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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先…

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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先人たちにも導かれた本、マンガ、映画、演芸や様々な舞台を、自分なりに吸収してきました。現在進行形の事柄も含め、アウトプットしています。読んでくださる方の日々が、少しでも潤えば幸いです

最近の記事

大阪人が初めて新世界で呑む〜昭和を残す街にはインバウンド観光客が

大阪に新世界というエリアがあります。通天閣のたもとと言えば分かりやすいでしょうか。大阪出張時に、中高の同級生が集まってくれて、新世界で呑みました。 新世界に拠点を置き、今回の幹事役を務めてくれた友人によると、このエリアは明治時代“万博“(内国勧業博覧会)が開催され、“大林タワー“が建設されました。その跡地の東側が動物園を含む天王寺公園、西側が新世界となり、そのシンボルとして通天閣が建設され、ルナパークという遊園地もできました。 太平洋戦争が始まり、鉄の供出などのために初代

    • Netflix「地面師たち」〜ハリソン山中の造形と綾野剛の色気

      2017年積水ハウスが、地面師詐欺に遭い、50億円以上を騙し取られた。不動産取引とは恐いものだと思いながら、詳しい中身は見ていなかった。 その事件にインスパイアされた小説が、新庄耕の「地面師たち」(集英社文庫)。本作を原作に制作されたドラマが、Netflixの「地面師たち」。 全7話、楽しませてもらった。 配役が良い。地面師グループの元締め、ハリソン山中を豊川悦司が演じる。この造形は私の好みである。現実の事件をベースにしながらも、フィクションならではのケレン味を放ってい

      • NFL知ったかぶり(2024第2週)〜一から出直しか

        Week1で知ったかぶりを書いたので、しばらく展開をながめていようと思っていたのだが、Week2はとんでもないことになった。これまでの私の予想、知ったかぶりは全部リセットしようかとも思った。 TNFは、ビルズが31−10でドルフィンズに勝利。QBタゴヴァイロアが脳震盪で退場(3度目。数試合は欠場)した後は、ドルフィンズは試合を捨てた感じ。ビルズは地力の差を見せつけ、ここまでは予想された展開だった。 ところが日曜日、日本では休日月曜日の朝、セインツが44ー19という大差でカ

        • 時代の空気がそこに〜ポール・マッカートニー写真展

          六本木ヒルズ森タワーの52階、東京スカイビューで「ポール・マッカートニー写真展1963−64〜Eyes of the Storm」が9月25日まで開催されている。近くで所用があったので、本展を観に行った。 ロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャラリーの改装オープンを記念しての展覧会が、日本に巡回してきたもの。 ビートルズが “ラブ・ミー・ドゥー“でレコード・デビューしたのが1962年。翌63年の “プリーズ・プリーズ・ミー“が1位を獲得、一気にスターとなるわけだが、本展

        大阪人が初めて新世界で呑む〜昭和を残す街にはインバウンド観光客が

        • Netflix「地面師たち」〜ハリソン山中の造形と綾野剛の色気

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          「SHOGUN 将軍」シーズン1がエミー賞受賞〜時代劇は“国境を越えた“

          真田広之のドラマ「SHOGUN 将軍」、ディズニープラスで配信(DVDも発売中)されているが、ダブリン行きのフライト中に観始め、今朝(9月16日)ジムでウォーキングしながら最終の第10話をフィニッシュした。 タイミング良く、エミー賞の発表があり、本作は作品賞、真田広之の主演男優賞など、史上最高の18部門で賞を獲得した。 1600年、舞台は太閤殿下が逝去した後の日本、若き後継を補佐する形で、石堂和成(平岳大)以下、五人の大老が政治をつかさどる。長年、カトリック教徒のポルトガ

          「SHOGUN 将軍」シーズン1がエミー賞受賞〜時代劇は“国境を越えた“

          大相撲秋場所は中日を終えた〜大の里と尊富士の快進撃そして伏兵は

          大相撲秋場所は中日を終えた。先場所優勝の横綱・照ノ富士は初日から休場、大関から陥落し復帰を目指した貴景勝も途中休場と、残念なニュースがあるものの、連日満員御礼、土俵上は熱戦が続いている。 まず嬉しいのは十両の尊富士の快進撃。ここまで8連勝で勝ち越しを決めた。今年の三月場所、負傷をおして千秋楽の土俵に上がり、見事110年ぶりの新入幕での優勝を飾った。その背後には同じ伊勢ヶ濱部屋の照ノ富士の後押しがあった。 その代償として、翌五月場所は全休。七月場所は、中日から出場、2連勝し

