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路地裏で揺らぐ -内在性解離の当事者研究-

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精神的虐待サバイバーであり、内在性解離を持って生きる僕たちを記録するエッセイを集めたマガジン。10人のパーツたちがそのときどきで思ったこと、考えたことをまとめている。
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#エッセイ

【虐待の後遺症と向き合う】サバイバーの陥るジレンマ

【虐待の後遺症と向き合う】サバイバーの陥るジレンマ

回復の途上。どこかで必ずといって良いほど陥るのではないかと思うジレンマに、よくぶつかる。

果てしない「if」を夢想してしまうこと。

もしも、自分が虐待を受けずに育っていたら?

もしも、あの時あんなことが起こらなかったら?

もしも、違う親に育てられていたら?

もしも、被害が続かなかったら?

もしも、もっと早くに対応できていたら?

もしも、もっと早くに知識を得られていたら……

可能性が

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パニック障害をきっかけに今までのやり方を見直す

パニック障害をきっかけに今までのやり方を見直す

体調の悪さがしばらく続いていた。

何やら動悸がする。いつも以上に息苦しい。足元がふらつく。頭が痛い。食欲が消え失せている。

とてもつらい。貧血かもしれない。

地域の病院に行くと、意外な診断名を告げられた。

「パニック障害ですね」

そこは内科と心療内科・精神科が併設された病院。「内科的な体調不良だと思ったら精神病だった」という例は多いらしく、僕もその一員だったと説明された。なるほど、道理は

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止まった時計【エッセイ】

止まった時計【エッセイ】

「解離」が現実から、今・ここから意識が離れることだと表現するなら、フラッシュバックはタイムスリップとほぼ同義だろう。
僕たちは何度も「無数のあの日、あの時」を追体験する。鮮明に。詳細に。
タイムマシンが発明される前に、人類は思考の中でのタイムトラベルを可能にするのかもしれない。

閑話休題。

最近、怒りという感情の扱いに困る時期を過ごした。

ままならないことが起きると瞬間的に苛立ちが湧く。

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解離の自覚の中に埋もれたスキル

解離の自覚の中に埋もれたスキル

直也です。

僕たちは解離している。
11~13人のパーツたちで協力しながらここまで生き延びてきた。

それを自覚できたことを僕たちはポジティブに捉えている。
自分たちの行動原理に理由を見出せることは安心材料だし、「では、この先どうしていけば僕たち全員が生きやすくなるか」を考えることにも進めるから。

パーツたちの利害が知らぬ間に対立してしまい自己矛盾に苦しむことや、亜麻の持ち物を「監理者」が勝手

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和解を「あきらめ」て先へ進むことにした。

和解を「あきらめ」て先へ進むことにした。

「いつか分かり合える」という幻想心象風景は特別な意味を持っていると思う。

子どもの頃から今に至るまで、長い時間もち続けてきたイメージ。概念。
それは精神構造の一部に組み込まれていて、無意識のうちに考え方のクセや願いの土台になっているものではないだろうか。

僕は「和解」の心象風景を持っている。

さまざまな誤解や苦難やトラブルを乗り越えて、家族や友達は物語の最後に和解することができるのだ。

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Jessieの文章は果たして読みづらいのだろうか?について

Jessieの文章は果たして読みづらいのだろうか?について

どうも。直也です。

Jessie -ジェシー- が楽しく下書きをしている横で、僕と「監理者」が口を挟んでしまった場面があり、彼女に申し訳ないと思った。

「読みづらい書き方だ」と思ったのだ。

けれど冷静になって考えてみると……本当にそうなのだろうか。

自分の文章を自分で評価するとは、非常に難しいことだと思う。

基準と理想が入り乱れ、厳しすぎたり、甘すぎたりする事態が発生しやすいのではないか

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過去が近くなる日

過去が近くなる日

どうも。「無気力」です。

「過去が近くなる日」疲労や体調などの事情によって、解離がひどくなる時がある。

そういう時は「パニック少年」が表に出てきて帰り方(他のパーツとの代わり方)が分からなくなったり、ひどいフラッシュバックが起こったりして、気持ちが落ち込んでしまいやすくなるのだ。

精神衛生によくないし、好きこのんでその状態にとどまっているわけではない。

抜け出し方が分からなくなるのだ。

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「自分を大切にする」のは、髪をていねいにとかすところから。

「自分を大切にする」のは、髪をていねいにとかすところから。

ども。翔です。

ちょっと前に、お風呂に入るの、実は割と好きだったわっていう話を書きました。

https://note.com/noel_story/n/n960d41c39020

おかげさまで、今でもそこそこの入浴頻度を維持してます。自分にとってはめちゃくちゃすごいこと!

