーソナリティーの柚木麻尋(ゆずきまひろ)です。
今日から始まりましたインターネットラジオMoonDream。この番組は、私たちパーソナリティーひとりひとりが放送したい企画を持ち寄って、自分たちで作り上げるラジオです。それぞれが街を歩き回って発見したり、あるときハッとおもいついたり、ときには自分で一生懸命考えたことの中から、これだけはどー

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『ある生涯の七つの場所2』100の短編が織り成す人生絵巻/夏の海の色 第一回

『ある生涯の七つの場所2』100の短編が織り成す人生絵巻/夏の海の色 第一回

連作短編『ある生涯の七つの場所2/夏の海の色』その第一回です。「黄いろい場所からの挿話Ⅷ・Ⅸ」「赤い場所からの挿話Ⅷ・Ⅸ」の紹介です。『ある生涯の七つの場所』についてはこちらをご覧ください。

1.「黄いろい場所からの挿話」「赤い場所からの挿話」についてここで一度、ここまでの、それぞれの物語の全体像についてお伝えしたいとおもいます。先に取り上げた『霧の聖マリ』が、二つの色の前半になります。『夏の海

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https://note.com/koichi_takizawa/n/n3255c0936474
『安土往還記』レビュー記事を以下に追加していただいたようで、嬉しい限り。
注目note
https://note.com/fine_nerine758/m/m5dba3010c18e/archive/2024-06

と、こういうつぶやきでもしないと、なかなか週に何度も書けないので😅

『安土往還記』イタリア人船員の「私」が語る信長と、辻邦生が安土城に見ようとしたもの

『安土往還記』イタリア人船員の「私」が語る信長と、辻邦生が安土城に見ようとしたもの

発行年/1968年
『安土往還記』は辻邦生さんの三作目の長編です。
その昔、村上龍氏は二作目にあたる『海の向こうで戦争が始まる』のあとがきで、友人のナントカいう人物(名前は忘れました)に、二作目に当たる作品を書いたよ、といったら、処女作は云々で(そこも忘れました)、二作目はその勢いで書ける、作家としての技量が本当に見定められるのは三作目だ、といったようなことを言われてくさった、というようなことを書

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『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第二回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話4〜7

『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第二回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話4〜7

『ある生涯の七つの場所/霧の聖マリ』その第二回。「黄いろい場所からの挿話」「赤い場所からの挿話」それぞれⅣ〜Ⅶです。『ある生涯の七つの場所』の詳しい説明はこちらをご覧ください。

1.「黄いろい場所からの挿話Ⅳ〜Ⅶ」Ⅰ〜Ⅲのうち恋人のエマニュエルが登場するのはⅢのみですが、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶは常にエマニュエルと一緒にいます。Ⅳはまだ「私」がエマニュエルと知り合う前の話です。

Ⅳ.「ロザリーという女」

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ワタシの本棚は生きている(『流れる星は生きている/藤原てい』ふうに・・・とは程遠いけれど)【わたしの本棚】

ワタシの本棚は生きている(『流れる星は生きている/藤原てい』ふうに・・・とは程遠いけれど)【わたしの本棚】

わたしの本棚、と言ってみたけれど、noteで「わたしの本棚」を検索すると、実際に自分の本棚を紹介するんじゃなくて、みなさん、ご自分の読まれた本の感想を書かれてるんですね(汗)
「本棚を見られるのは自分の頭の中を見られるようで、裸を見られるよりも恥ずかしい」とのたまった方もいらっしゃったような・・・でもいいんです! 僕の本棚をお見せしちゃいます! え? 興味ない? ・・・いいですけど、別に・・・(拗

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『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第一回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話1〜3

『ある生涯の七つの場所』100の短編が織り成す人生絵巻/霧の聖マリ第一回 黄いろい場所、赤い場所からの挿話1〜3

辻邦生さんの作品には連作短編というものがあり、中でも一番壮大なのが『ある生涯の七つの場所』だということをこちらでお話しました。

全作を再読したのちにご紹介するのが本当は一番なのだけれど、それだと読了に『春の戴冠』よりも長くかかってしまうので、少しずつご紹介していきたいとおもいます。
その前にまず概要をお話いたします。

1.『ある生涯の七つの場所』その全体像についてこの作品についてご理解いただく

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変わりゆくものを、僕はずっと見てきた

変わりゆくものを、僕はずっと見てきた

あっという間に生成AIが社会に浸透し始めた。その名前を耳にしたのはまだつい最近だとおもっていたのに。少なくとも定型ですむような文章は、遠くない未来には人の手から離れていることだろう。

思い返せばあのときもそうだった。

まだどこのデザイン会社もコンピュータを導入していなかった頃のこと。
僕が勤めていた会社(地方の一広告代理店)のクライアントは主に流通関係で、中でも新聞折込チラシの制作がメインの仕

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『夏の砦』染織工芸家、支倉冬子の、自身の《生》への回帰による芸術再生の物語

『夏の砦』染織工芸家、支倉冬子の、自身の《生》への回帰による芸術再生の物語

発行年/1966年
辻邦生さんのニ作目の長編『夏の砦』。何度読み返したかわからないこの初期の傑作を、また新たに読み返し、ようやくご紹介するに至りました、パチパチ!

改めて読んでみると細かい部分では忘れていた点も少なくなくまた、発見もあり、 支倉冬子(はせくらふゆこ)という女性に再び出会うことが叶ったような気がして、感動を抑えることができません。それほどこの作品は僕にとって忘れ得ない小説であり、人

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『城』小説家 辻邦生の始まり。運命に左右されるリゾート地の夏。

『城』小説家 辻邦生の始まり。運命に左右されるリゾート地の夏。

発表年/1961年
短編『城』は、辻邦生作品の中で初めて商業出版誌に掲載されたものです。辻邦生さんはこの小説で「小説を書くというエクスタシーを全身で味わった」とおっしゃっています。そのことは、このあとに書いた『ある晩年』についてのあとがきでも語っておられます。

さらに雑誌『近代文学』を創刊された埴谷雄高氏から、いいものが書けたら「近代文学」に載せてあげる、と言われたことで、辻邦生さんは最初から、

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『アブサン 聖なる酒の幻』アブサンに魅了された男を巡る、大人の童話あるいはソナチネ

『アブサン 聖なる酒の幻』アブサンに魅了された男を巡る、大人の童話あるいはソナチネ

発行年/1996年

アブサンとは、主にヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールのことです。起源はスイスで、『献身』に書かれたアルチュール・ランボーや、

ロートレック、ゴッホといった芸術家に愛され、ときには彼らを破滅にまで追い込んだ酒として有名です。上記はランボーの詩の一節で、これがアブサンを表しているわけではありませんが、口にするとこんな感じだったのではないでしょうか? アルコール度数は7

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