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なぜ哲学と自己啓発は別々に語られるのか〜哲学的自己啓発のすゝめ〜

なぜ哲学と自己啓発は別々に語られるのか〜哲学的自己啓発のすゝめ〜

※この文章は約2100文字で、6〜7分程度で読めます。

哲学vs.自己啓発

なぜ「哲学」と「自己啓発」は、これほどまでに別々のものとして扱われるのでしょうか?そこには、互いに対するある種の「軽視」の構造が存在するように思われます。

自己啓発の世界では、しばしば「具体的で即効性のあるスキル」が重視されます。目標設定、時間管理、コミュニケーションスキルなど、すぐに実践できて効果が目に見えるものが

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「エンテレケイア」可能性を現実に変える力

「エンテレケイア」可能性を現実に変える力

エンテレケイアとは?目的と成長の原理

エンテレケイアは、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが考えた「内なる力」です。私たちは誰しも、何かしらの「可能性」を秘めていますよね。でも、それが実際に形になるのはどうしてでしょう?例えば、花の種が花に、子供が大人に成長するように、どんな存在も「完成形」へと進むための力を持っている。これがエンテレケイアの根本的な意味なんです。

エンテレケイアの成り立ち

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AIで哲学するのが簡単かつ効果的な理由

AIで哲学するのが簡単かつ効果的な理由

哲学の本質は「答え」ではなく「問い」にある哲学の営みの中心は、何かを「答えること」ではなく「問い続けること」にあります。私たちは「正解」を見つけることよりも、むしろ「なぜ」「どうして」を突き詰め、絶え間なく疑問を投げかけることで思考を深めるのです。この観点で見ると、AIとの対話には意外にも哲学的な可能性が秘められています。

問う形に特化したチャット型AIとの相性の良さチャット型AIを使う際、私た

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なぜ哲学用語は堅苦しいものが採用されるのか

なぜ哲学用語は堅苦しいものが採用されるのか

※この文章は約1100文字なので、約3分で読めます。

哲学用語の「堅さ」と情報圧縮の意義

哲学用語はしばしば「難解」や「堅苦しい」と感じられますが、これは単に理解しづらいだけではなく、情報処理的な観点から「情報の圧縮」を実現するための工夫でもあります。哲学的な概念は抽象度が高く、多層的で複雑なものです。そのため、こうした情報を一つの言葉や短いフレーズに圧縮して扱えるようにすることで、思考や議論

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「大きな物語の終焉」と現代の生き方のヒント

「大きな物語の終焉」と現代の生き方のヒント

「大きな物語」とは何か?まず「大きな物語」とは、社会全体が共通して信じる目標や価値観のことです。例えば、戦後日本の「高度経済成長」や「平和な社会の実現」といった理想が挙げられます。こうした大きな物語は、私たちに進むべき方向や生き方の指針を示していました。

しかし、フランスの哲学者ジャン=フランソワ・リオタールは、こうした大きな物語がもはや機能しないと指摘しました。ポストモダンの時代には、人々が「

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哲学で重要なのは哲学者を覚えることではない

哲学で重要なのは哲学者を覚えることではない

1. 哲学者の名前を覚えることの限界哲学を学ぶとき、最初に出てくるのが有名な哲学者たちの名前です。ソクラテス、デカルト、カント、ニーチェ……彼らの主張や著作の内容を暗記することが、哲学を理解する第一歩のように感じられるかもしれません。

しかし、名前を覚えること自体は哲学を理解するための本質的な部分ではありません。知識の詰め込みに終わってしまうと、考えることの楽しさを見失いがちです。哲学者の名前を

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AI時代に求められる「自分の幸福追求力」

AI時代に求められる「自分の幸福追求力」

AI時代において、最も重要となるのは「自分の幸福追求力」です。この概念は、単なる表面的な幸せや一時的な快楽を追求することではありません。それは、自分自身の内面を深く見つめ、本当の意味での幸福とは何かを探求し続ける能力を指します。

