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【napo_fitness】栄養学入門⑥~脂質実践編~身体に良い脂質/悪い脂質

前回は脂質の話をしましたが、概念的なところや理論的なところはめちゃくちゃとっつきづらかったと思います。

今回はちょっと実践寄りというか、
脂質の種類と、その脂質が良いのか?悪いのか?というところをお話しようと思います。

●脂肪の種類

まずは脂肪の種類について理解しておきましょう。
食品に用いられる脂肪を分類すると以下のようになります。

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積極的に摂取したい脂肪
・中鎖脂肪酸
・オメガ3
・オメガ9
できるだけ摂取を避けたい脂肪
・長鎖脂肪酸
・オメガ6

以下、それぞれの種類と特徴について解説していきます。

●飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

脂肪は脂肪酸3分子とグリセロール1分子でできているという話をしました。
その脂肪酸3分子が全て飽和していれば飽和脂肪酸、一つでも飽和していないものがあれば不飽和脂肪酸となります。

脂肪酸は炭素と水素と酸素が結合してできていますが、下図のように炭素に余りがあれば不飽和脂肪酸です。

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出典:脂肪酸とケトン体 ~糖質制限ダイエットの科学: 山本義徳 業績集 4
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実際にどう違うかというと、
 飽和脂肪酸…溶ける温度が高く、常温では固体
 不飽和脂肪酸…低い温度でも溶け、常温では液体

牛肉とか豚肉とかを調理したあと、白く固まった脂が鍋やフライパンについていることありますよね。
あれが飽和脂肪酸です。

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不飽和脂肪酸については、不飽和結合の部分が曲がりやすいため、形状がぐにゃぐにゃになり、液体になりやすいという特徴があります。

●唯一摂取してもいい飽和脂肪酸

基本的に飽和脂肪酸は消化が遅く、特に長鎖脂肪酸は分子構造が大きいため、中性脂肪に変わりやすいです。
普段の食生活でも容易に摂取できてしまうので、なるべく摂取を避けたほうがいいでしょう。

しかし中鎖脂肪酸だけは話が別です。
炭素の結合数が長鎖脂肪酸の半分ほどで、分子構造が小さくなっているため、小腸から直接肝臓に運ばれてエネルギーとして利用されやすいです。

その特性から、中鎖脂肪酸であるMCTオイルはケトジェニックダイエットの必須食材となります。

●トランス脂肪酸とは

不飽和脂肪酸はシス型トランス型に分けられ、トランス型の構造をもつ脂肪酸を「トランス脂肪酸」といいます。なんか聞いたことありますよね。

トランス脂肪酸というと悪いイメージがありますが、簡単に言うと自然界に存在するほとんどの脂肪酸はシス型で、トランス型は人工的に作られたものになります。
近年話題となっているトランス脂肪酸は、牛肉や乳製品等の天然の食品中にも微量含まれていますが、マーガリン、ファットスプレッド等、またそれらを原材料として使用したパン、ケーキ、ドーナツ等に多く含まれています。

トランス脂肪酸の摂取量が多いと、血液中のLDL(悪玉)コレステロールの増加と共に、HDL(善玉)コレステロールが減ることが報告されている他、心臓病のリスクを高めることも報告されているため、アメリカではトランス脂肪酸の食品添加が法律で禁止されています。

「いやーマーガリンとか食べないし…」
とか思っていても、トランス脂肪酸は安いアイスに入ってたりするんですよ。
しかもあの憎き果糖ぶどう糖液糖と一緒に。
アイスを選ぶときは、「ラクトアイス」は避けるようにしましょう。

とはいえトランス酸全てが悪いという訳ではなく、牛乳に含まれるトランス脂肪酸はバクセン酸を多く含むため、コレストロール値を改善したり中性脂肪を低下させる作用があります。
よく減量サプリとして使われるCLAも、実はトランス脂肪酸なのです。

●一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸

次に不飽和脂肪酸の細かい分類を見てみましょう。

脂肪酸の分子構造において、
・炭素の二重結合が1つの場合は一価不飽和脂肪酸
・2つ以上ある場合は多価不飽和脂肪酸
といいます。

・体内で合成できるのが一価不飽和脂肪
・体内で合成できない(食品から摂取する必要がある)のが多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)
ともいえます。

不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げる作用があるなど、めちゃめちゃ平たく言うと身体に良い脂肪です。
特に必須脂肪酸は、体内において「エイコサノイド」というホルモン様物質を作ります。

エイコサノイドは、血圧の調整、睡眠の誘発、子宮や気管支などの平滑筋の収縮、血小板の凝集、動脈壁や気管支の収縮、弛緩、血液の粘度など、身体のさまざまな機能を調節しています。

●オメガ3、オメガ6、オメガ9

一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸は、更に3種類に分類することができます。

・オメガ9
自炊するならぜひ使いたい油
です。
オリーブオイルやアボカドオイル等に含まれるオメガ9は、酸化しにくいという特徴があります。酸化しにくいということは、加熱調理に適しているということです。
またHDL(善玉)コレステロールを下げずに、LDL(悪玉)コレステロールだけを除く働きがあり、動脈硬化や高血圧の予防に効果があるといわれています。腸の働きを活性化し、便秘予防にも効果があります。

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・オメガ6
意識して避けたほうがいい油です。
オメガ6は、ごま油やひまわり油など身近な調理油に多く含まれています。
つまり、必須脂肪酸でありながら普段の食生活(特に外食)で十分摂取できてしまうという問題があります。
オメガ6は、後述するオメガ3との相対的な割合が肝になってくるため、できれば家庭では使わず、できるだけオリーブオイルを使うようにしましょう。

・オメガ3
意識して摂取したい油です。
オメガ3は主に魚や魚介類に多く含まれます。
魚を食べると頭がよくなるとかいうアレです。

オメガ3とオメガ6の摂取割合は1:2~1:4程度が望ましいとされていますが、欧米型の食生活だと1:10~1:40になってもおかしくないと言われています。
積極的に魚を食べるか、サプリメントで補うことが重要です。
詳しくは別記事に書きますが、オメガ3は熱によって酸化しやすいため、魚を食べるとしたら刺身か缶詰の形で摂取するのが望ましいです。

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●良い油/悪い油まとめ

良い油
・MTCオイル
・ココナッツオイル
・魚介類
・オリーブオイル
・アボカドオイル
・エゴマ油
・亜麻仁油
・卵
・牛乳
悪い油
・マーガリン
・ファットスプレッド
・牛脂
・ラード
・キャノーラ油
・サラダ油
・コーン油
・サンフラワーオイル
・ごま油

●終わりに

普段何気なく使っている調理油にも、身体に良いものと悪いものがあるとは考えたこともなかった人が多かったのではないでしょうか。
これを機に、皆さんのキッチンにある調理油を見直してみてください。

さて、これで三大栄養素のだいたいの解説が終わりました。
これらを全部覚えろとは言いませんが、これを日々の食生活に活かすことができて初めて知識になると思っています!
ぜひ、スーパーや外食で食品を目にしたときにちょっとでもこの記事を思い出すようにしてみてください。

これからももっとマニアックな栄養情報を発信していこうと思うので引き続きよろしくお願いします!


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