          大相撲秋場所は中日を終えた〜大の里と尊富士の快進撃そして伏兵は

          秋はまだ遠いけれど〜小津安二郎監督「秋日和」は食欲もかき立てる

          昨年は小津安二郎生誕120年&没後60年、それもあって何本か小津作品を鑑賞。今年も積み残しを見ようと思っていたが、年初に「お早よう」(1959年)、「長屋紳士録」(1947年)と観たきり、ご無沙汰していた。 ロンドン行きの飛行機な中で観る映画を考えた時、小津作品のことを思い出した。そこで選んだのが「秋日和」(U-NEXTで配信)、「お早よう」の翌年1960年の映画である。9月に入っても猛暑が続いているが、せめて映画の中で秋を感じよう。 冒頭、東京タワーが映し出される。19

          秋はまだ遠いけれど〜小津安二郎監督「秋日和」は食欲もかき立てる

          “労働市場改革 争点に浮上“〜過去を振り返っての感想

          自民党総裁戦まであと2週間となった。9月13日付の日本経済新聞の総裁選記事の小見出しには、“解雇規制など争点“。同様に、同日の朝日新聞の小見出しにも“労働市場改革 争点に浮上“とある。 私が解雇規制の緩和がテーマになると知ったのは、小泉進次郎の発言である。これを聞いた時に、やはりこの人はセンスが良いと思った。今後の日本経済を考える上で、極めて重要、かつシンプルなテーマである。一方でハンドリングを間違えると致命的になるリスクがあるので、誰もあまり触れたがらない。 1996年

          “労働市場改革 争点に浮上“〜過去を振り返っての感想

          芥川賞受賞作と萩尾望都「半神」〜朝比奈秋著「サンショウウオの四十九日」

          第171回芥川賞受賞作、松永K三蔵の「バリ山行」(講談社)が良かったので、文藝春秋九月号に同時掲載されていた、朝比奈秋の「サンショウウオの四十九日」(新潮社)を読んだ。 なかなかに難しい小説である。決して読みづらい言葉が続くわけではないのだが。 杏と瞬は、“結合双生児“である。肉体を共通としているが、“意識“はそれぞれ別にある。一般的にイメージされる、頭部が二つある結合双生児ではなく、それも共通である。 小説は杏と瞬が、語り手として混在する。私は、肉体の立場であるかの如

          芥川賞受賞作と萩尾望都「半神」〜朝比奈秋著「サンショウウオの四十九日」

          “始末人はえぇ米食う“〜米不足を実感したランチタイム

          桂枝雀の落語「八五郎坊主」。秋の噺として一度紹介したが、話の冒頭、坊主志願の八五郎が甚兵衛さんのところにやって来る。寺への推薦状を書いてくれと頼むのだが、手紙を書いた甚兵衛さん、八五郎に台所から飯粒を取ってきてくれと指示する。手紙に封をするための糊の代わりである。 台所に入った八五郎、炊き立てのご飯を前にして、思わず盗み食い。そこで、「“始末人はえぇ米食う“というけれど、ほんまやな」とつぶやく。美味しいご飯があれば、おかずは選ばない。その分、節約できるということである。“始

          “始末人はえぇ米食う“〜米不足を実感したランチタイム

          NFL知ったかぶり(第1週)〜各チームの実際のプレイから得た印象

          米アメリカンフットボールNFLが第1週を終えた。色々予想を書いたが、あくまでもメディア等の予想を参考にした机上のもの。Week1のゲーム結果、実際のプレイを垣間見ながらの印象を書く。 AFCの予想を再掲すると 1番手グループ:チーフス、レイヴンズ 2番手グループ:ベンガルズ、テキサンズ、ビルズ、ドルフィンズ “穴馬“グループ:チャージャーズ、ジャガーズ、コルツ、ブラウンズ、スティーラーズ、ジェッツ NFCの方は1番手グループ:49ers、ライオンズ、イーグルス 2番手グル