内発的な喜びの発見

「自分の幸福追求力」の核心は、外部からの評価や社会的な成功の基準に縛られることなく、自分自身の内側から湧き上がる喜びや充実感を見出す力です。これは

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哲学対話をAIで

哲学対話をAIで


1. 序章: 哲学と対話の重要性哲学はその本質において、思索と対話を通じて成り立っている学問です。古代ギリシアのソクラテスは、アテネの市場や街角で市民と議論を交わしながら、問答法(エレンコス)という対話形式を駆使して、哲学の核心に迫りました。このソクラテスのアプローチは「対話を通じて真理を探求する」という哲学の基本的な性質を象徴しています。彼の哲学は、単に知識を伝えることではなく、対話を通じて自

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「おもしろい」とは何か?〜予想が生む感情の正体〜

「おもしろい」とは何か?〜予想が生む感情の正体〜


1. 序論:おもしろさとは何か?「おもしろい」と感じる瞬間は、私たちの日常生活の中でごく自然に訪れます。笑ったり、驚いたり、感動したりといった瞬間に「おもしろさ」を感じることは多いですが、その本質について深く考えることは少ないかもしれません。お笑い番組や映画、漫画、小説、友人との会話、さらには仕事の中でも、私たちはしばしば「おもしろい」と感じる出来事に触れています。しかし、「おもしろい」とは一体

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「モチベーションはスタートではなくゴール」

「モチベーションはスタートではなくゴール」


モチベーションと成功の逆転構造

私たちはしばしば、モチベーションが高まった結果、行動が伴い、行動によって成功が手に入るという直線的な考え方をしています。しかし、この見方では、本当に求めているものにたどり着けない可能性があります。実は、モチベーションそのものが成功であり、ゴールであるという逆の構造を理解することが重要です。

この考え方を具体的に見ていくと、モチベーションを持って行動し、その行動

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「好きなことで生きていく」のメタ構造に気づく

「好きなことで生きていく」のメタ構造に気づく

一般的な議論と反論

一般的な議論では、しばしば「好きなことで生きていく」という考えに対する反論として、「現実的には生計を立てるための仕事をしなければならない」「好きなことだけでは生きていけない」といったものがあります。確かに、生活を成り立たせるためには安定した収入が必要であり、それが「好きなこと」だけで実現できる人は限られています。このため、実際には妥協を強いられ、好きなことは趣味として楽しみつ

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解答よりも回答を

解答よりも回答を

1.正しさを求めるが故の停滞現代社会では、さまざまな場面で「正しい答え」を求める圧力が強まっています。教育においては正答を出すことが求められ、仕事の場でも完璧な計画や結果が重視されがちです。しかし、その「正しさ」を意識しすぎるあまり、かえって行動に踏み出せなくなってしまうことも少なくありません。「正しい答えでなければ、答える意味がない」と考えることが、いつしか動きを止めてしまう原因になっているので

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「最高次元の“肯定力”」

「最高次元の“肯定力”」

自己否定も含めた肯定とは自己肯定の大切さが叫ばれる一方で、「自己否定は良くない」「ネガティブになるな」といった価値観が広がっています。しかし、実はこの「自己否定はよくない」という考えそのものが、自己否定を排除しようとする抑圧的な姿勢に繋がっていることに気づいたことはありますか?

本当に大切なのは、ポジティブやネガティブを切り離して片方を否定することではなく、その両方を包み込む力です。自己否定が浮

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雨を降らせているのは何?

雨を降らせているのは何?

これは僕が尊敬する師が
教えてくれたエピソードです。

その方はカトリックの神父さん。
なので、
以降「神父さん」と呼びます。





ある寒い冬の日、神父さんが
幼稚園に訪問し、
子どもたちに講話をされたそうです。

講話というよりも
子どもとのふれあいの中で、
質問(や野次)に答えながら
楽しくいろんな話をされていたようでした。

あれこれ話をする中で、
年長さんでしょうか。
ある子ど

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