先週末、途中まで観た、小津安二郎『東京物語』を最後まで観る。 東京にやって来た父母に心を込めて接するのは、実の子ではなく、血縁関係のない、亡き次男の妻紀子だったという話だ。母亡き後の、父周吉と、紀子の会話に、不覚にも涙してしまう。 一度観た作品と再会する楽しさよ。
ジャスミン眞理子さんがご紹介くださった、小津安二郎『お早よう』。 兄弟がテレビを買ってくれない父に抗議して口を聞かないところは、『生れてはみたけれど』のハンストの焼き直しで、映画の一部をサイレントに戻すという遊び心。 父のテレビ購入でめでたしとなる所は、テレビ時代の到来がわかる。
海外旅行を取りやめてできた時間で、小津安二郎のサイレント映画『出来ごころ』を観る。 東京下町の長屋に住む、工場勤めの寡夫が主人公。彼の出来ごころで、物語は展開していく。一見、下町の「人情」を描いているように見えるが、その内実を探ると…。 大日方傳が、役柄・外見ともに格好良い。
小津安二郎が監督を志すきっかけとなった映画『シヴィリゼーション』。 第一次世界大戦を背景に、アメリカの国教ともいうべきキリスト教を持ち出し、非戦を訴える。イエス・キリストが登場する初の映画という。 この映画を観ることで、小津とキリスト教のつながりもクリアになった気がする。