          NFL知ったかぶり(第1週)〜各チームの実際のプレイから得た印象

          遅延等のおかげで機上にて映画〜ドキュメンタリーのような「ONCE ダブリンの街角で」

          ダブリンからロンドン経由で帰国。ロンドンでの乗り継ぎ時間は2時間40分と、比較的余裕のある旅程。ロンドンのラウンジで食事をして、ロンドンー東京の機内食はスキップ、即座に寝る体制に入ろうと目論んでいた。 ダブリンからのフライトが30分ほど遅延、それでも余裕と思っていたが、ロンドンに着陸した飛行機にボーディング・ブリッジは接続されず、タラップで降機。バスに乗せられ、ターミナル5まで移送されたが結構な距離の移動。一旦ターミナルに入ってから、今度はJAL便の出るターミナル3に移動で

          遅延等のおかげで機上にて映画〜ドキュメンタリーのような「ONCE ダブリンの街角で」

          私は名画の何を見ていたのか〜iPadで読むのが最適、高階秀爾著「カラー版 名画を観る眼 I」

          西洋絵画の鑑賞を続けていると、西洋絵画史に興味をかき立てられる。当たり前だが、個々の画家は独立しているわけではない。過去の巨匠・名画、同時代のアートからさまざまな影響を受けながら作品が生み出される。 この世界の書物で、燦然と輝くのはゴンブリッチの「美術の物語」(河出書房新社)。私も読んだが、大書だけに気軽に人に勧めるという代物ではない。 そこで私が勧めていたのは、高階秀爾の「近代絵画史」(上・下巻 中公新書)。本書は、日本人に馴染みがあるロマン主義・印象派以降の絵画史をた

          私は名画の何を見ていたのか〜iPadで読むのが最適、高階秀爾著「カラー版 名画を観る眼 I」

          ダブリンへの出張(その4)〜“ケルズの書“とナショナル・ギャラリー

          (承前) 仕事の打ち上げは、現地スタッフと“Peal Brasserie“でディナー。良い雰囲気のレストランで、前菜はカニとアボカドのムース、メインは‘鳩のロッシーニ風“。‘ロッシーニ風‘は、フォアグラ。ステーキと合わせるのが普通ですが、鳩とのコンビは初めて。どちらも、大変美味でした、 翌日、フライトは午後なので、折角なのでダブリンを少し楽しもう。最初に向かったのは、名門大学トリニティ・カレッジ。所蔵する、“世界一美しい本“と言われる“ケルズの書“と旧図書館を見学するのが

          ダブリンへの出張(その4)〜“ケルズの書“とナショナル・ギャラリー

          ダブリンへの出張(その3)〜アイルランドのアーチスト話で盛り上がる

          (承前) ダブリンの現地スタッフ2名(アイルランド人のJさんとDさん)とディナー。仕事の話ももちろんするのだが、それだけでは食事が美味しくない。 色々な話をする中で、東京から同行した同僚(日本人)が、ダブリンを舞台にした映画が印象的だったという話をする。その映画は「ONCE ダブリンの街角で」(2006年)。日本でもヒットし、ミュージカルにもなった。 当然、アイルランド人チームは「あの、映画良かったよねー」と乗ってくれる。 映画の主演は、アイルランド出身グレン・ハンサ

          ダブリンへの出張(その3)〜アイルランドのアーチスト話で盛り上がる

          ダブリンへの出張(その2)〜次女と食べたもの飲んだもの

          (承前) 初日の仕事が終わった。現地の社員と個別面談シリーズなのだが、皆とにかくよくしゃべる。放っておくと、仕事内容をずっと説明してくれる。中には、弾丸のようなペースで話す人もいる。時折、口を挟んで分からないところを確認するのだが、だんだんそれも億劫になってくる。 かなり消耗して夕刻を迎えた。エジンバラに住む次女が、アイルランド第2の都市コークにいる友人を訪ねて来てい他のだが、ついでにダブリンまで足を伸ばしてくれて、二人で食事をすることに。 まずダブリンに来たらギネスを

          ダブリンへの出張(その2)〜次女と食べたもの飲んだもの