……けど、もうひとつ問題があったんです。

髪をとかす時、頭いたい。

俺だって皮膚はそこそこ敏感だし、「パニック少年

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「やるべきこと」と「やりたいこと」のバランス

「やるべきこと」と「やりたいこと」のバランス

こんにちは。「パニック少年」です。
「無気力」にてつだってもらいながら書きます。

「やりたいこと」の前に「やるべきこと」を挟むくせがあります。

「本を読みたい、でも、その前にお皿洗わなきゃ」みたいな感じで。

これは良い習慣なんだろうか。もしかしたら、そうかもしれない。

バランスさえ見失わなければ。

ぼくは容易にバランスを見失う。

ぼくが「やるべきこと」を優先させるのは、自分のためじゃな

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【近況こばなし】「繊細」が朝ごはんを作ってくれた

【近況こばなし】「繊細」が朝ごはんを作ってくれた

どうも、「無気力」です。

僕は朝ごはんに対するモチベーションが低い。

一般的な日本人の流れ。朝ごはんを食べたら学校や仕事に行く準備を始めなければならない。

その「1日が始まる感じ」がなんとも苦手なのだ。

10時間以上の長い長い1日を、これから乗り切らなければならないということが。

朝ごはんに対してそういう印象を持っている僕は、だから平気で朝ごはんを抜いたりする。そもそも料理もあまりしない

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「スキ」を伝えやすくなった僕たちの話

「スキ」を伝えやすくなった僕たちの話

主が僕たちパーツの存在に気づいてから、ポジティブに変わったことはいろいろある。

軽く例示しておくなら、
・趣味の方向性がバラけていても自己嫌悪しなくなったこと
・自力で抑うつと虚脱状態から回復するスキルが身につきつつあること
・暮らしの中で得意を分け合えるようになったこと
などだろうか。

他にもいろいろあって、今日はポジティブな変化の中の「人と気楽に連絡が取れるようになったこと」について話して

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決意を秘めて皿を買う

決意を秘めて皿を買う

2日前、お皿を買った。雑貨屋さんでかわいいと思ったものを2枚。

シンプルで何を載せてもサマになるのがうれしくて、カボチャのタルトやハンバーグを作っては載せて悦に入っている。

自分の気に行ったお皿を使うのは気分がいい。一方お皿には、ひとつデメリットというか、避けては通れない問題がある。

すごく長持ちすることだ。

軽い気持ちで買ったものが平気で10年、20年ともつ。そうそう割れるものでもないか

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生まれて初めて「酔う」を経験した時の話

生まれて初めて「酔う」を経験した時の話

こんにちは。Jessie -ジェシー- です。

今日は気楽な話を1杯……じゃなくて、1本。

私とお酒の話スコットランドはウイスキーが有名と知り、友人たちとのオンライン飲み会の折に買ってみました。

「WHITE HORSE」ってやつ。有名どころなんですかね?

私、お酒にまったく詳しくなくて。
それというのも、お酒、苦手なんですよ。

炭酸が飲めないからビールは無理だし、何を飲んでも後にアルコ

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削りながら書くことに疲れた

削りながら書くことに疲れた

どうも。「無気力」です。

※この記事は、遠回しなトラウマ体験への言及に注意しながら読んでほしい。

燃え尽きた後でまだ完全回復していないからなのか、

それとも、もともと向き合う心の準備が整っていないからなのか。

最近、子育て系の記事を書くのに疲れてしまった。

僕は「パニック少年」と同じような経験をする子どもがひとりでも減れば幸いだと思って、子育て系の本を読み、経験を踏まえた子育て系の記事を

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