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エッセイ他

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長めの詩と、物語と、ポエムの延長線上にあるエッセイと。
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2023年1月の記事一覧

一周年

一周年

 そうこうしているうちに夫のいる家を出てから一年が経ってしまった。

 疲れ果ててよぼよぼの状態で実家に辿り着いたのは去年の一月。

 しばらく仕事を休み、本当に夫に寄り添わなければいけないんだろうかと考えた。

 やり直す気があるならカウンセリングに通うなどして、苛立ちを物にぶつけてしまうことの再発防止をしてほしいと伝えたのが四月。答えは今もまだ返ってきていない。

 毎日のようにポエムを書きま

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小手先じゃない文章術(『「言葉にできる」は武器になる。』感想)

小手先じゃない文章術(『「言葉にできる」は武器になる。』感想)

 この一文を読んで、ほんまそれな、と思った。

 何を隠そう、私は英語関連の仕事をしているくせにまともに英語を話せない。

 なぜか? 母語である日本語でも上手くおしゃべりできないからだ。いくら英語の文法がしっかり頭に入っていて難しい単語を知っていようが、頭が真っ白で何を話せばいいかわからなければ何の役にも立たない。

 日本語でも同じことだ。テクニックを学んだところで、内容が伴っていなければ薄っ

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フェミニズム叩きについて夫の言動から感じたこと

フェミニズム叩きについて夫の言動から感じたこと

 Twitterなどで広く拡散されたフェミニズム的な投稿には、大抵アンチコメントが付いている。それはネット上だけのことではなくて、別居中の夫も割とそういうタイプだった。

 女性が抑圧されているというような話になった時、夫の言い分は「でも女だって酷いことしてるじゃん」というものだった。具体例として挙げるのは、高校の時に女子が男子に掃除を押し付けてサボっていたということだった。

 もちろん女性が男

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親からの流れ弾に当たるという愚痴

親からの流れ弾に当たるという愚痴

 母は氷川きよしが嫌いだ。

 昔は別に嫌ってはいなかったと思うが、このところ女性的な見た目や振る舞いをするようになっているのが気に食わないらしい。

 おかしいとかキモいとか、直球な言葉で嫌悪感をあらわにする。しかも、テレビに氷川(kiina)さんが出てきたわけでも、トランスジェンダーの話をしていたわけでもない時に、何の脈絡もなくわざわざ話題に出してまで。初めは「どういうことだろうね?」「ファン

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震災28年に寄せて

震災28年に寄せて

 突然の轟音に目を開けると真っ暗な闇だった。布団の中にいた私の上に母が覆いかぶさってきた。かすかにガスの匂いがした。

 父の運転する車。乗り込んできた祖父の額から血が流れていた。

 幸運にも身近な人は皆無事だった。祖父母の家にいた茶トラ猫のミーちゃんはどこかへ行ってしまってそれきり戻らなかった。

 祖父母と両親と私、それに犬猫数匹で伯父伯母の家に身を寄せた。5つ上の従兄に遊んでもらってそれな

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理解されづらい人のためのライフハック?

理解されづらい人のためのライフハック?

伝えたいことが伝わらなかった時
「この話はあなたには早かったみたい」と思えば
自分を卑下しないで済みます。

誰にもわかってもらえないと感じた時
「この思想は人類には早かったみたい」と思えば
自分の正気を信じられます。

普通の人のふりをする時
「これはスパイの潜入任務、世界平和のため」と思えば
なんだかちょっと楽しくなります。

傷付けてくる相手には
優しくしなくて大丈夫です。
そっと離れればい

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故郷は森

故郷は森

森にいる時が一番わくわくする。

 何故かはわからない。ただ、木々の隙間から渓流の源を覗き見る時、暗がりに伸びる苔に覆われた倒木に気付いた時、老いた木の陰に見えない何かの気配を感じた時、胸の真ん中が力強く走り出そうとするような、わくわくとしか言いようのない身体反応が起こるのだ。

 何だか知らないけれどとにかく森は故郷なのだ。

 いつか何もかも捨てて森に還りたい。人間を捨てて野生に戻りたい。

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